お姉ちゃんの翠くん

スイには7つ離れた桃という姉がいる。姉のことは大好きなのだが、姉の彼氏・雪代翠のことは気に入らない。スイが小学5年生の時からよく家に遊びに来るのだが、なれなれしく、スイのことを子供扱いしてからかう。高校受験を控えたスイは、頑張って勉強しても志望校はC判定だった。そこで姉の桃から、塾に通うか家庭教師をつけたほうがよいと勧められる。ちょうど翠が家庭教師のバイト先を探していると、翠に家庭教師をしてもらうことになってしまった。翠は教え方がうまく、つまっていた問題もすぐに理解できた。しかも、桃からスイが苦手な分野を聞いた翠は、スイ専用の苦手克服問題集を作ってくれた。翠のおかげで成績は上がり、翠に対する苦手意識は薄れていた。受験10日前、B判定をもらい、口をとがらせながら翠を認めるスイ。その姿がかわいいと桃と一緒にスイの頭をなでる翠。｢彼女がいるのに女の子にベタベタ触るのは良くない｣と言うスイに｢スイちゃん、ただのお子ちゃまじゃん｣とからかい半分に言う翠。ほっぺをつつく翠の指を払い、スイは涙を浮かべて怒った。受験前日、冷静になってきたスイは怒りすぎたと反省。翠に謝りに行こうとすると、玄関の外に翠が立っていた。翠は「ひどいこと言ってごめん。ふざけすぎた」と謝り、スイも手をはたいてしまったことを謝った。「これで手打ちにするってことで」とスイが言うと、翠は「俺よりよっぽど大人だわ」と言って笑った。その笑顔を見たスイには、今までとは違う感情が芽生え始めていた。