概要・あらすじ
戦時中、旦那に死なれた元妾の畠山イサは、疎開してきてそのまま居着いてしまった本妻の大森キクとずっと二人暮らし。キクが生け花教室で家計を支え、イサが家事を担当するという関係だ。イサは自分の生んだ秀一郎をキクに奪われたという思いがある。その後、秀一郎が事故死したことや、最近、自分が可愛がっていたインコが逃げたことをキクの責任だといじめることが憂さ晴らしになっている。
とはいえ、二人の間には切っても切れない腐れ縁的な絆ができていた。
登場人物・キャラクター
大森 キク (おおもり きく)
『見晴らしガ丘にて』の第十二話「改心」の主人公のひとり。老婦人。子供ができない身体で、夫の二号のイサが生んだ秀一郎を引き取って育てていたが、戦災で本宅が焼け、親子でイサの借家に疎開。夫が三号の家で死亡し、秀一郎が事故死した後もそのまま住み続け、華道師範として生計を支えている。
畠山 イサ (はたけやま いさ)
『見晴らしガ丘にて』の第十二話「改心」の主人公のひとり。だらしない身なりの老婦人。奥さんの夫の二号。自分が生んだ秀一郎を奥さんに取り上げられた上、奥さんが目を離した隙に秀一郎が事故死したことを恨んでいる。それにもかかわらず奥さんと同居し続け、家事を担当している。
大森 秀一郎 (おおもり しゅういちろう)
幼くして亡くなった畠山イサの実子で大森キクの養子。回想シーンに登場する。
佐代子 (さよこ)
おにぎりや海苔巻を売るなつめ屋の主人で若い未亡人。第八話「なつめ屋主人」の主要な登場人物だが、こちらではイサのグチを聞く脇役として登場。
場所
なつめ屋 (なつめや)
『見晴らしガ丘にて』の第十二話「改心」に登場する店舗。住宅地の中で、こぢんまりと、おにぎり、海苔巻き、団子を売る店。店主は未亡人の佐代子。第八話「なつめ屋主人」の舞台。こちらではイサが立ち寄ってグチをこぼす店として登場。
見晴らしガ丘 (みはらしがおか)
東京都下の新興住宅地。旧地名は野川村。1960年代後半には農家が多かったが、作品に描かれる1985年前後には団地、マンション、分譲住宅が立ち並ぶ住宅地に変貌している。かつて存在した林や池もなくなっている。