あらすじ
第1巻
神田優介の通う十塚学園高校に、可愛マリアが転校してきた。マリアはたぐいまれなる美少女ながら、鋭すぎる人間観察力と歯に衣(きぬ)着せぬ言動のせいで、さっそくクラスで浮いてしまう。これを案じた優介は、友人の目黒伸と共にマリアに声をかける。しかしマリアは、優介の他人に気を遣いすぎるところや、興味のないことであっても適当に人に合わせてしまう、八方美人な一面を見抜いて指摘する。優介はこれに戸惑いつつも、マリアに関心を持つようになっていく。しかしその翌日から、マリアは中村亜由たちからいじめを受けるようになってしまう。亜由たちは、クラスで立場の弱い甲坂友世を使って、マリアを暴力事件や未成年飲酒事件の犯人に仕立て上げようとしていたのである。しかしマリアは、一見気が弱そうで亜由たちの言いなりになっている友世が、実際は亜由たちを見下していることに気づいていた。マリアがこれを指摘し、友世が何度も作戦に失敗したことがきっかけで、友世は居場所がなくなり、学校を休むようになってしまう。そこでマリアは、優介と共に友世の家を訪れることにする。
第2巻
可愛マリアは神田優介のサポートもあり、甲坂友世が本当はどのような人物なのか理解を深める。友世もまた、マリアの辛辣な態度に腹を立てつつも、自分の本来の姿を表現できるようになりつつあった。そして友世は1週間ぶりに登校し、マリアたちクラスメートの前で、中村亜由に本音をぶつける。しかし亜由は、これをマリアの影響によるものだと受け止め、マリアにつかみかかる。その場は目黒伸が仲裁したことで収まったものの、マリアがいつも身につけているクロスがケンカの武器になったと判断され、1年C組の担任教師に没収されてしまう。そこで優介は、担任に頼んでクロスを返してもらおうとするが、担任は取り付く島もなく、失敗に終わる。さらに、これを亜由が目撃したことで、ひそかに優介に思いを寄せている亜由は、さらにマリアへの憎しみを募らせるのだった。そんな中、マリアたち1年C組は、校内合唱コンクールのリーダーを決めることになる。マリアこそが1年C組の不和の原因だと考える担任の命令で、無理やりマリアがリーダーにさせられそうになる。優介はこれを阻止しようとするが、マリアはこの優しさを受けて、場を収めるためにリーダーを引き受ける。
第3巻
神田優介は校内合唱コンクールの練習が始まり、クラスメートたちと、以前よりも本音で話せるようになっていた。可愛マリアもまた、コンクールに真剣に取り組む気持ちが伝わり、目黒伸や甲坂友世だけでなく、ほかのクラスメートともコミュニケーションが取れるようになっていた。そんなみんなの前に、入院していた井吹ハナが戻って来る。ハナは一見気さくな態度でマリアに接するが、マリアは1年C組の担任教師に没収されたはずの自分のクロスを、なぜかハナが身につけていることを不審に思っていた。その後もハナは積極的にクラスの先頭に立ち、マリアとは対照的な天使のような人物として振る舞う。マリアはこれに違和感を覚えつつも親しくしていたが、ある日突然ハナは怒り出す。ハナは優介に思いを寄せており、マリアのことを優介に対して不誠実な態度を取る女性であると、誤解したのである。マリアはその誤解を解こうとするが、ハナの怒りは収まらずにマリアは再び孤立してしまう。それでも優介、伸、友世はマリアに寄り添い、四人は練習を続けるが、そんな折に校内合唱コンクールの様子を「弓矢の旅」というテレビ番組が取材しにやって来る。
第4巻
テレビ番組「弓矢の旅」のドキュメンタリー企画で、1年C組は校内合唱コンクールまで密着取材を受けることになった。それは、リーダーの可愛マリアを中心で進む予定だったが、これが気にくわない井吹ハナは、マリアを陥れて自分がリーダーになり替わって企画を進めていく。納得のいかないマリアはハナと話し合うが、学校側とテレビ局側がマリアを練習に参加しない悪役に仕立て上げようとしており、ハナがこの筋書きに協力しているということを知るのだった。そこでマリアは、当日まで練習に姿を見せないことにする。こうして練習はハナを中心に進んでいくが、中村亜由は突然マリアがいなくなったことやハナの思いやりのない態度に、違和感を覚え始めていた。そんな折、マリアが打ち合わせどおり、練習をサボったことをクラスメートに謝罪しにやって来る。しかし、何かがおかしいと感じた亜由は、コンクールのボイコットを決意。これをきっかけにハナも意欲をなくし、リーダーを降りると言い出してしまう。さらに、渡部浅美と日下部圭子が偶然学校側とテレビ局の思惑を知ったことで加速。マリア、目黒伸、神田優介、甲坂友世以外の全員が、当日はボイコットすると言い出す。
第5巻
可愛マリアは校内合唱コンクール当日、1年C組の担任教師の妨害に遭いながらも、みごとなリーダーシップを発揮して企画を成功させた。そんなマリアの姿に感動した目黒伸は、一度はあきらめていた音楽の道に戻ることを決意。音楽大学受験のため「水澤音楽教室」に通うようになる。そこで伸は、マリアが以前通っていた聖カトリア女子学園の申利あんなに出会う。あんなは話すことができずに会話はすべて筆談だったが、堂々とした独特のペースで、どこかマリアに通じるところがあった。これによって伸は、あんなとマリアは知り合いなのではないかと思うようになる。マリアには聖カトリア女子学園に通うケンカ別れした友人がおり、いつか仲直りしたいと思っていることを、以前聞いたことがあったからである。その直後、この予想は的中。伸を通じてマリアとあんなは再会し、二人は再び交流を持つようになる。しかしあんなは、聖カトリア女子学園では居場所がないらしく、十塚学園高校によく顔を見せるようになる。マリア、神田優介、甲坂友世はこれを温かく受け入れ、五人で過ごすことが増えていくが、伸だけは違和感を覚えていた。伸の目には、マリアとあんなが本当に和解したようには見えず、あんなは何かほかの意図があって十塚学園高校に来ているように感じていたのである。
第6巻
申利あんなは可愛マリアに、自分が目黒伸に思いを寄せており、十塚学園高校にはそのために通っていたこと、マリアのことは一度も友人だと思ったことはないことを告白する。あんなは、マリアがいつも自分を美化しているように感じ、それがとても不快だったのである。こうしてあんなの本心を知ったマリアは、自分もまた伸に思いを寄せていることを告げ、ライバル宣言する。そのままクリスマスイブとなり、神田優介、甲坂友世は、あんなに招待された聖カトリア女子学園のコンサートへ行くことになる。これは伸が伴奏者として参加しており、マリアも補習を終えてから行く予定だった。しかし、マリアはまたも1年C組の担任教師の妨害に遭い、コンサート開始時刻に間に合わなくなってしまう。そこでマリアはこの件を伸と優介に連絡するが、なぜか伸からのメールは冷たく、ショックを受ける。しかしこれは、伸の携帯電話を預かっていたあんなが、勝手に返信したものだった。あんなは当日、伸といっしょにいるために、わざと足をケガしたふりをしたり、携帯電話を預かりマリアに返信したあと、川に捨てたりしていたのである。一方その頃、マリアが急に元気をなくしたことを不審に思った優介は、ひとまず学校までマリアを迎えに行くことにする。
第7巻
申利あんなは、可愛マリアが強姦事件によって生まれた子供であり、さらに母親を精神的に追い詰めて自殺させた過去があることを、目黒伸に暴露する。マリアは当時の記憶を失っており、今は両親のことをよく思い出せないまま暮らしていた。しかし、もし誰かと親密になって抱きしめられた時、それが引き金で記憶が戻るのかもしれないのだという。これを知った伸は、マリアと両思いでありながら、今は友人でいることを決める。そして、聖カトリア女子学園のシスターに真相を確かめに行くことにする。一方その頃、マリアたち十塚学園高校1年C組の面々は、神田優介の家で先日収録した「弓矢の旅」のオンエアを見ていた。ここでマリアは、自分が聖カトリア女子学園を退学になり、十塚学園高校にやってきた理由を打ち明ける。当時あんなはいじめに遭っていたが、シスターはこれを隠蔽するため、あんなに転校を勧めていた。マリアはこれに反発してシスターに暴力を振るってしまい、退学になってしまったのだ。さらにあんなは、マリアに指摘されるまで、いじめられている自覚がなかった。そのため、真相を暴いたマリアのことを、今でも憎んでいるらしいのである。しかし、あんなの主張に違和感を覚えた優介と甲坂友世は、マリアにもう一度話し合うことを勧める。これによってマリアはあんなとの仲直りを決意するが、その日の帰り道、優介は衝動的にマリアを抱きしめてしまう。
第8巻
可愛マリアは、神田優介に抱きしめられたことが引き金になり、過去の記憶を断片的に思い出してしまう。そんなマリアを優介は支え、二人は申利あんなともう一度コミュニケーションを取るために「水澤音楽教室」に通い始める。だが、あんなは心を開くことなく、教室をやめて聖カトリア女子学園からも退学してしまうのだった。そんなある日、マリアのもとにあんなから手紙が届く。そこには、あんながマリアと過ごすうちに改めて自分と向き合い、アメリカの両親のもとに帰国したこと、マリアのことは今でも友人とは思えないが、いつかもう一度会いたいと思えるようになるまで、自分のクロスを預かっていて欲しいということが綴られていたのだった。こうしてあんなは去り、マリアたちは2年生に進級する。そんな入学式の日「弓矢の旅」で有名人になっていたマリアは、さっそく1年生から盗撮されるが、そこに見知らぬ1年生が助けに入る。しかしマリアは、黒須申太郎が盗撮事件解決後、目黒伸に無礼な発言をしたことに腹を立てていた。だが、これがきっかけでマリアは却(かえ)って申太郎に気に入られてしまい、翌日から付きまとわれるようになるのだった。やがてマリアは、申太郎の正直な言動に感化されていく。しかし伸はこれを、マリアがさらに過去を思い出す引き金になるのではないかと案じていた。
第9巻
みんなで海に出かけた日、可愛マリアは黒須申太郎にキスをされそうになる。目黒伸と神田優介はこれに怒り、一同は険悪な雰囲気になってしまう。しかしマリアは、申太郎は一見マリアにしか興味なさそうに振る舞っているものの、本当はみんなと親しくしたいのではないかと考えていた。そんなマリアの気遣いがきっかけで、最終的にはいい雰囲気となり、一同は楽しい時を過ごすのだった。そんな夏のある日、マリアは七夕のお願いとして、伸のピアニストとしての活動が軌道に乗り、コンサートホールで演奏できるようなりますようにと短冊に書く。これを見た伸は、父親でありピアニストの目黒征司に直談判。1週間以内に征司を満足させられる演奏ができたら、8月に行われるコンサートに出演させて欲しいと頼むのだった。そして1週間後、練習の甲斐ありみごと出演枠を勝ち取った伸は、マリアを招待する。しかしコンサート当日、マリアは会場に向かう途中で男性に襲われる。その犯人は、以前榊章吾の勧めでマリアが路上ライブを行った際に知り合った俊矢だった。路上ライブの日からマリアの音楽的才能に嫉妬していた俊矢は、偶然マリアを見かけ、衝動的に殺そうとしたのである。マリアはどうにか俊矢を落ち着かせて事なきを得るが、結局コンサートには間に合わず、外で音漏れを聞くだけとなってしまう。しかしそんなマリアを、優介が発見。安堵したマリアは改めて優介に感謝し、抱き合って友情を伝える。だが、その場面を伸が目撃してしまう。
第10巻
目黒伸は8月のコンサートでピアニストとして再評価されるが、可愛マリアとはすれ違ったままだった。先日の優介との抱擁を目撃した伸は、マリアの本心がわからなくなっていたのだ。そのまま2学期に入り、マリアたちのクラスは文化祭に向けて、「音楽メイド喫茶」の準備を始めることとなる。しかしマリアと伸は気まずいままで、見かねた神田優介はコンサートの日、マリアが何者かに絡まれ、不快な目に遭ったらしいこと、そのためにコンサートに間に合わなかったことを伸に伝える。それを知り自分の気持ちに整理を付けた伸は、文化祭当日までにマリアに気持ちを伝えることを、優介と黒須申太郎に宣言するのだった。こうして伸は、まずは仲直りしようとマリアに声をかけるが、ことごとく申太郎に邪魔されてしまう。対するマリアは伸の気持ちなど知るよしもなく、ただ仲直りできたことを喜んでいた。しかしこの頃から、マリアは度々幼い頃の自分の幻覚を見るようになり、次第に精神的に不安定になっていく。ある日、そんなマリアを案じた伸はマリアを抱きしめるが、これが引き金となり、伸に亡くなった母親を重ねてしまったマリアは錯乱。伸の手に大けがを負わせてしまう。さらにこれがきっかけで、完全に過去の記憶を取り戻してしまい、ますます衰弱していく。そしてとうとう、マリアは失声症になってしまう。
第11巻
可愛マリアは、甲坂友世と中村亜由が励ましたことにより元気を取り戻し、目黒伸とも気持ちを確かめ合い、交際を始めた。しかし無事に文化祭を成功させても、失声症は治らずにいた。そこでマリアは、自分の声を取り戻すには、過去と向き合わなければならないと考え、母親の可愛杏奈がアメリカ軍兵士に強姦された横須賀へ向かうことにする。しかし向かう途中で、なぜか黒須申太郎が声をかけて来る。申太郎の地元は横須賀であり、案内できるという。こうしてマリアは、あとからきた伸と神田優介も交えた四人で横須賀へ行き、母親の実家が「可愛製作所」という銀製品の会社であることを知る。そしてここで再会した祖母から、当時の出来事を聞く。可愛家は当初、強姦事件後も犯人と戦うつもりだった。しかし、アメリカ軍と日本政府に巨額の示談金を提示され、祖父母がお金を受け取ってしまったことで深く傷ついた杏奈は、家を出ていってしまったのだ。マリアたちは祖父母の、杏奈に対するあまりにも冷たい仕打ちに絶句するが、ここで申太郎が急に「福音マリアンナ教会」へ行こうと言い出す。マリアたちは不思議に思いつつもついて行くと、そこは申太郎の自宅であり、杏奈を強姦した兵士で申太郎の養父でもあるジョン・クロスが牧師を務める教会だった。
第12巻
可愛マリアは、祖父の緊急搬送がきっかけとなり、ジョン・クロスや祖父母と和解し、ついに声を取り戻した。目黒伸はこれを喜びつつも、先日のケガはまだ治らず、マリアよりも自分の手を優先して行動してしまうことに罪悪感を募らせていた。そんなある日、マリアと伸はデートをするが、伸がマリアを連れて行ったのは「水澤音楽教室」だった。伸は講師の榊章吾に、マリアの声のために、今後のフォローを頼みにきたのである。これによからぬ予感を感じたマリアは、とうとう伸に手のことを尋ねる。これによって伸は、手の腱が損傷しており、アメリカで専門の治療を受けないと完治は難しいことを打ち明ける。そこで伸は、自分の最後の演奏を聞いて欲しいと自宅に招くが、マリアはこの演奏に違和感を覚えていた。現在の伸はピアニストの夢をあきらめており、本来の実力を発揮できていないと感じたのである。そこでマリアは手を完治させて、改めて伸に演奏を聞かせて欲しいと叱咤激励し、二人は前向きな形で別れることになる。そのまま伸がアメリカに発つ日となるが、神田優介はこれに納得できずにいた。そこで優介は、無理やりマリアを誘って空港へ行くことにする。
第13巻
可愛マリアは神田優介の提案で、動画サイトに自作のミュージックビデオをアップするようになった。メインボーカルはマリアで、衣装は甲坂友世、メイクは中村亜由、振り付けは黒須申太郎、撮影は優介が担当し、それぞれに得意分野を活かした活動は、投稿を重ねるうちに評判になっていく。しかし、動画投稿を始めて半年以上が経過しても、目黒伸から動画を見たという連絡はないままだった。それでもマリアは前向きに活動を続け、そんなマリアを優介は支えていたが、亜由は内心複雑な気持ちでいた。マリアは優介の思いに応えるつもりはなく、二人は友人として付き合っていた。しかし、亜由はどうしてもその関係に納得がいかないでいた。ある日、亜由はとうとうこの気持ちが爆発してマリアに疑問をぶつけるが、友人として付き合うという点では、優介と亜由の関係も同じだろうと指摘されてしまう。傷ついた亜由はトイレに立てこもるが、マリアが友世を伴って真剣に謝罪したことで和解し、三人の友情はより深まるのだった。これをきっかけで、マリアたちは進路についても語り合うようになるが、マリアは自分が今後どうするべきなのかわからずにいた。当初は就職してジョン・クロスと祖父母に恩返しをするつもりだったが、三人には自由に生きて欲しいと言われ、ますます悩んでいたのである。考えた末、歌に関する仕事をするのはどうだろうと考え始めた頃、突如伸が日本に戻って来る。
実写ドラマ
登場人物・キャラクター
可愛 マリア (かわい まりあ)
神奈川県にある十塚学園高校1年C組に在籍する女子。のちに2年C組、3年C組に進級する。もともとは聖カトリア女子学園に通っていたが、暴力事件によって退学になり、転校してきた。赤みがかった茶色の内巻きボブヘアにしている。身長170センチ近い、長身の美少女。目つきが悪く、可愛マリア自身にそのつもりはないが睨(にら)んでいるように見える。これに加えて歯に衣着せぬ言動も目立ち、悪魔のような女性だと思われがちである。結果、転校当初は中村亜由などから「アクマリア」と呼ばれていた。いつもクールで落ち着いており、人間観察力に長(た)けているため、初対面の人間であっても、その本質を見抜くことができる。しかし、それをすぐに口に出してしまうため、相手を傷つけてしまうことが多く、周囲と衝突が絶えない。そのため、本質的には他者と深くかかわり合いたいと思っているが、孤立しがちである。母親の可愛杏奈が、中学2年生の時にジョン・クロスに強姦されて妊娠した子供であり、杏奈がこの事実に苦しみながらも一人で自分を育ててくれた姿を見て育った。そこで、杏奈に心ない言動をする人々に対抗するため、鋭い観察眼を身につけ、相手が最も傷つくことを指摘するようになった。しかしこの観察眼がある日、杏奈にも向いてしまったことで母親を深く傷つける。その結果、杏奈は絶望してマリアと心中を図り、マリアだけが生き残った。その後は、そうとは知らないままにジョンの資金援助を受けて、当時の記憶を失ったまま高校生になった。甘いものが大好きで、特にアイスクリームが好物。ファッションは白を基調にした、ふわふわした女性的なものを好む。得意科目は音楽と英語。
目黒 伸 (めぐろ しん)
十塚学園高校1年C組に在籍する男子。のちに2年C組、3年C組に進級する。世界的指揮者の目黒征司の息子でもある。黒の天然パーマで、癖のあるウルフカットヘアにしている。身長183センチの美形ながら、コンタクトをしても視力が低いせいで非常に目つきが悪く、近寄りがたく不愛想だと誤解されがちである。苗字が「目黒」であることから、周囲からは「めぐ」や「めぐちん」と呼ばれている。不器用ながらまじめで心優しく、繊細な性格の持ち主。しかし素直に表現できず、わざと意地悪な言い方をしたり、悪人ぶったりすることがある。音楽一家に育ち、幼い頃からピアノで頭角を現すが、デビューコンサートで失敗して以来、表舞台から姿を消している。それでもピアノへの情熱は持ち続けているが、今は趣味程度に留めている。そんなある日、可愛マリアが転入してきたことで、マリアの不器用で危なっかしい生き方を心配し、神田優介といっしょに面倒を見るようになる。次第にマリアに惹かれるようになるが、申利あんなからマリアの壮絶な過去を知らされ、マリアとどう接していくべきか悩むようになる。優介とは高校からの付き合いで、対照的な性格ゆえに却って相性がよく、信頼し合っている。父親の征司が家をあけがちなことと、過去の失敗からうまく接することができず、会うと委縮してしまう。帰国子女で、英語をしゃべることができるが目立つのを嫌い、英語の授業はサボりがちである。
神田 優介 (かんだ ゆうすけ)
十塚学園高校1年C組に在籍する男子。のちに2年C組、3年C組に進級する。金色のウルフカットヘアにしている。身長179センチ。明るい性格で、人懐っこい雰囲気を漂わせている。コミュニケーション能力が非常に高く、つねに周囲の空気を読んだり、困っている人にいち早く手を差し伸べることから、周囲から慕われている。しかし、優しく接することを義務のように感じている節があり、他者に強い関心や愛情があるわけではない。そのため神田優介自身は、自分のことをうわべだけの八方美人だととらえており、周囲とは深い関係を築けない淋しさを感じていた。そんなある日、可愛マリアが転入し、正直すぎる言動で浮いてしまった彼女に対して親切に接した。しかし、すぐに自らの本質を見抜かれ、これがきっかけでマリアに関心を持つようになる。やがてマリアに思いを寄せるようになるが、マリアと目黒伸が両思いであることは理解しており、時に悩みつつも、二人のサポートをしていくようになる。実家はお寺で、井吹ハナの家が檀家であることから、子供の頃からの付き合いである。伸とは高校に入ってから知り合ったが、伸の不器用で心優しい人柄に好感を持ち、仲が非常にいい。勉強はあまり好きではないが、国語は比較的好きで特に漢字が得意。50メートル走は6秒台と俊足を誇る。ネガティブなことも、受け止め方を変えて明るい言葉に置き換えることで前向きにとらえることを得意としており、これを「ラブリー変換」と呼んでいる。
甲坂 友世 (こうさか ともよ)
十塚学園高校1年C組に在籍する女子。のちに2年C組、3年C組に進級する。黒のショートヘアにしている。身長154センチと小柄で、ややさえない印象の女子。黒やドクロのモチーフとした、ハードロックやゴシック、パンク風のファッションを好む。しかし、周囲にはこれを公言しておらず、可愛マリアたちと親しくなるまでは、みんなの前で身につけることはなかった。気弱な性格で、なんに対しても流されがちなところがある。さらに勉強も苦手なため、クラスでの立場は弱い。いつも愛想笑いをしてニヤニヤしていることから、中村亜由たちからはニヤニヤの「ニヤ」を「28」とかけて「ニッパチ」と呼ばれていた。しかし、内心ではクラスメートを見下しており、適当に我慢してやり過ごしながら生活している。そんなある日、マリアと出会って己の本質を見抜かれたことがきっかけで、次第に本当の自分を開放できるようになっていく。本来は観察眼に優れ、意外と毒舌な一面もある。そのためマリアの友人となってからは、暴走しがちだったり、偏った見方をしがちなマリアを戒め、やがて亜由とも本音で話せる友人となる。さらに、特技の裁縫を活かして、学校行事やマリアたちと自作するミュージックビデオ用の衣装を担当するようになる。
中村 亜由 (なかむら あゆ)
十塚学園高校1年C組に在籍する女子。のちに2年C組、3年C組に進級する。巻き髪セミロングヘアに派手なメイクをしているが、目は小さめで団子鼻。そのため、自分の容姿に強いコンプレックスを抱いており、ヘアメイクに非常に力を注いでおり、コンプレックスを軽減しようとしている。身長は161センチ。ファッションに興味があるが、これと言ったこだわりはなく、お小遣いの範囲で流行に沿った服装を身につけている。クラスではリーダー格として強気に振る舞っており、気に入らない女子には高圧的な態度を取る。気の弱い甲坂友世をいいように使うことで、クラスでは強い立場を保っていた。そんなある日、可愛マリアが転校してきたことで、マリアの美しい容姿と、歯に衣着せぬ言動に反感を抱く。そこで、友世を使ってマリアを陥れようとするが、その過程でマリアの人間性に触れ、反発しつつもマリアを認めるようになっていく。また、マリアの影響で友世が以前よりも本当の自分を出せるようになってからは、友世へのいじめをやめ、次第に本音で話せる友人になった。自己評価が低いために他者には攻撃的になりがちだが、なかなか素直になれないだけで、面倒見のよい一面もある。また、間違っていると感じたことに対しては、周囲に流されず自分の意見を貫き通す強さも持っている。神田優介に思いを寄せているが、自分に自信が持てず、積極的にアプローチできずにいる。
井吹 ハナ (いぶき はな)
十塚学園高校1年C組に在籍する女子。神田優介の幼なじみ。天然パーマのベリーショートヘアにしている。身長150センチ。素朴で中性的な印象を与える。精神的に余裕がある時は、語尾に「~ッス」と付けて話すことがある。一見、気さくで陽気な人気者として振る舞っているが、身勝手な性格で実際は自分をよく見せることしか考えていない。そのため、周囲には天使のような人物だととらえられているが、井吹ハナ自身は優介以外の人間にはまったく関心がなく、表面上親しげにしているだけである。また、被害者意識が非常に強く、気に入らない人間に対しては、相手を加害者扱いすることで間接的に攻撃することが多い。喘息持ちで身体はあまり丈夫ではなく、2週間程度学校を休んでいるあいだに、可愛マリアが転校してきたことを知る。さらにマリアと優介が親しいことや、校内合唱コンクールのリーダーとしてクラスをまとめようとしていることに腹を立てる。そこで、マリアを間接的に攻撃して、その居場所を奪おうとする。実家は優介のお寺の檀家だが、井吹ハナ自身は仏教徒というわけではない。そのため、初詣は神社に行き、クリスマスをお祝いして十字架も身につけるという、自由な考え方を持っている。ニットのアイテムと、あみぐるみが好き。
申利 あんな (もうり あんな)
神奈川県にある聖カトリア女子学園高校に通う1年生の女子。胸まで伸ばしたロングウェーブヘアで、フランス人形のような容姿をした美少女。可愛杏奈とは血縁関係はないが、容姿の雰囲気や人柄もよく似ている。一見儚(はかな)げでか弱い雰囲気を漂わせているが、実際は物おじしない、明るく気の強い性格をしている。高校に入学してすぐ、可愛マリアに声をかけて親しくなった。しかし押しが強く、おせっかい気味で独善的な一面があり、周囲からはこれを煙たがられてもいた。そんなある日、病気で失声症になり、筆談でしか会話できなくなってしまう。以来、少しずつ校内での立場が弱くなり、面倒ごとを押し付けられるなど、間接的ないじめに遭うようになる。これがきっかけで、問題を解決しようとしたマリアと、いじめの隠蔽のために申利あんなを転校させようとしたシスターが対立し、マリアがシスターを殴る暴力事件が発生。マリアだけが退学となり、現在は周囲から浮いたまま聖カトリア女子学園高校で過ごしている。そのため、マリアに対して愛情と憎しみの交じり合った複雑な感情を抱いており、目黒伸の存在がきっかけで再会してからは、マリアを自分のように学校で孤立させようとする。得意科目は音楽で、特に歌うことが好き。そのほかの科目は中の上程度の成績だが、これは神奈川県トップクラスの偏差値である聖カトリア女子学園高校におけるものなので、実際は非常に優秀。非常に力が強く、握力は同年代の男子並み。そのため、ノート1冊程度の厚さのものであれば簡単に破ることができる。カッとなるとすぐに手が出てしまう。
黒須 申太郎 (くろす しんたろう)
十塚学園高校1年B組に在籍する男子。可愛マリアたちが2年生になった時に入学したため、マリアたちの1学年後輩にあたる。実の両親には捨てられており、現在はジョン・クロスの運営する福音マリアンナ教会養護施設の一員である。そのため、ジョンのことを実の父親以上に慕っている。ウルフカットヘアをハーフアップにした、チャラチャラした雰囲気を漂わせている。さらにいつもいやらしいことばかり考えており、それを堂々と口にするセクハラ常習犯である。ある日、マリアが「黒須はエロい」と言おうとしたところ、これが混ざって「エロス」と言ってしまい、それ以来「エロス」があだ名となってしまう。ジョンとマリアの関係について以前から知っており、十塚学園高校に入学してすぐ、現在のジョンのことを知ってもらうため、マリアに近づく。そしてすぐにマリアに思いを寄せるようになる。マリアたちの前では明るく振る舞っているため、陽気な性格だと認識されている。しかし、実際は信頼関係を築いてから付き合いたいタイプで、マリア以外には関心は薄く、クラスでは近寄りがたい人物として知られている。しかし、マリアといっしょに過ごすうちに、神田優介たちにも心を開くようになっていく。特に、優介の親切で気配り上手な人柄を慕っている。一方で、目黒伸に対してはライバル意識が強く、生意気な態度を取りがちである。
渡部 浅美 (わたべ あさみ)
十塚学園高校1年C組に在籍する女子。オーケストラ部に所属している。ひょろっとした体型で、ショートヘアにしている。地味な印象で、クラスではあまり目立たない。可愛マリアが転校してきた当初は、マリアにあまりいい印象は持っていなかった。しかし、校内合唱コンクールをきっかけにマリアの真剣さに心打たれ、練習に参加するようになる。そのため、マリアがテレビ番組「弓矢の旅」スタッフと学校側の思惑に利用されそうになった時は、コンクールのボイコットを決行するなど、正義感の強い一面を見せた。日下部圭子とは親しく、つねに行動を共にしている。高校2年生の文化祭の時は、楽器の腕を活かして「音楽メイド喫茶」の演奏を担当した。
日下部 圭子 (くさかべ けいこ)
十塚学園高校1年C組に在籍する女子。オーケストラ部に所属している。ややぽっちゃりした体型で、セミロングヘアに眼鏡をかけている。地味な印象で、クラスではあまり目立たない。可愛マリアが転校してきた当初は、マリアにあまりいい印象は持っていなかった。しかし、校内合唱コンクールをきっかけにマリアの真剣さに心打たれ、練習に参加するようになる。そのため、マリアがテレビ番組「弓矢の旅」スタッフと学校側の思惑に利用されそうになった時は、コンクールのボイコットを決行するなど、正義感の強い一面を見せた。渡部浅美とは親しく、つねに行動を共にしている。高校2年生の文化祭の時は、楽器の腕を活かして「音楽メイド喫茶」の演奏を担当した。
松野 武 (まつの たけし)
十塚学園高校1年C組に在籍する男子。神田優介の友人。スポーツ刈りヘアに眼鏡をかけており、背が高い。なんに対しても流されやすい性格で、はっきりした意見を持たず、その場の雰囲気に同調されがちである。優介とは坪井健一も交えて三人で仲がよく、優介の八方美人で本心を見せない部分を見抜いており、内心淋しく思っていた。しかし、可愛マリアが転校してきたことをきっかけに優介が以前よりも内面を見せるようになり、校内合唱コンクールで本音でぶつかり合ったのを機により親しくなった。一方で、目黒伸とはあまり親しくなく、少し苦手意識がある。趣味はサッカー。
坪井 健一 (つぼい けんいち)
十塚学園高校1年C組に在籍する男子。神田優介の友人。肩につくほどまで伸ばしたウルフカットで、三白眼が特徴。一見お調子者に見えるが、意外としっかり者で、家でも長男として家族を支えている。優介とは松野武も交えて三人で仲がよいが、優介の八方美人で、なかなか本心を見せてくれない部分を見抜いており、内心淋しく思っていた。しかし、可愛マリアが転校してきたことをきっかけに、優介が以前よりも内面を見せるようになり、校内合唱コンクールで本音でぶつかり合ったのを機により親しくなった。一方で、目黒伸とはあまり親しくなく、少し苦手意識がある。特技は料理で、高校2年生の文化祭の時は「音楽メイド喫茶」の調理を担当した。趣味はサッカー。
1年C組の担任教師 (いちねんしーぐみのたんにんきょうし)
十塚学園高校で英語の教師を務める男性。1年C組の担任も兼任している。その後、3年間を通して可愛マリアたちの担任となった。オールバックにしたショートヘアで、眼鏡をかけている。幼稚で陰険な性格で、自分の生徒を含めて学生全般を見下している。そのため、偏った見方で物事を解釈してしまうきらいがある。特に気に入らない生徒に対しては、人前で暴言を吐いて恥をかかせたり、不要な課題を大量に課したりするなど、日常的に理不尽な嫌がらせを行なっている。しかし、嫌がらせは女子や気の弱そうな男子など、自分に反抗しなさそうな相手を選んで行うことが多く、その卑怯なやり方は生徒たちにも認識されている。その結果、どれだけ横暴に振る舞っても生徒たちからは冷淡な態度を取られており、空気のように扱われている。そんなある日、十塚学園高校に転入してきた、気が強いマリアが気にくわず、目の敵にするようになる。それでも井吹ハナのことだけは従順な生徒だととらえていたが、校内合唱コンクールでは彼女にも裏切られてしまう。
安積 真一 (あずみ しんいち)
テレビ番組「弓矢の旅」のディレクター兼キャスターを務める男性。ショートヘアに眼鏡をかけ、オネエ口調で話す。いつも冷静で観察眼に優れる優秀な人物ながら、ややナルシストなところがあり、周囲を困惑させることが多い。ある日、番組の企画で十塚学園高校の校内合宿コンクールを取材することになり、可愛マリアたちの練習風景を中心に撮影を進めることになる。そのため、当初は仕事として1年C組の面々とかかわるようになるが、次第にマリアの不自然な態度や井吹ハナの身勝手な行動、1年C組の担任教師の横暴な態度に疑問を持つようになる。そこで、表面上はにこやかに接しつつも、ハナに鋭い指摘をするなど、間接的にマリアをサポートした。また、この時に聞いたマリアの歌声を気に入っており、歌手として活動し続けて欲しいと願っている。名前の漢字を間違えられることが多く、お酒に酔うとよくそのことを嘆いている。
榊 章吾 (さかき しょうご)
神奈川県にある音楽教室「水澤音楽教室」で講師を務める男性。年齢は27歳。肩まで伸ばしたぼさぼさのセミロングヘアに無精ひげを生やした、ラフで少しだらしない印象を与える。音楽大学の作曲科を卒業後、海外留学を経て日本に戻り活動している。ふだんはマイペースで生徒に関心はなく、適当に指導をしている。しかし、可愛マリアのことはテレビ番組「弓矢の旅」で歌う姿を見て以来、ひそかに興味を持っていた。そんなある日、マリアが「水澤音楽教室」に出入りするようになったことで、マリアに路上ライブをやってみないかと誘う。実際はマリアが歌うことで、申利あんなを精神的に追い詰める様を見たいだけという、残酷な考えを持っている。また、音楽的才能に欠ける人間には冷たく、路上ライブの際には冷淡な態度で俊矢を傷つけたが、気にも留めずにいる。
俊矢 (としや)
ミュージシャンの若い男性。神奈川県の路上で演奏している。マッシュヘアで、糸目が特徴。作曲家としての能力は高いが、歌う内容がやや難解だったり、歌唱力に自信がないことから、思うように人気が出ていない。そのため、ますます自信を喪失するという悪循環に陥っている。そんなある日、いつものように路上で歌っていたところ、偶然やってきた可愛マリアと出会う。この時マリアの人柄に惹かれるが、あまり話せないままに終わり、さらにこの時浴びせられた榊章吾の冷たい言葉がきっかけで、マリアにあこがれと激しい嫉妬心を抱くようになる。
目黒 征司 (めぐろ せいじ)
世界的な指揮者である中年の男性。目黒伸の父親。ぼさぼさのウルフカットヘアで、目つきが悪く不愛想に見える。ふだんは明るく気さくな性格だが、仕事に煮詰まると精神的に不安定になり、周囲に当たり散らすことが多くなる。伸の過去の失敗もあって伸との関係はあまり良好ではなく、実の息子であるにもかかわらず、伸には敬語を使われている。このような関係性は伸が高校2年生の夏まで続いたが、伸が可愛マリアのためにもう一度真剣にピアニストを志すようになってからは、厳しくも温かく見守るようになる。マリアへの思いを前面に出すようになった伸の演奏や、物おじせずはっきり自分に意見した黒須申太郎のことは気に入っている。
可愛 杏奈 (かわい あんな)
可愛マリアの母親で、故人。肩まで伸ばしたウェーブボブヘアにした美女で、申利あんなとは血縁関係はないが、容姿の雰囲気や人柄もよく似ている。特に髪を切る前は、あんなとは同じ髪形でよく間違われていた。神奈川県横須賀にある銀製品の工場「可愛製作所」の娘として生まれ、周囲でも評判の美少女として育つ。しかし中学2年生のある日、アメリカ軍兵士のジョン・クロスに強姦され、この時にマリアを身ごもる。その後、両親がアメリカ軍と日本政府の高額の示談金に目がくらみ、示談に応じてしまう。これに絶望して両親と絶縁し、生活保護を受けながら一人でマリアを育てた。本来は明るく気の強い性格だったが、強姦事件後は周囲から好奇の目で見られるようになり、さらに美形であることで近隣住民から嫌がらせに遭うようになる。これによって次第に精神を病み、マリアと心中しようとした。しかしこれは失敗に終わり、自分だけが死亡することとなった。ジョンとは複雑な関係で、事件後は毎日のように届くジョンからの贖罪(しょくざい)の手紙に、マリアの成長記録を返信していた。
ジョン・クロス
神奈川県横須賀にある福音マリアンナ教会で、牧師を務めるアメリカ人の男性。可愛マリアや黒須申太郎をはじめとする、福音マリアンナ教会の子供たちの養父である。金髪のショートヘアをオールバックにしており、まじめで落ち着いた雰囲気を漂わせている。元アメリカ軍兵士で横須賀で働いていたが、同じく軍人である父親や兄に比べて思うように出世できず、精神的に鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、近所で評判の美少女の可愛杏奈を誘拐したのち、強姦した。これによって杏奈はマリアを身ごもるが、アメリカ軍と日本政府が多額の示談金を提案したことで可愛家が折れ、示談が成立した。その後は毎日のように杏奈に贖罪の手紙を送っており、その返信でマリアの成長を知っていた。杏奈の死後は一人きりとなったマリアに金銭的支援をして、影ながら生活をサポートしていた。その頃には福音マリアンナ教会の牧師と養護施設の養父になっており、申太郎にだけは、自分とマリアの関係を打ち明けていた。現在はまじめだが、どこかとぼけた天然気味な人柄として知られており、非常に涙もろい。なお、今も軍人だった頃の身体能力は健在で、素人の攻撃なら簡単にかわすことができる。