戦姫絶唱シンフォギア

戦姫絶唱シンフォギア

TVアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』のコミカライズ作品。シンフォギアに選ばれた少女の立花響が、人類の天敵であるノイズとの戦いを通じて成長する姿を描くガールズアクション。「歌って戦う変身ヒロイン物」をコンセプトにしており、歌を通じて人が理解し合っていく姿を描いているのが特徴。「ニュータイプエース」2011年vol.4から2013年vol.19にかけて連載された作品。

正式名称
戦姫絶唱シンフォギア
ふりがな
せんきぜっしょうしんふぉぎあ
原作者
上松 範康
原作者
金子 彰史
漫画
ジャンル
アクション
 
スーパーヒロイン
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あらすじ

第1巻

人類はノイズの脅威にさらされていたが、二課はノイズに対抗するためにシンフォギアを開発、風鳴翼天羽奏の二人の少女にその力を託し、ノイズへの反攻を開始する。ノイズと戦いつつ、ボーカルユニット「ツヴァイウィング」としても活動していた翼と奏の二人は歌の力を使い、新たな力「ネフシュタンの鎧」の起動実験を行おうとする。しかし、その実験は暴走の果てに失敗。さらにおびただしい数のノイズを招く結果となってしまう。奏は観客と翼、そしてノイズの襲撃にたまたま巻き込まれた少女の立花響を救うため、絶唱を歌う。絶唱の力でノイズは全滅したものの、力を使い果たした奏は翼の目の前で命を散らすのだった。それから2年後、響は奏のシンフォギア「ガングニール」を受け継ぎ、二課の一員として働いていた。しかし、そこに騒動で行方不明になっていた、ネフシュタンの鎧を身にまとった少女の雪音クリスが現れ、響たちと敵対する。響は激闘の果てにクリスを撃退、彼女に手を差し伸べて和解を試みる。

第2巻

雪音クリスは世の争いの理不尽に翻弄され、世界から争いをなくしたいと考えていた。その思いを胸に、フィーネに力を貸していたクリスであったが、立花響たちとの戦いを経て、少しずつフィーネに疑念を募らせていく。そして、疑念が限界に達したクリスはフィーネを問いただすものの、返ってきたのは己がだまされていたという事実だった。ネフシュタンの鎧もフィーネに奪われ、無力な状態で逃げたクリスは紆余曲折の末、行き倒れていたところを響と小日向未来に拾われる。クリスは己の正体に気づかず、自分を労わる響と未来に次第に友情を感じ始める。しかし、そこにクリスを追うフィーネの追っ手が出現。二人を巻き込まないように、独りで飛び出すクリスだったが、その騒動がきっかけで響がシンフォギア装者であることが未来にバレてしまう。クリスは自分の浅はかな行動が二人の友情を壊してしまったことを後悔し、守るための戦いを行うことを決意。かつて失敗したシンフォギア「イチイバル」の起動に成功し、フィーネを止めるための戦いを始める。

第3巻

櫻井了子二課の科学者であり、シンフォギアシステムの生みの親であったが、その正体は一連の事件の黒幕、フィーネだった。カ・ディンギルが起動し、正体を隠す必要がなくなったフィーネは姿を現し、己の目的を語る。彼女は人類を相互不和の呪い「バラルの呪詛」から解放するため、その呪いの中核である月を破壊するつもりだったのだ。月の破壊が目前とせまる中、雪音クリス風鳴翼立花響と共闘し、フィーネと戦う。絶唱の力まで駆使して、翼とクリスは遂にカ・ディンギルを破壊する。しかし、響は仲間たちを目の前で失って戦意喪失。逆上したフィーネを前に響は成す術がないと思われたが、そこに小日向未来が現れ、彼女に自らの思いを伝え、再び立ち上がらせる。二人の紡ぐ思いは奇跡を呼び、その力は絶唱で散っていったクリスと翼のもとにまで届く。クリス、翼、響の三人は、シンフォギアに秘められた機能であるエクスドライブを解放し、フィーネとの最後の戦いに挑む。

メディアミックス

TVアニメ

本作『戦姫絶唱シンフォギア』は、TVアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』を原作としている。TVアニメ版は2012年1月から2012年3月にかけてTOKYO MX、毎日放送、キッズステーションほかで放送された。制作はサテライトが担当。内容は本作と同じく、立花響たちシンフォギア装者が、世界を守るためにノイズと戦う姿を描いている。また、アニメでは「少女たちが歌って戦う変身ヒロイン物」という本シリーズのコンセプトが十全に押し出されており、声優たちによる劇中歌が多いのが特徴。特に放送当時は、「ライブシーンがあるアニメがヒットする」傾向にあったため、登場人物たちのライブシーンには力が入れられており、臨場感のあるライブシーンが描かれている。立花響役を悠木碧、風鳴翼役を水樹奈々、雪音クリス役を高垣彩陽、小日向未来役を井口裕香、天羽奏役を高山みなみがそれぞれ務めた。

登場人物・キャラクター

立花 響 (たちばな ひびき)

私立リディアン音楽院高等科に通う1回生の少女。栗色の髪をショートボブにセットしている。小日向未来とは親友の関係。2年前、未来に誘われにツヴァイウィングのライブを見に行ったところ、ノイズの襲撃を受ける。天羽奏の命を投げ打った絶唱で命を救われるものの、戦いの最中、奏のシンフォギアの聖遺物「ガングニール」の破片がその身に突き刺さり、その力を宿してしまう。命は取り留めたが破片は心臓付近に取り残され、生体と聖遺物が融合した「融合症例第一号」に認定される。奏の死後、ガングニールの力を発現して以降は二課のシンフォギア装者としてノイズと戦う。「人助けが趣味」と公言するほど、他人に分け隔てなく手を差し伸べる明朗闊達な性格をしている。当初はライブで犠牲になった奏やほかの観客への負い目から人助けに奔走していたが、現在では純粋に人を守りたいと思っており、敵である雪音クリスやフィーネに対してもわかり合うために手を差し伸べている。シンフォギア展開時は、黄色と黒を基調としたスーツ姿となり、主に手甲を武器とした格闘戦で戦う。

風鳴 翼 (かざなり つばさ)

ツヴァイウィングとして活動する歌手の少女。年齢は18歳。青い髪をストレートロングに伸ばし、ワンサイドアップにセットしている。15歳の時からシンフォギアの適合者として二課に協力してきた。天羽奏とは志を同じくする親友同士で、奏と共にツヴァイウィングとして活動していたが、2年前、ノイズの襲撃で彼女を失う。もともとクールで自分に厳しい性格をしていただけに、親友の死を自分の責任として受け止め、自分自身を追い込んでしまう。それだけに奏のシンフォギアを受け継いだ立花響には複雑な感情を抱いていたが、ひたむきな彼女の姿を見ているうちに次第に打ち解け、心強い先輩として彼女を導くようになる。「防人」の使命を持つ風鳴一族の人間で、風鳴弦十郎は叔父。幼い頃から防人として育てられてきたため、武士のような独特な口調で話す。しかし、歌手として活動する際にはふつうの口調で話すように努めている。歌手としても装者としてもきちんと活動しているが、実は家事が苦手で、部屋は散らかり放題のゴミ屋敷と化している。使うシンフォギアは「天羽々斬(あめのはばきり)」で、青を基調としたスーツ姿となる。剣を使った近接戦を主体とするが、展開する剣は巨大にしたり、多数を射出したりと、幅広い使い方ができる。

雪音 クリス (ゆきね くりす)

ネフシュタンの鎧を身にまとう謎の少女。年齢は16歳。白い髪を二つ結びにし、グラマラスなスタイルをしている。フィーネの命令に従い、二課のシンフォギア装者に襲い掛かる。ネフシュタンの鎧の力で風鳴翼、立花響を圧倒するが、不可解なフィーネの言動を次第に疑問に思い始める。数年前までは両親と共に暮らしていたが、紛争地帯でのボランティア活動中、両親をテロで失ってしまう。それ以降は争いを強く憎むようになり、フィーネの争いをなくすという言葉を信じ、彼女の命令に従う。しかしフィーネに騙されていたことを知り、用済みとして処分されそうになったために逃亡。その際、フィーネにネフシュタンの鎧も奪われてしまう。その後は疲弊していたところを偶然、響と小日向未来に助けられる。敵であった頃から一貫して手を差し伸べ続けた響に友情を感じ始める。フィーネの追っ手との戦いで、友人を守るためにそれまで起動できなかったシンフォギア「イチイバル」を起動し、フィーネと戦う。イチイバルを装着時は赤を基調としたスーツを身にまとい、弓や銃火器といった遠距離武器を主体として戦う。

小日向 未来 (こひなた みく)

私立リディアン音楽院高等科に通う1回生の少女。黒い髪を肩口で切りそろえ、白い大きなリボンを付けている。立花響とは幼なじみの関係で、心を通じ合わせた親友同士。現在は寮生活を送っており、響とはルームメイトの関係でもあり、四六時中生活を共にしている。しっかりとした性格で、無鉄砲な響のフォロー役も担当する。響がシンフォギア適合者になっているのは知らないため、最近、彼女が二課の仕事でいなくなっているのを怪しみ、心配している。ただの民間人でノイズ関連の騒動にはかかわらずにいたが、傷ついた雪音クリスを街中で保護したことで、一連の騒動にかかわっていく。クリスを追って現れたノイズとの戦いで、響の隠し事を知ってショックを受ける。とまどいから一時は響を拒絶するものの、心の整理をつけたのちに和解。最終決戦では津山に守られながら響のもとにたどり着き、彼女に歌と思いを届け、エクスドライブ発動のきっかけをつくる。

天羽 奏 (あもう かなで)

ツヴァイウィングとして活動する歌手の少女。故人で、享年は17歳。姉後肌の面倒見のよい性格で、赤みがかった髪を長く伸ばしていた。2年前、風鳴翼と共に開発されたばかりのシンフォギアのテストを担当する。しかし翼と違い、シンフォギアの適合率が低かったため、薬で無理やり発動させていたことで、かなり肉体を酷使していた。翼とは仲がよく、ツヴァイウィングとしての歌手活動もいっしょに行い、歌で多くの人々を魅了していた。しかし2年前、ネフシュタンの鎧の起動実験を兼ねたライブで、ノイズの襲撃を受ける。実験のため、薬を控えた状態でシンフォギア「ガングニール」を発動したことで体に莫大な負担が掛かり、さらに立花響と翼を助けるために絶唱を使った反動で、肉体は跡形もなく消滅した。傷つきながらも生きるのをあきらめないバイタリティにあふれた人物で、彼女の生きざまは翼と響に大きな影響を与えている。また彼女の使ったガングニールは、その破片が偶然、響の体に宿り、その力が受け継がれている。

風鳴 弦十郎 (かざなり げんじゅうろう)

二課の司令を務める精悍な顔つきの中年男性。鍛え抜かれたたくましい体を持つ。風鳴一族の人間で、風鳴翼とは親戚の関係。豪快な性格ながら、柔軟な発想力を持つ優秀な人物で、若い人間が多いシンフォギア装者たちの頼るべき寄る辺となっている。

津山 (つやま)

二課に所属する軍人の青年で、階級は陸士長。実直な性格で、2年前の一等陸士だった頃は風鳴翼と天羽奏の警護を担当していた。ノイズとの戦いで二人に助けられており、彼女たちの歌と生きざまに大きな影響を受けている。フィーネとの最終決戦では巻き込まれた小日向未来の護衛を担当した。わずかな交流ながら、迷いの中にいた未来に道を指し示し、彼女と立花響の和解を大きく助ける。

櫻井 了子 (さくらい りょうこ)

二課に所属する女性。髪の毛をお団子状にしてまとめた妙齢の化学者で、眼鏡を掛けて白衣を身にまとっている。シンフォギアをはじめとする二課の装備の開発者で、天才的な頭脳でノイズへの対抗策を開発している。シンフォギアシステムの開発者であるため、装者たちともよく接しており、年長者として彼女たちを導いている。特に、融合症例第一号である立花響のことは何かと気に掛けている。荒事にも慣れており、戦闘の際にも冷静沈着に対応する。実は二課の裏切り者で、一連の事件の黒幕でもある。フィーネと呼ばれる存在に乗っ取られており、本来の櫻井了子の意識は消滅している。カ・ディンギル建造後、正体を現して二課に牙をむく。

フィーネ

その名は「終わり(fine)」を意味する謎の女性。雪音クリスに指示を下して暗躍する。金色の髪を長く伸ばした女性の姿をしており、衣服を最低限しか身にまとわない扇情的な格好をしていることが多い。その正体は、先史文明時代の亡霊ともいうべき存在で、フィーネの遺伝子を受け継いだ人間の肉体を乗っ取って活動している。現在は櫻井了子の肉体を乗っ取り、表向きは了子として二課で働いていた。人類をバラルの呪詛から解放し、「あのお方」と呼ぶ何者かに自分の思いを伝えることを目的としている。了子の権限を使い、二課本部をひそかにカ・ディンギルへと改造する。カ・ディンギル建造後に正体を現し、立花響たちと最終決戦を繰り広げる。聖遺物と融合した響を参考にして、人体と聖遺物を融合する技術を完成させており、その身をネフシュタンの鎧と融合させている。これによって、生身部分にも強力な再生能力が適用されるようになっており、不死身に近い存在へと変貌している。また最終決戦ではさらに、デュランダルとソロモンの杖を使い、大量のノイズと融合して巨大な竜の姿「黙示録の竜」となる。

集団・組織

ツヴァイウィング

風鳴翼と天羽奏によるツインボーカルユニット。表向きは人気を集めている新進気鋭のボーカルユニットだが、その実、シンフォギア装者の活動の一環で、その活動は二課がサポートしている。2年前のライブでは、彼女たちの歌で完全聖遺物の一つ「ネフシュタンの鎧」を起動しようとするものの、暴走の果てに失敗。さらに、その事故がノイズを引き寄せ、奏の死を招く結果となってしまう。奏の死後、ツヴァイウィングは事実上解散状態となり、翼はソロで活動することとなる。

二課 (にか)

ノイズに対抗するために結成された政府機関。「特異災害対策機動部」という部署の二課にあたる。一課も存在し、一課がノイズ災害での避難誘導や被害状況の処理といった一般的な仕事を担当するのに対し、二課はノイズへの対抗兵器であるシンフォギアの管理、運用という非常に秘匿性の高い仕事となっている。シンフォギア装者は若年層の少女たちであるため、彼女たちの正体も機密性の高い情報として扱われている。シンフォギアの運用にも使われている聖遺物が人間の歌に反応する特性を持つため、私立リディアン音楽院の地下に本部を構え、歌のサンプルを入手して研究している。雪音クリスの襲撃によって、本部の防衛機能は大幅に強化する方針を掲げたが、櫻井了子にこれを利用され、本部の防衛機構をカ・ディンギルへと改造されてしまう。

場所

カ・ディンギル

塔の形をした建造物。その正体は、フィーネが月を破壊するために建造した巨大な荷電粒子砲で、塔の部分は巨大な砲身。無限のエネルギーを発するデュランダルを動力源とすることで、絶大な破壊力を持つ。度重なる襲撃を受けた二課が、本部の防衛システムを強化することを決定。櫻井了子として二課に潜り込んでいたフィーネは、本部の防衛システムをひそかに改ざんし、カ・ディンギルへと作り変えていた。最終決戦では二課のメインシステムを乗っ取り、地下にある二課本部を変形させ、カ・ディンギルとして地上にそびえ立たせる。

その他キーワード

デュランダル

完全聖遺物の一つ。大ぶりの刃を持つ聖剣で、一度起動すれば無限のエネルギーを放つとされる。二課にて安置されていたが、雪音クリスの襲撃によって移送を決定する。しかし、移送中にクリスの襲撃を再び受ける。デュランダルの護送任務中だった立花響のフォニックゲインに反応して起動。莫大なエネルギーを発し、絶大な破壊力を発揮した。その後、さらなる襲撃を警戒した二課によって本部最深区画に封印される。しかし櫻井了子によって細工されており、カ・ディンギル建造後、その動力源とされてしまう。

ネフシュタンの鎧 (ねふしゅたんのよろい)

完全聖遺物の一つ。肩部分が大きく盛り上がり、棘状の装飾が施された全身鎧で、圧倒的な防御性能を誇る。また、鎧には無限ともいえる自己修復機能が存在し、完全に破壊しきることはシンフォギアの絶唱を使用しても困難。棘の装飾は鎖状となって敵を攻撃するにも使え、完全聖遺物の名に恥じない高い性能を誇る。もともとは二課が保管していたが、ツヴァイウィングの歌を利用しての起動実験中、ノイズの襲撃を受けて行方不明となる。その後、フィーネの手に渡り、雪音クリスによって運用された。高い防御性能と再生能力を誇るが、それはあくまで鎧本体に発揮されるもので、装着者には再生能力が発揮されることはない。また鎧が破壊された場合、装着者の体内に取り込まれ、再生能力が肉体に悪影響をもたらすという欠点も存在する。フィーネはこの欠点を立花響の融合症例を参考にすることで解消。クリスの反逆を機に彼女からネフシュタンの鎧を取り上げ、自らの身をネフシュタンの鎧と融合させる。これによって、生身の肉体部分にもネフシュタンの鎧の再生能力が発揮されるようになり、フィーネは肉体が細切れになっても復活する不死身性を獲得する。

ソロモンの杖 (そろもんのつえ)

完全聖遺物の一つ。名のとおり杖の形をした完全聖遺物で、ノイズが格納されている「バビロニアの宝物庫」にアクセスし、ノイズの召喚や使役を行うことができる能力を持つ。フィーネが所有しており、ノイズの襲来はほとんどが偶発的に起きたものだが、二課にまつわるノイズの襲来はフィーネがソロモンの杖を使って引き起こしたものとされる。最終決戦では、フィーネはソロモンの杖の力を最大限発揮し、無数のノイズを召喚。それらを取り込み、巨大な竜の姿「黙示録の竜」へと変貌する。

ノイズ

人類の天敵とされる謎の存在。さまざまな形をしたものが確認されているが、その姿は生物というよりも無機質な形をしたものが多い。意思疎通は不可能で、世界中の至る所に偶発的に現れ、手当たり次第に人間に襲い掛かる非常に危険な存在となっている。特筆すべきはその特性で、通常物理法則下のあらゆる攻撃を無効化する防御特性と、触れた人間を即座に炭素に変換して分解する攻撃能力を持つ。通常の物理法則を利用したものである限り、最新鋭の兵器でも傷つけられず、逆に相手の攻撃は一撃で人を殺すため、現状の軍隊では避難誘導くらいしか、ノイズとの戦いで有効な戦法がないとされている。日本政府はノイズを「特殊災害」と認定し、その対策のために特異災害対策機動部を結成。その二課が、ノイズへの対抗兵器としてシンフォギアを完成させる。これによってノイズの特性を無効化し、撃退する術を人類は手にした。長らく謎とされていたが、その正体は先史文明が作り出した自律兵器。バラルの呪詛によって争いを始めた人間たちは、お互いを殺し合うための兵器を開発。ノイズもその一つで、開発者たちが死に絶えたあとも、当初の命令を守って戦い続けているだけだった。ノイズは「バビロニアの宝物庫」と呼ばれる場所から無尽蔵に保管されており、ここから漏れ出たものが各地で災害を巻き起こしていた。またフィーネはソロモンの杖を使うことで、ノイズを支配下に置いている。

シンフォギア

ノイズに対抗するために生み出された特殊装備。正式名称は「FG式回天特機装束」で、「シンフォギア」の通称で呼ばれる。聖遺物の破片を用いて開発された鎧型の兵器で、聖遺物の力で近代兵器を超えた力を持つが、その何よりの特色はノイズの持つ炭素転換と防御特性を無効化する力で、人類の天敵であるノイズを滅することができる唯一の対抗兵器となっている。シンフォギアを使うには、その聖遺物に高い適合率を持つ者の歌の力「フォニックゲイン」が必要だが、適合者の数は少ないためにシンフォギアを扱える者の数は少ない。二課ではシンフォギアをまとって戦う者は「装者(そうしゃ)」と呼ばれている。シンフォギアは通常状態ではペンダント型の待機状態となっており、歌の力で起動することで聖遺物の力が解放され、スーツ部分を展開する。またシンフォギアの中には、スーツのほかに武器である「アームドギア」を展開するものもある。シンフォギアの力を引き出すには起動後もさらに歌い続ける必要があるため、装者は戦闘中に歌を歌い続けながら戦う。また、歌の中には限界以上に力を引き出す「絶唱」と呼ばれる歌も存在する。

絶唱 (ぜっしょう)

シンフォギアの力を解放するための歌。絶大な力を誇る反面、反動も大きく、場合によっては使用者の命を奪う諸刃の剣となっている。天羽奏は2年前、ノイズの襲来に伴って絶唱を使用。ノイズの大群を葬り去る大爆発を引き起こしたが、悪条件が重なっていたのもあり、絶唱の反動で肉体が消失して死亡に至った。

エクスドライブ

シンフォギアに搭載されている決戦機能。シンフォギアに課せられている制限を限定的に解除し、通常時をはるかに超える巨大な戦闘能力を与えるほか、飛行機能などさまざまな機能が追加で発現する。起動時は通常時に比べ、白を基調としたスーツとなり、光の羽のようなものが展開される。ただしエクスドライブの起動には、通常のシンフォギア起動をはるかに超えるフォニックゲインが必要となるため、通常の条件下では必要量のフォニックゲインを確保できず、起動することは不可能となっている。立花響は最終決戦で小日向未来や仲間と思いを通じ合わせることで、大量のフォニックゲインを生み出し、エクスドライブを発現させた。

聖遺物 (せいいぶつ)

先史文明の造り出した遺産の総称。現代の技術では再現不可能な異端技術(ブラックアート)の塊で、人知を超えた強大な力を宿している。ただし、ほとんどは長い年月によって経年劣化を起こしており、原型を残しているものは少ない。聖遺物は欠片であろうとなんらかの機能、エネルギーを残しているものもあり、それらを利用してシンフォギアシステムは開発された。聖遺物を起動するためには、適合者による歌の力「フォニックゲイン」が必要となる。また聖遺物の中には完全な形で残っているものも存在し、それらは「完全聖遺物」と呼ばれる。完全聖遺物は聖遺物の破片に比べて機能を十全に保全しているが、その分、起動には大量のフォニックゲインが必要となる。ただし完全聖遺物の場合、一度起動しさえすれば、いつでもその力を振るうことができるようになる。

バラルの呪詛 (ばらるのじゅそ)

太古の時代に人類にかけられた相互不和の呪い。人類は本来、統一言語によって相互に意思疎通が可能だったが、数千年前、何者かが全人類にこの人類の相互理解を阻む呪いをかけた。これによって人類はお互いを拒絶する争いを勃発させ、この争いによって先史文明は滅び去った。バラルの呪詛は月より地上に降り注がれており、月が存在する限り消し去る方法はない。そのためフィーネは月を破壊するために、カ・ディンギルを建造した。

クレジット

原作

上松 範康 , 金子 彰史

脚本

金子 彰史

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