あらすじ
第1巻
外界との接触を断ったまま、山奥に存在していた勿忘村で生まれ育った女性高校生の晴野初美が、都会の学校へと転校してきた。どんな変わった子がやってきたのかと、色めき立つクラスメートだったが、当の初美はいたってふつうの女子高校生だった。委員長の秋山薫や渡辺沙耶といっしょに学食でお昼を食べることになった初美は、書物でしか知らなかった実物のカレーライスを目にする。喜び勇んでカレーライスを注文した初美は、感動に打ち震えながら、実に美味しそうにカレーライスを平らげるのだった。(第1話。ほか、11エピソード収録)
登場人物・キャラクター
晴野 初美 (はるの あけみ)
アネモネ女子高等学校に通っている女子高校生。外部との接触を数十年間断っていた勿忘村で生まれ育ち、都会の高校へ転校してきた。ショートヘアの明るく素直な性格で、一見するとごくふつうの少女。読書家だった祖父の蔵書を小さい頃から読み漁っていたため、料理をはじめとする知識量が非常に豊富。しかし自給自足の村で、お米と菜っ葉ばかりが食卓にのぼっていた影響で、知識としては知っていても、その料理のほとんどを実際に食べたことがない。そのため、初めての都会生活でまだ食べたことがない料理を見るたびに大興奮し、本から得た知識を披露しながら、感動に打ち震えつつ美味しそうに料理を平らげることを日常としている。美味しいものを食べた時は必ず「どんぴしゃ美味しい」と感想を口にする。ピザのことを「ぺっつゎ」と独特の発音で表現したり、片栗粉やパン粉の存在を知らないなど、やや知識に偏りがある。
秋山 薫 (あきやま かおる)
アネモネ女子高等学校に通っている女子高校生。クラス委員長を務めている。眼鏡をかけた優等生で、言葉遣いが非常に丁寧。勿忘村から転校してきた晴野初美を気遣い、彼女をお昼へと誘ったことがきっかけとなり、初美の親友となる。初美が初めて食べる料理への新鮮な反応を見て、いつも驚いていた。実家は豪邸ながら、父親の調度品の趣味が悪いことを嘆いている。
渡辺 沙耶 (わたなべ さや)
アネモネ女子高等学校に通っている女子高校生。秋山薫の友人で、勿忘村から転校してきた晴野初美を気遣い、彼女をお昼へと誘ったことがきっかけとなり、初美の親友となる。初美の料理に対する新鮮な反応を面白がり、食事する時はいつもたくさん食べさせている。軽音部に所属しているが、今のところ部員は彼女一人。
場所
勿忘村 (ものわすれむら)
とある山奥にある辺鄙(へんぴ)な村。周辺との交流を数十年間断っていた孤立した地域で、最近になって発見された話題の村。晴野初美が生まれ育った村で、初美は勿忘村で唯一の子供だった。村に行くには崖や険しい山道を踏破するなど、かなり過酷な道程を経なければならない。