概要・あらすじ
生き人形のイアンは、現在の持ち主であるヨオに使いに出された。魂の宿った古道具たちが暮らす町で文車寫眞舘を営むヨオは、そのかたわら、文筆業も行っている。ところが、頼まれた本を持って帰ると、当のヨオは原稿用紙を前に眠りこけていた。このように、ヨオの写真館は大抵暇だったが、時には「表の町」と呼ばれる人間が暮らす場所から客が来ることもある。
今日も、老婦人が「思い出」の写真を求めて扉を開く。
登場人物・キャラクター
イアン
青い目をした生き人形の少女。明治時代に作られ、生まれてから20年ほどが経過している。人間から忘れられたり、役目をまっとうした道具たちが住む町で暮らしており、自在に動くことができる。しかし、現在の持ち主であるヨオ以外の人間の前では、人形のふりをしている。
ヨオ
祖父からイアンを受け継ぎ、現在の持ち主となった青年。役目を終えた道具が集う町に住む唯一の人間で、「思い出」を撮る写真館である文車寫眞舘を営んでいる。文筆業で生計を立てるのが夢で、写真館を経営するかたわら文筆活動も行っている。父親は戦争で財を成した会社で社長を務めているが、ヨオはその父親から勘当されている。
場所
文車寫眞舘 (ふぐるましゃしんかん)
ヨオが開いた「思い出」を写真に撮れる写真館。魂の宿った古道具たちが暮らす町に店を構えている。ヨオとイアンの他には居候のネコが1匹いる。ヨオが文筆の仕事をしている時は、イアンが店番をすることもある。客は大抵、人ではなく道具たちだが、時には「表の町」と呼ばれる、人間が暮らす場所から訪れる人もいる。