妖怪のための(裏)多摩市役所
本作の舞台は、多摩市役所の地下2回フロアにある、妖怪専門の(裏)多摩市役所。普段は人目を忍んで生活をしている妖怪たちだが、何かの拍子で人目に触れると問題が起きる。そこで妖怪をまとめて管理する場所が、国によって秘密裏に設置されている。そんな全国の(裏)役所のうち、関東の西東京を担当しているのが(裏)多摩市役所だった。貧乏女子高生・遊佐千秋は、時給10万円という超好条件に釣られて、この怪しい役所のアルバイト職員になる。金のためだけに職員になった千秋だったが、妖怪のことを知るうちに親しみを抱き、また彼らからも慕われるようになる。
妖怪たちとのバトルアクション
市役所職員でありながら、事務仕事がさっぱりできない庵藤クロクの得意分野は「戦闘」である。「通力」という特殊な力を持つクロクの武器は、名称不明の「なんとか棒」。かつて、多摩で道場を開いていた「なんとか悟空」という老人から譲り受けたもので、普段は綿棒ほどの大きさだが、戦闘時は大きさも形も自由自在という強力な武器である。そんなクロクは、河童の少女を狙う巨大河童を退けたり、人間界で暴走行為を繰り返す、妖怪・朧車たちを一撃でなぎ払ったりして事件を解決する。コメディ色が強い本作だが、悪い妖怪たちとのバトルアクションも大きな魅力である。
超エリートのライバルたち
総務省は、全国を北海道から九州・沖縄までの11区画に分け、それぞれに妖怪を管理する(裏)役所を設置している。近年は複雑多様化する現代社会に対応するため、他区画との連携が重視されており、年4回の新人合同研修を行っている。そこでクロクと千秋が出会ったのが、超エリートだけが入れる(裏)東京23区役所の3人の職員、威対、バド、サヨだった。今回の合同研修は審査形式になっていて、力のないものは脱落していく仕組みである。さらに研修だけではなく、闇の組織を相手にした実戦課題が組み込まれていた。クロクと千秋は、23区役所の職員たちと競い合い、また時には協力しながら、合同研修に臨んでいく。
登場人物・キャラクター
庵藤 クロク (あんどう くろく)
妖怪専門の(裏)多摩市役所職員。「通力」という不思議な力を持つ赤い髪の少年。不器用な性格で事務仕事も苦手なため、市役所のほとんどの仕事は有能な新人アルバイト・遊佐千秋にまかせている。一方、戦闘は得意分野であり、変幻自在な棒状の武器で危険な妖怪を蹴散らす。「人間も妖怪も関係なく、多摩に関わるものは全部守る」というのが信念である。
遊佐 千秋 (ゆさ ちあき)
妹と二人暮らしをしている貧乏女子高生。座右の銘は質素倹約、尊敬する人物は上杉鷹山。好きなものはスイーツと現金。時給10万円という好条件に釣られ、妖怪専門の(裏)多摩市役所のアルバイト職員になる。庵藤クロクにプレゼントされた、対魔防御力を持つ髪飾りとポニーテールが特徴。有能で話をよく聞いてくれるため、妖怪たちに慕われるようになる。
書誌情報
クロクロク 全3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2013-12-04発行、 978-4088708867)
第2巻
(2014-02-04発行、 978-4088800097)
第3巻
(2014-03-04発行、 978-4088800462)