あらすじ
第1巻
時は戦国。かつての「今川氏真」の名を捨て一介の牢人者として生きる駿河彦五郎は、友人の徳川家康から天下人の刀とされる義元左文字を託され、京にいる織田信長に対面するべく妻の蔵春を連れて旅立つ。その道中、彦五郎は乾壁蝨丸と名乗る忍者や、銃使いの杉谷善住坊に襲撃されるが、二人を返り討ちにする。さらなる刺客として送り込まれたのは剣客の草深甚四郎だったが、彦五郎は甚四郎が無関係な人間を巻き込んで殺害する事に怒り、戦いを挑む。
登場人物・キャラクター
駿河 彦五郎 (するが ひこごろう)
旅の牢人者の男性。新当流の剣術の達人で、飛鳥井流の蹴鞠の名人でもある。その素性はかつて滅亡した戦国大名の今川家の最後の当主を務める「今川氏真」その人であるが、周囲にはその名を隠している。友人である徳川家康から義元左文字を託され、京にいる織田信長に届けるべく旅をしている。実在の人物、今川氏真がモデル。
蔵春 (くらはる)
駿河彦五郎の妻。彦五郎と共に旅をしている女性。洋装で、当時としては奇抜なファッションをしており、周囲からは「婆紗羅者」と呼ばれている。その素性は「風魔小太郎」から手ほどきを受けた凄腕の女忍びで、銃の扱いを得意としている。実在の人物、早川殿がモデル。
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
浜松に拠点を構える戦国大名の男性。織田信長と同盟を結んでいる。駿河彦五郎からは「元康」と呼ばれている。彦五郎とは友人付き合いをしており、義元左文字の刀を託して信長のもとに届けるように依頼する。実在の人物、徳川家康がモデル。
乾 壁蝨丸 (いぬい だにまる)
甲賀金烏衆の刺客の一人である年齢不詳の男性。蜘蛛のような長い手足を持ち、口に複数の針を含んで同時に放つのを得意としており、素手での戦闘にも長けている。駿河彦五郎の命を狙い、彦五郎と一対一で戦うが敗れ、その後の生死は不明。
杉谷 善住坊 (すぎたに ぜんじゅぼう)
甲賀金烏衆の刺客の一人である年齢不詳の男性。駿河彦五郎の命を狙い、火薬を用いずに発射する事ができる「気砲」と呼ばれる銃を用いる。好色家で、彦五郎ではなく蔵春に関心を持ち、二人を襲うが返り討ちにされる。実在の人物、杉谷善住坊がモデル。
草深 甚四郎 (くさふか じんしろう)
甲賀金烏衆の刺客の一人である年齢不詳の男性。斬撃を飛ばして遠くにある対象を斬り飛ばす、「飯綱」と呼ばれる技の使い手。冷酷な性格の持ち主で、駿河彦五郎の命を狙い、彦五郎に挑戦状を叩き付けるためだけに、何の関係もない座頭達を複数人殺害した。実在の人物、草深甚四郎がモデル。
その他キーワード
義元左文字 (よしもとさもんじ)
「左文字三郎源慶」の手による日本刀。手にした者は天下を取る事ができるとされている。かつては駿河彦五郎の父親の今川義元の佩刀(はいとう)だったが、桶狭間の戦いで義元が死亡したあとに行方不明となり、織田信長によって捜索されるものの見つける事はできなかった。その後、徳川家康から駿河彦五郎に託される。
クレジット
- 原作
-
蝸牛 くも
- キャラクター原案
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伊藤 悠