ギャップに心を撃ち抜かれるラブコメディ
品行方正でおしとやかな完璧美少女・桂おとぎと超イケメンなうえに誰に対しても優しい完璧男子・一刻の恋愛を描いた物語。一見王道の学園モノだが、本作のテーマは「ギャップ萌え」である。完璧な二人にじつは裏の顔があったというギャップにより、一筋縄ではいかないストーリーが展開していく。また、学校では、委員長のおとぎが副委員長の一刻を従える関係だが、裏の顔のときは、関係が逆転しており、おとぎは一刻に振り回されてしまう。そんなギャップが人々の心を撃ち抜き、2023年9月、X(旧Twitter)に投稿された第1話は、多くの人々から「いいね」を獲得して大きな反響を得た。
完璧を装う男女のヒミツ
学級委員長のおとぎは、目を合わせると心を射抜かれることから「心撃の天使(エンジェル)」の異名を持つ、おしとやかな美少女。しかしそれは表の顔で、裏の顔は竹を割ったような男前な性格である。副委員長の一刻は、おとぎに引けを取らないビジュアルの持ち主で、誰に対しても優しい紳士。「心撃の天使」の視線にも動じない一刻に、悔しさを感じながらも、おとぎは彼が気になっていた。そんなある日、他校の男子生徒にしつこくナンパされたおとぎは、一刻の前でつい本性を出してしまう。それを見た一刻は「おまえかっけぇな」と笑い、おとぎと同じように相手に凄みを利かせた。一刻にも裏の顔があり、二人はお互い、作った顔で騙し合っていたのだ。一刻の本性を見たおとぎは、不覚にもそのギャップに心をときめかせてしまう。
互いに惹かれ合う二人と恋のライバル?
一刻の本性である「ブラックいっこく」にときめいてしまったおとぎは、それ以来、彼の一挙手一投足が気になって仕方がない。「おまえ俺のこと見過ぎ」とか「おとぎの本性を知っとくの俺だけがいいじゃん」などと言われるたびにドキッとしてしまう。マドンナとしてのプライドから、くやしさを感じながらも、おとぎは次第に一刻に惹かれていく。また一刻も、誰も連れて行かないカフェをおとぎに紹介し、仲よしの幼なじみに「初めて心許せるって思えた奴」と、おとぎへの思いを話している。そんな二人の前に現れるのが、学校一のモテ男・二神雷。おとぎに近づく二神をいなす一刻だったが、「いけすかねー奴」と嫉妬ともとれる言葉を吐き捨てる。
登場人物・キャラクター
桂 おとぎ (かつら おとぎ)
学園のマドンナで、1年A組の学級委員長。身長は163センチメートル。周囲が求める「自分像」を崩さないよう、物心がついた頃から完璧美少女を演じ続けてきた少女。品行方正でしとやかな表の顔とは裏腹に、裏の顔はナルシストでプライドが高く、喧嘩上等な男前。目が合っただけで心を撃ち抜かれることから「心撃の天使(エンジェル)」の異名を持つ。同じく裏の顔を持っていた一刻に恋をしてしまう。
一 刻 (にのまえ とき )
桂おとぎのクラスメート。1年A組の副学級委員長。身長は183センチメートル。美しいロングヘアーが特徴の超イケメン。誰にでも優しく接し、成績も優秀な完璧男子だが、不良っぽい裏の顔を持っている。自分と同じように表と裏の顔を持つおとぎに興味を持つ。おときからは「いっこく」と呼ばれている。
二神 雷 (ふたがみ らい)
桂おとぎと同じ高校の1年E組の男子。学年一のモテ男で、一刻と共にツートップといわれている。誰にでもフレンドリーに接する気さくな性格。そのため、恋に落ちる人が続出しているという。おとぎの異名である「心撃の天使(エンジェル)」の名付け親らしい。一刻のことは「胡散臭い奴」だと思っている。
書誌情報
恋せよまやかし天使ども 3巻 講談社〈KC デザート〉
第1巻
(2023-09-13発行、 978-4065329986)
第2巻
(2024-02-13発行、 978-4065346402)
第3巻
(2024-07-11発行、 978-4065361924)