恋とか夢とかてんてんてん

恋とか夢とかてんてんてん

世良田波波の初長編連載作品。略称は「恋てん」。東京と大阪を舞台に、夢をあきらめてフリーターとして生活するアラサー女子・貝塚道子の、初めての片思いの心情や、やるせない日常を描いた等身大の恋愛ドラマ。マガジンハウス「SHURO」オープン日である2023年6月30日から連載。2024年12月に、宝島社「このマンガがすごい!2025」オンナ編第2位を獲得している。

正式名称
恋とか夢とかてんてんてん
ふりがな
こいとかゆめとかてんてんてん
作者
ジャンル
片思い
レーベル
マガジンハウス
関連商品
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夢を失った女性の恋物語

絵を描くことを夢見て上京したものの、アルバイトに追われる日々を送り、東京での生きる意味を見失っていた「カイちゃん」こと貝塚道子は、高円寺駅前で酔いつぶれているアルバイト先の常連客である洸を目撃する。ふだんの爽やかなエリートイケメンらしからぬ姿に心を奪われた道子は、洸に対して一方的な好意を抱くようになる。猛烈な片思いに没入する道子の危うい恋愛模様と等身大の日常が、デフォルメされた温かみのあるタッチで描かれる。道子の心に芽生える恋心は、決して美しい感情ばかりではなく、嫉妬や失望といった暗い感情や、やるせない心情も丁寧に描写されている。

SNSを通じて始まる一方的な恋

洸のSNSアカウント「高円寺」を見つけた道子は、彼の投稿を頻繁にチェックするようになる。洸のプライベートを覗き見ては一喜一憂し、妄想にふけるストーカーのような日々を送っていた。洸との出会いをきっかけに、道子は東京で生きる意味を見いだすようになる。しかし、新しい投稿で洸が大阪に異動することが判明する。大阪に転勤した洸が友達を欲しがってることを知った道子は、いてもたってもいられず、大阪へ向かう。道子は大阪でアルバイトをしながら、アパートで一人暮らしを始める。そんな中、道子はSNSを通じて洸と会う機会を得るが、初デートで洸の意外な秘密を知ることになる。

大阪で始まる新生活と洸の秘密

洸に婚約者がいることを知って道子は絶望し、年齢や大阪に来た理由を偽っていたことへの罪悪感から自己嫌悪に苛まれる。だが苦悩と葛藤の末、道子は婚約者がいても洸との恋をあきらめないことを決意。恋と夢、理想と現実に翻弄されながらも、道子は大阪で懸命に生きていく。その姿は、前途多難な恋模様と重なり、読者の心を揺さぶる。道子の恋に突き進む姿は時に愚かで痛々しいが、恋を叶えるために奮闘する姿は愛おしく、女性たちの共感を呼ぶリアルな描写も多く見られる。さまざまな出会いを経て成長していく道子の姿は、本作の魅力を一層引き立てている。

登場人物・キャラクター

貝塚 道子 (かいづか みちこ)

東京に住むフリーターの女性。一流企業の食堂でアルバイトをしている。初登場時の年齢は29歳。愛称は「カイちゃん」。絵を描くことが大好きで、イラストレーターや漫画家を夢見て上京したものの、10年が経ち、やりがいのないアルバイトに明け暮れる日々を送っている。かつてはSNSに自作のイラストを投稿していたが反応が芳しくなく、絵を描くことをやめてしまう。そんな無気力な日常の中で、食堂にやってくる洸の存在だけが唯一の癒しであり、彼のSNSアカウントを見つけてからは、ひそかに思いを募らせていく。やがて洸の異動を知り、思い切って貝塚道子自身も大阪の十三に引っ越すことを決意。大阪ではボロアパートで一人暮らしをしながら、コンビニでアルバイトをしている。

(こう)

東京の一流企業に勤務する男性。初登場時の年齢は27歳。貝塚道子がアルバイトをしている社内食堂の常連客で、爽やかな笑顔と優しい言葉で道子を癒している。SNSのアカウント名は「高円寺」で、日常の出来事や仕事の愚痴を投稿している。突然、大阪への異動が決まり、SNSを通じて道子と大阪で会うようになる。初めてのデートの夜、道子の誘いでホテルに行った際、実は東京に婚約者がいて、遠距離恋愛中であることを告白した。そして、正式に付き合うつもりがないことも伝える。

書誌情報

恋とか夢とかてんてんてん 1巻 マガジンハウス

第1巻

(2024-02-29発行、978-4838732647)

恋とか夢とかてんてんてん 2. マガジンハウス

(2024-09-02発行、978-4838732845)

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