概要・あらすじ
日本中が貧乏だった戦後間もない頃。岡山県のある村に、仙満八百造という資産家がいた。八百造夫妻は子どもに恵まれず、暇さえあれば神仏に願をかけていた。そのかいあってか、やがて妻が妊娠。しかし、出産予定日を過ぎても一向にお産の気配がない。半年が過ぎた頃、妻の昼寝中に子どもは生まれた。その子は、生まれたばかりとは思えない大きな体格で、いきなりハイハイをしておひつに近づき、飯をよそってドンブリ一杯を平らげた。
登場人物・キャラクター
仙満 十八 (せんみつ とはち)
戦後まもない頃、岡山県佐野村の裕福な家に生まれる。男性のように見えるが性別は女性。出産予定日より半年以上遅く生まれ、誕生直後にハイハイができ、ドンブリ一杯の飯を平らげたため、神童と呼ばれる。生まれて18日目で歩き、1歳でオヒツを空にし、2歳でタワラを持ち上げた。その後もすくすくと成長し、その底なしの食欲のために、仙満家は没落。 祖母は死に、両親も倒れたため、十八は5歳にして肉体労働者となる。地方巡業で村に来た大相撲の横綱にすら圧勝する怪力の持ち主だが、勉強は大の苦手で、学校の授業を受けると失神してしまうほど。
仙満 八百造 (せんみつ やおぞう)
仙満十八の父。岡山県佐野村で農業を営む資産家。優しくまじめな性格。子どもができないことで母に責められる妻・富士子を庇う。あまりにも早く順調に育ち過ぎる十八に財産を食いつぶされ、働き過ぎて体を壊してしまう。
仙満 富士子 (せんみつ ふじこ)
仙満十八の母。子供ができないことを義母に責められ、苛め抜かれる。やっとの思いで子どもを身ごもるが、産み月になっても野良仕事で仕事をさせられる。出産予定日を半年も過ぎた頃、昼寝している間にいつのまにか十八を出産していた。
十八の祖母 (とはちのそぼ)
仙満十八の祖母。嫁である富士子に子供ができないことに腹を立て、苛め抜く。富士子がやっとこどもを身ごもっても、「誰の子かわからん」と憎まれ口をたたく鬼婆。また、生まれた十八が女の子であったことにも不満を漏らす。
大鵬 (たいほう)
地方巡業で岡山県佐野村を訪れた大相撲の横綱。仙満十八が13歳の時に、対戦し、土俵外に吹き飛ばされ、救急車で運ばれてしまう。以来、病院に通いながら相撲を取り続け、昭和46年に引退する。実在の元横綱大鵬をモデルとしている。