あらすじ
第1巻
高校の入学式を終え、新たな学園生活への期待に胸を膨らませていた生徒の前に姿を現した担任の猫山ロシ夫。二足歩行の巨大な猫にしか見えないロシ夫の姿を見た生徒達は大いに困惑するが、各々が「自分だけの錯覚」と思い込む事で、ささやかな日常を維持しようとする。しかし、ひょんな事から、やはりロシ夫が猫である事が発覚。猫バレしたショックで、ロシ夫は旅に出ようとする。(第1話「1年D組 猫山さん」)
芸能界に彗星のごとく現れた「超スーパーアイドル・猫山」。ただかわいいというだけで大人気となっていたロシ夫に嫉妬したアイドルの恭平は、歌番組「歌のグッド☆10」の放送中にロシ夫に対して激怒。しかし、そんな修羅場にプロデューサーが現れ、二人でユニットを組む事を提案する。(第2話「スーパーアイドル 猫山さん」)
彼女である千里の自宅を訪問した洋士は、家にいたロシ夫の姿を見て驚愕する。巨大な人型の猫にしか見えないロシ夫を、ごく普通の猫として扱っている千里に困惑した洋士は、彼女の「これならいついっしょに住んでも大丈夫だね」という言葉に対して、言い知れぬ不安を覚えるのだった。(第3話「202号室の猫山さん」)
学校の七不思議を暴くため、夜に学校へとやって来た女子高生の珠美とその友人達。しかし、化け猫にしか見えない友人の「猫山ロシ江」ことロシ夫と、それに気づかないほかの友人達の態度に苛立ちを隠せない珠美は、なんとかして友人の洗脳を解き、ロシ夫の正体を白日のもとにさらそうとする。(第4話「秘密の花園 猫山さん」)
全国から多くのファンが集う声優イベントが開催された。しかし、セクシーヴォイスで人気の高いロシ夫の容姿が、どう見ても二足歩行の猫であったため、彼の熱狂的なファンであった声優ファンの少女は、大きなショックを受けてしまう。(第5話「セクシーヴォイス 猫山さん」)
予告状を送り付けて盗みを働く大胆な覆面怪盗「彼奴☆愛」を捕まえるため、「猫山警部」ことロシ夫が動き出した。化け猫としか形容できない彼の姿に強烈な不信感を抱きながら、ロシ夫といっしょに警備をしていた捜査一課の若き刑事は、ロシ夫こそが犯人ではないかと疑いを抱く。(第6話「覆面怪盗 猫山さん」)
最強の呼び声が高い北高の番長と決闘をするため、河川敷で待ち構えてた他校の番長。しかし、現場に現れたのは大きな猫にしか見えないロシ夫だった。かわいいから手出しされない事がロシ夫の強さの秘密であると予想し、機先を制そうとする番長だったが、ロシ夫の強烈な猫パンチと猫キックの前にたじたじとなる。(第7話「喧嘩番長 猫山さん」)
義父の連れ子である「ロシデレラ」ことロシ夫を執拗にいじめる母親と姉をよそに、猫の化け物にしか見えないロシ夫の報復を恐れ、親切に接していた末っ子の少女。そんなある日、国の王子様が花嫁探しをするため、妙齢の女性を城に招いてダンスパーティーを開く事になり、末っ子の少女と姉、そしてなぜかロシ夫もパーティーに参加する事になる。(第8話「ロシデレラ 猫山さん」)
魔族に支配されようとしている世界を救うため、魔法少女になれる人材探していた妖精は、ついに魔法の鍵を拾った運命の子を発見。しかし、その少女は二足歩行の猫の姿をした「猫山ロシ美」ことロシ夫だった。得体のしれないロシ夫の姿に不安を覚える妖精だったが、少々の事には目をつむり、ロシ夫を魔法少女にしようとする。(第9話「魔法少女 猫山さん」)
「猫山ロシ乃」ことロシ夫は、校舎の上から落ちて来た植木鉢をその身に受け、高校生の少年を助けた。しかし、助けられた少年は、ロシ夫の異様な風体を見て言葉を失ってしまう。猫なのか人間なのか、正体がさっぱりわからないロシ夫の動向をなんとなく目で追っていた少年は、徐々にロシ夫に惹かれはじめる。(第10話「少女漫画風 猫山さん」)
ロシ夫は、子供番組「おかあさんとともに」の新しい歌のお兄さんとなった。かわいらしい着ぐるみとは一線を画す、リアルな猫人間の姿したロシ夫に、収録現場に来ていた保護者達はざわめく。なぜ彼が歌のお兄さんに選ばれたのかという周囲の疑問をよそに、ロシ夫は情感たっぷりに子供向けの歌を歌いあげる。(第11話「うたのおにいさん 猫山さん」)
お昼休みに友人と連れ立って入った蕎麦屋で、店主をしている巨大な猫のロシ夫の姿を見たOLは驚愕。OLはそんな猫の手で本当に蕎麦が打てるのかという疑問を抱くが、周囲の人間が普通にロシ夫に接しているのを見て、さらに混乱を来す。そんな蕎麦屋に、突然向かいのうどん屋の店主が乱入して来る。(第12話「蕎麦打ち名人 猫山さん」)
グループ内の人気アイドルを決定するNYK48総選挙で、「猫山ロシ代」ことロシ夫は見事頂点の座に立った。その結果、4年連続で2位に終わった努力家のあゆゆは、対して努力もせずに人気者となったロシ夫に対し、強い嫉妬心を抱き、少々汚い手を使ってでも、ロシ夫をトップアイドルの座から引きずりおろそうと画策する。(第13話「絶対的アイドル 猫山さん」)
疲れ切った中年サラリーマンは癒しの空間を求め、ふらりと猫カフェに入った。しかし、そこにいたのは巨大な人型の猫、ロシ夫だった。一度はその異様さにひるんだサラリーマンだったが、気を取り直して普通の猫との交流を始めるが、専用の猫おやつにロシ夫が食いついてくるのだった。(第14話「癒しの店員 猫山さん」)
大学館の編集者は、文学界の権威として知られる「猫山呂史彦」ことロシ夫の住所を突き止め、仕事を依頼しに訪れた。化け猫のような姿をしたロシ夫を見てもひるまなかった編集者は、「名産鰹節食べ比べセット」をあげるのと引き換えに、小説の執筆をお願いする。(第15話「伝説の文豪 猫山さん」)
第2巻
猫山ロシ夫は、重厚さが人気のサスペンスドラマ「バディ」に、主演の相棒として出演する事になった。10万人規模のオーディンションで選ばれたのが猫の化け物のロシ夫であった事に驚いた主演の高下弘樹は、ロシ夫にあわせて脚本がかわいい内容に改変されていく事に不満を抱く。(第16話「あぶないバディ 猫山さん」)
授業中にカスリ傷を負った転校生に付き添い、一人の男子高校生がいそいそと保健室へと向かおうとしていた。その様子を見た転校生は美人の養護教諭がいる事を予想するが、保健室にいたのはロシ夫だった。転校生は、ロシ夫をセクシーな養護教諭として扱う周囲の人間に強い違和感を覚える。(第17話「いけないティーチャー 猫山さん」)
編集者は、締め切りを過ぎても上がらない巻頭特集の漫画を、「猫山プロダクション」まで取りに来た。ロシ夫はトイレも我慢して描き続けていたが、いまだに12ページ分を完成できない。そんなロシ夫に、編集者は元気を出すためのおやつを作り、支援しようとする。(第18話「ハイパー漫画家 猫山さん」)
森に出没するという凶悪な狼を仕留めにきた猟師は、そこで赤い頭巾をかぶった少女と、巨大な人型の猫、ロシ夫を発見。病気の祖母を見舞おうとした少女が持っていた鯛の尾頭付きを、ロシ夫が奪おうとしているのではないかと考えた猟師は、密かにロシ夫のあとをつける。(第19話「森のオオカミ 猫山さん」)
小学生の大翔は念願の猫を飼ってもらえる事になった。だが、喜び勇んで下校し、帰宅した大翔が見たのは人型の猫、ロシ夫だった。思い描いていた猫とはあまりにもかけ離れた容姿をしているロシ夫に恐怖を感じ、落胆した大翔は、自室に引きこもってしまう。(第20話「503号室の猫山さん」)
本田瑞希は大人気料理番組のアシスタントになり、希望に胸を膨らませていた。しかし、相方となる料理研究家は、どう見ても化け猫の「ロシィ猫山」ことロシ夫だった。動揺を隠しつつ、ロシ夫と話を合わせる瑞希だったが、料理中に猫の本能が炸裂してしまう。(第21話「料理研究家 猫山さん」)
クリスマスの夜、小さな兄妹は寝たふりをして、サンタクロースを待っていた。しかし、窓から侵入して来たのは巨大な猫の姿をしたロシ夫だった。想像していたイメージとのあまりのギャップに衝撃を受けた兄は、ロシ夫が偽サンタクロースなのではないかと疑い始める。(第22話「サンタクロース 猫山さん」)
まほろば戦隊マホレンジャーの一員「グリーン」ことロシ夫は、カレーが大好き。カレーが好きなのは「イエロー」ではないのかと、仲間からの指摘を受けたロシ夫は、それは少数の特撮ヒーロー番組によって作られたイメージでしかないと反論。それ以降も、事あるごとに特撮ヒーロー番組あるあるを語りだす。(第23話「戦隊ヒーロー 猫山さん」)
体調不良による発熱で身動きできなくなった拓海は、近所の病院に往診を依頼。しかし、自宅にやって来たのは白衣を着た巨大な猫のロシ夫だった。強烈な違和感を覚えながらも、朦朧とした意識の中で素直に診察を受けた拓海は、ロシ夫とは昔からの知り合いであった事を知らされる。(第24話「スーパードクター 猫山さん」)
卵から孵った我が子を優しく見守っていた母親、アヒルは、子供達の中に大きな人型の猫、ロシ夫を発見。産んだ覚えがなく、天敵の猫そっくりなロシ夫に困惑しつつ、それでも愛情を持って接しようとするアヒル。しかし、ロシ夫の姿が奇妙な事を理解したほかの子供達は、ロシ夫をいじめ始める。(第25話「みにくいアヒルの子 猫山さん」)
とある小学校のクラスに転校生がやって来る事になった。イケメンやかわいい子を期待した生徒達をよそに、実際に転入して来たのは化け猫っぽいロシ夫。男子のあいだではたちまち人気となったロシ夫だったが、女子からは不信感を抱かれ、完全にはクラスには溶け込めずにいた。(第26話「某北関東DS 猫山さん」)
「猫山ロシ美」ことロシ夫は、ごくありふれた小さな会社に入社した。チャラついた現代っ子であるロシ夫が気にくわなかったお局様の平尾空は、社会人としての礼儀を厳しく教え込もうとするが、マイペースなロシ夫に振り回されてしまう。(第27話「ゆとり新入社員説 猫山さん」)
地球を支配するため、宇宙人はサンプルとなる地球人をさらい、調査を開始した。しかし、さらった人間はロシ夫だった。事前に仕入れた地球人の情報と異なり、やけに凶暴なロシ夫の態度に困惑する事しきりの宇宙人。しまいには、ロシ夫が鳴らすノドの音によって宇宙人は恐慌状態となってしまう。(第28話「未知との遭遇 猫山さん」)
プール開きの日、監視員をする事になったロシ夫は、プールサイドで走って大はしゃぎするカップルに対し注意をする。しかし、そのせいで彼氏から逆恨みされたロシ夫は、「またたび早食い競争」での勝負を挑まれてしまうのだった。(第29話「プール監視員 猫山さん」)
「江藤猫山」ことロシ夫は、予防接種を受けるため、飼い主の少年と共に動物病院へとやって来た。化け猫にしか見えないロシ夫に、彼を出迎えた若い獣医師は内心で激しく動揺するが、それでもなんとか獣医師としての責務を果たそうとする。(第30話「予防接種 猫山さん」)
登場人物・キャラクター
猫山 ロシ夫 (ねこやま ろしお)
直立した姿勢で二足歩行をする、巨大な猫のような何か。見た目は猫のロシアンブルーによく似ている。性別は基本的にオスだが、場合によってはメスになる。一見すると化け猫にしか見えないが、人間とはごく普通に会話でき、教師やアイドル、小説家、プールの監視員といったさまざまな職業に就いて、人間社会に溶け込んでいる。しかし、初めて猫山ロシ夫を見た人物が、その異様な姿に驚愕する事も多く、その場合は気づいた人物が、ロシ夫を普通の人間や猫として扱う周囲とのギャップにひたすら困惑するはめになる。 基本的にはロシ夫として人間社会で過ごしているが、その時の役割によって、「猫山ロシ江」「猫山警部」「ロシデレラ」などさまざまな名前で呼ばれている。目つきがとても鋭く、何もしていなくても周囲を威圧してしまう事が多い。 ただし、本人に一切悪気はない。
恭平 (きょうへい)
アイドルをしている若い男性。大した芸もないのに、かわいいというだけでアイドルとして大人気になっている猫山ロシ夫に嫉妬し、歌番組「歌のグッド☆10」に出演した際、放送中であるにもかかわらず、ロシ夫を罵ってしまう。
洋士 (ようじ)
動物好きな若い男性。交際中の女性、千里の家に訪問した際に、彼女が飼っていた化け物のような猫山ロシ夫の存在と、ロシ夫を普通の猫として扱っている千里に驚愕する。
千里 (ちさと)
若い女性で、洋士の彼女。自宅で猫山ロシ夫を飼っている。ロシ夫をただの猫としてしか認識していないため、洋士が不審がる態度にもいっさい気がつかなかった。洋士と同棲を希望している。
珠美 (あけみ)
女子高生。肝試しをするために、友人達と夜の学校へ忍び込む。その最中、化け猫にしか見えない友人の「猫山ロシ江」こと猫山ロシ夫の正体を、ほかの友人を前にしてなんとかして暴こうとする。
あゆゆ
人気アイドルグループ「NYK48」の女性メンバー。本名は不祥。毎年開催されるNYK48総選挙で、4年連続グループ内2位という好成績を残している努力家のトップアイドル。しかし、1位を独占し続ける「猫山ロシ代」こと猫山ロシ夫に嫉妬し、ロシ夫の活動を妨害しようと企む。
高下 弘樹 (たかした ひろき)
重厚さが人気のサスペンスドラマ「バディ」の主演を務めている男性俳優。新しい相棒役となった猫山ロシ夫に合わせ、ドラマの脚本がどんどんかわいいものに改変されていく事態に不安を覚えていた。
大翔 (ひろと)
猫を飼うのを夢にしていた小学生の男子。自宅に猫が来る事になり、喜び勇んで帰宅するが、部屋にいたのがどう見ても普通の猫ではない猫山ロシ夫だったため、大いに落胆する。
本田 瑞希 (ほんだ みずき)
料理番組のアシスタントを務める事になった新人タレントの女性。番組の看板である料理研究家が「ロシィ猫山」こと猫山ロシ夫という化け猫であった事に大いに困惑する。
拓海 (たくみ)
若い男性。体調を崩し、高熱を発したため、近所の病院に往診を依頼した。しかし、やって来た医者が猫山ロシ夫であったため、心の中で突っ込みを入れながら診察を受ける。
平尾 空 (ひらお そら)
とある小さな会社に勤める女性。ソバージュに太眉メイク、さらに肩パットと、未だにバブリーなスタイルを貫いている信念のあるタイプ。チャラい態度をした新人の「猫山ロシ美」こと猫山ロシ夫に対し、厳しい社員教育を施そうとする。
書誌情報
新井理恵劇場 猫山さん 3巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2016-08-10発行、 978-4091386366)
第2巻
(2017-09-08発行、 978-4091394293)
第3巻
(2018-11-09発行、 978-4098702794)