概要・あらすじ
大学生の白鳥真は、ひどい不眠症に悩んでいた。その原因は「夢」。夢の内容はいつも同じで、日本一利用者数が多いといわれる駅を降りて学校へ向かうリアルな夢だった。ただ一つ現実と違うのは、駅名が「S1駅」ではなく「新宿駅」という聞いたことのない名前になっていることだった。ある日、真はクラスメートの柏木翔太に、ある人にラブレターを渡してくれと頼まれるが、それをきっぱりと断る。「男なら正面突破だ」と勇ましいアドバイスを送る真だったが、自分自身はまったくだらしなく、片思いの相手にいつまでも思いを伝えられないでいた。その相手は黒澤愛。小学生の時から好きで、同じ大学に入ったほどだった。そんな事情を知る、やはり幼なじみの稲葉雪子は、「早くしないと誰かに奪われるよ」と、真に忠告するのであった。翌日、大学で柏木が、ラブレターを渡すために黒澤愛を呼び出した。柏木の好きな相手は愛だったのだ。慌てた真は、二人のもとに駆け寄り、愛に向かって「10年前からずっと好きだった」と叫ぶ。すると愛は青ざめ、「ようやく思い出した」「私を新宿に連れて行って」と謎の言葉を発した。次の瞬間、愛の体はバラバラになり、肉塊となってしまう。そして空にはじっと愛を見つめる巨大な目があった。あまりのことに呆然とする真に、愛が声をかけた。どうやらすべて幻覚だったようだ。気分が悪くなって自宅に戻った真を訪ねてきたのは、雪子だった。雪子は、実は真のことが好きだと告白し、彼をベッドに押し倒す。すっぽり被ったシーツの中で、ブラジャーを外した雪子の胸には、「この街はニセモノ」「誰も信じるな」などと書かれたたくさんのメモが貼られていた。
登場人物・キャラクター
白鳥 真 (しらとり まこと)
不眠症に悩む大学生。幼なじみの黒澤愛のことが好きで、小学生の頃から10年間思い続けている。愛への告白がきっかけで、自分がいる東京がニセモノだという事実に気づき、愛がその秘密に関係していることを知る。同じく幼なじみである稲葉雪子と共に、ニセモノの街を脱出し、愛を助けようとする。
黒澤 愛 (くろさわ あい)
白鳥真の幼なじみで、同じ大学に通う女子大生。ショートボブと、真にもらった髪飾りが特徴。自分たちがいる東京がニセモノであると知っているらしいが、ふだんはそのことを忘れている。誰かに告白されると、街の秘密を思い出すが、その直後に死を迎え、時間が戻って生き返るということを繰り返している。
稲葉 雪子 (いなば ゆきこ)
白鳥真の幼なじみの女性。巨乳とツインテール、黒いチョーカーが特徴。黒澤愛のことが好きで、真より前に愛に告白したのをきっかけに、自分たちの住む東京がニセモノであると気づく。1か月以上、独自に「ニセモノの街」の調査を進めている。慎重で用心深い性格で、真と恋人のふりをして「街」の秘密に近づこうと試みる。
書誌情報
恋獄の都市 全5巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2019-11-01発行、 978-4088821368)
第2巻
(2020-03-04発行、 978-4088822488)
第5巻
(2020-10-02発行、 978-4088824918)