概要・あらすじ
甘野福は、兄と二人暮らしをする、中学生2年生の女の子。兄が出張中の1年間、完璧な自炊生活を送るつもりだったが、実際の食生活は乱れていた。ファストフードや菓子パンなど、独身のサラリーマンのような食事ばかりだったのだ。そんなある日、今度の土曜日に兄が帰ってくるという電話を受ける。ベランダで、ハンバーガーを頬張りながら電話に出ていた福は、「ちゃんとした食事をとっているか」という兄の言葉にドキッとしながらも、自炊をしていると噓をつく。
そんな様子を偶然目にしてしまったのが、隣に住む辛島想太。ファストフードよりましだと、想太は残りものを詰めたタッパーを、福に渡す。その優しさに感動した福は、タッパーの料理を食べて、その旨さにまたまた感動するのであった。
翌日、福が学校の食堂で、友達に昨日の出来事を話していると、エプロン姿の想太が現れる。想太は同じ学校の調理部部長だったのだ。タッパーを返そうとお礼を言う福だったが、些細なことで想太とケンカをしてしまう。授業終わりのホームルーム。土曜日に授業参観があるという。食堂は閉まっているので、弁当は各自持参だった。
参観に来てくれる兄のために、弁当作りに挑戦しようとする福だが、料理本を立ち読みして諦める。スーパーマーケットで、菓子パンを買い込んで帰ろうとしたとき、バッタリと想太に出会う。ケンカした気まずさに、そそくさと立ち去ろうとする福に、想太は声をかける。くだらない事でケンカをした罪滅ぼしに、自分が料理を作ってあげるというのだ。
想太の優しさに再び感動した福は、料理を教えてほしいと頼む。こうして、二人で料理をすることになり、悪戦苦闘の末に、かわいいお弁当が二つ完成した。そして授業参観当日。お昼休みになっても、福の兄は現れなかった。仕事の都合で来られなくなってしまったのだ。落ち込む福の前に、想太がやってきた。3年生である想太は、午前中で授業が終わりだったが、お兄さんの代わりをしてくれるという。
想太の優しさに涙を流す福。こうして福は、お隣さんである想太と、幸せいっぱいの日々を過ごすことになったのである。
登場人物・キャラクター
甘野 福 (あまの ふく)
14歳の中学2年生。ツインテールが特徴の女の子。小学校5年生の時に、両親が離婚し、マンションで兄と二人暮らしをしている。お隣は、同じ学校の3年生である辛島想太。性格は甘えん坊で、お兄ちゃん子。料理が苦手で、兄の出張中はファストフードや菓子パンばかり食べていた。食生活の乱れがきっかけで、隣人の想太と知り合いになり、仲良くなる。
辛島 想太 (からしま そうた)
甘野福と同じ中学に通う、中学3年生の男子。調理部部長。福が住んでいるマンションの隣人。「健全な精神は、健全な食事から」がモットー。福の食生活を見かねて、バランスの良い食事をあげたり、料理を教えたりする。一見クールだが、じつは面倒見の良い優しい性格。