新宿スワン ~歌舞伎町スカウトサバイバル~

新宿スワン ~歌舞伎町スカウトサバイバル~

2000年初頭の新宿区歌舞伎町を舞台とした作品。主人公のスカウトマンが、裏社会のイザコザに巻き込まれたり、問題を乗り越えて成長する姿を描く。作者の和久井健はかつてスカウトマンをしていたことがあり、その実体験が要所に織り込まれている。「週刊ヤングマガジン」にて2005年20号から2013年45号まで連載された。和久井健の初連載作品であり、代表作。

正式名称
新宿スワン ~歌舞伎町スカウトサバイバル~
ふりがな
しんじゅくすわん かぶきちょうすかうとさばいばる
作者
ジャンル
水商売
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世界観

2000年初頭の新宿区歌舞伎町を舞台としており、スカウトマンの視点から見た風俗や暴力団などの欲望や金にまつわる話が多く描かれている。人間の心の汚い部分がリアルに描かれ、物語には裏切りや意外な展開も多い。主人公である白鳥龍彦は、そのような中にあって愚直に人を信じるキャラクターとして描かれ、人を信じることの大切さが作品の大きなテーマとなっている。

あらすじ

内部抗争編(1巻~4巻)

白鳥龍彦はスカウト会社「バースト」に所属するスカウトマンで、最近ようやく仕事にも慣れてきた。バーストも同業の「ハーレム」と合併して大きくなり、順風満帆に思えたが、実は社内に新しい問題を抱えていた。それは、合併後ハーレムの元社員たちが社内での扱いに不満を持ち、内部抗争が勃発する可能性があることだった。そんなある日、龍彦のもとに、同僚の南ヒデヨシがシャブの売人をしているという情報が入る。その真偽を確かめるためにヒデヨシの身辺を調べることになった龍彦は、ついに彼の足取りを掴むことに成功する。

渋谷AV編(4巻~8巻)

大手AVプロダクションから「バースト」に、これまでは手を出していなかったAVのスカウト業務の話が舞い込んでくる。うまく上玉の女性をスカウトできれば、AVプロダクションとのパイプが強固なものとなり、バーストのさらなる飛躍が見込める。大事な新規業務の第一歩として、スカウトマンの白鳥龍彦は後輩の犬飼幸二とともにスカウトに挑む。

闇金編(8巻~12巻)

南ヒデヨシらしき人物を横浜で捜索し続けて1週間。白鳥龍彦がスカウト会社「バースト」へ戻ると、いつもはスカウトマンであふれかえっているはずの歌舞伎町には、なぜかスカウトが誰1人いなかった。不審がる龍彦に対し、後輩の井出登は、新宿のスカウトたちが闇金の仕事に手を出し、スカウト業をおろそかにしていることを告げる。さらに、フリーのスカウトのみならず、バーストの社員の中にも闇金の仕事をしている者がいるという。このままではバーストが腐ってしまうと感じた龍彦は、真相を知るために自らこの問題に立ち向かう。

横浜王国編(13巻~17巻)

以前からスカウト会社「バースト」が進出を目論んでいる横浜に、鳥居がオーナーとしてキャバクラ店をオープンすると聞きつけたバースト社長の山城神は、これを機に、白鳥龍彦鼠賀信之介に「横浜バースト」の立ち上げを命じる。無事に立ち上げが成功すれば、幹部昇進という約束を取り付けた龍彦だったが、横浜は暴力団・「宝来会」とつながりのあるスカウト会社「ウィザード」がすべてを手中に収めており、スカウト業界最大手の「ミネルバ」さえ進出をためらうほど難しい地であった。

ホストバブル編(17巻~19巻)

スカウト会社「バースト」の横浜進出にも貢献した白鳥龍彦は、幹部昇進を確信して有頂天になっていた。しかしバーストのメンバーは龍彦の働きを認めず、彼の幹部昇進は見送られてしまう。一気にどん底へと突き落とされた龍彦は、勢いでバーストを辞めると言って会社を飛び出し、傷害事件を起こしてしまう。やがて、何者かが保釈金を払い、龍彦は自由の身になる。龍彦のために金を積んでくれたのは、まったく面識のないホストクラブ「ヴァルゴ」の人間だった。恩義を感じた龍彦は、他に行くあてがなかったこともあり、そのままヴァルゴで働き始める。

ミネルバ潜入編(19巻~23巻)

警察主導の「歌舞伎町浄化作戦」が始まり、スカウトも厳しく取り締まられて肩身の狭い時代になった。そこで、スカウト会社「バースト」社長の山城神は、業界最大手の「ミネルバ」に白鳥龍彦を潜入させ、警察の動きに対してどんな対策を練っているのか確かめることを思いつく。スカウト業界では、バーストを辞めてホストに転身したことになっている龍彦はスパイとして適任で、龍彦は早速ミネルバの採用面接に赴く。そこで彼は、バーストとミネルバの思わぬ繋がりを知ることになる。

すすきの監獄編(23巻~26巻)

白鳥龍彦がスカウト会社「ミネルバ」に潜入している間に、バースト社長の山城神が心筋梗塞で亡くなってしまう。ミネルバの社長を務める山城尊は龍彦に、「スパイだったと証明できる人間がいなくなったからバーストには戻れない」と諭し、北海道へ行くことを勧める。龍彦の師である真虎にスカウトのイロハを教えた人物が北海道にいると聞いた龍彦は、真虎の過去にも興味を抱き、北海道へと単身飛び立つ。

歌舞伎町レクイエム編(27巻)

白鳥龍彦にとって、スカウト会社「ミネルバ」を創立した辰巳幸四郎の過去を知ることは、スカウト会社「バースト」の設立および真虎の過去を知るために決して避けて通れないものだった。幸四郎は山城神山城尊馬頭冬偉とともにミネルバを設立し、歌舞伎町で地盤を作った人物。やがて幸四郎は、ヤクザから盗んだ車をマフィアに転売し、更にそのマフィアから再び車を盗んでヤクザに転売するという「イカれた」ブローカーがいることを知る。そのブローカーこそ、のちにバーストの幹部になる真虎だった。

バースト奪還編(27巻~30巻)

北海道で「バーストネオ」を立ち上げ、馬頭冬偉から真虎の過去を知らされた白鳥龍彦は、再び歌舞伎町へ帰って来た。しかし、歌舞伎町の勢力が大きく変わってしまったことを知る。特に、スカウト会社「バースト」は、葉山豊が新社長となってから、薬の売買に手を出す組織へと落ちぶれていた。龍彦はバーストを豊から奪還するため、冬偉や森長千里とともにバーストへ乗り込む。

歌舞伎町レクイエム~復讐の連鎖~編(30巻)

辰巳幸四郎は何故殺されなければならなかったのか。それを知るためには、暴力団「紋舞会」の会長・天野修善が過去に犯した殺人事件について知る必要があった。修善が行った殺しは組長殺しで、絶対にその現場を見られてはならないものだったが、現場その場に居合わせた辰巳幸四郎に目撃される。そのため、修善は執拗に幸四郎を探していた。しかし、得られたのは「ミネルバの辰巳」という情報のみ。そうした中、修善はスカウト会社「ミネルバ」のメンバーとなった山城神から、後ろ盾である「ケツモチ」になる依頼を受ける。そして、ミネルバの社長が「辰巳」であることを知るのであった。

歌舞伎町ピカレスク編(30巻~38巻)

葉山豊との抗争の末に無事にスカウト会社「バースト」を奪還し、社長の座に就任した白鳥龍彦は、すべての始まりであり自分が最も尊敬する真虎と久しぶりに対面する。真虎は過去のしがらみから抜け出せず、復讐の連鎖の中でもがき苦しみながらも懸命に生きていた。龍彦はそんな復讐の念に取り憑かれた真虎を止めることを決意する。真虎を守るため、命のやり取りの場に身を投じていく。

メディアミックス

TVドラマ

2007年8月18日、酒井直行脚本によるTVドラマ版が、テレビ朝日「土曜ミッドナイトドラマ」で放送された。白鳥龍彦役を川村陽介、真虎役を北村栄基、山城神役を深沢敦がそれぞれ演じている。

実写映画

本作『新宿スワン』の実写映画化第1作である『新宿スワン』は2015年5月30日に、第2作となる『新宿スワンⅡ』は2017年1月21日に公開された。白鳥龍彦役を綾野剛、真虎役を伊勢谷友介、関玄介役を深水元基がそれぞれ演じている。

ソーシャルゲーム

2011年にMobageからソーシャルゲーム「新宿スワン」が配信された。プレイヤーはスカウトマンとなり、新宿の歌舞伎町を舞台にミッションをこなして、スカウトに成功した女の子を店に配属し収入を増やしていくという内容になっている。

ムービーコミック

本作『新宿スワン』の漫画に声やSEなどの演出を追加したムービーコミックが「Beeマンガ」で配信されている。白鳥龍彦を高橋研二、真虎を高橋英則が演じている。

作家情報

作者の和久井健は、2004年、ヤングマガジン新人漫画賞にて『新宿ホスト』で佳作を受賞。のちにこの作品が「別冊ヤングマガジン」2005年8号に掲載されデビューを果たす。2005年には「週刊ヤングマガジン」17号より本作『新宿スワン』の連載を開始し、これが初連載作品となった。作者自身がスカウトマンをやっていた経験があり、それが本作に活かされている。

登場人物・キャラクター

白鳥 龍彦 (しらとり たつひこ)

大都会に憧れ上京してきた19歳の男性。祖母譲りのボリュームたっぷりな天然パーマがトレードマーク。偶然、真虎と歌舞伎町で出会い、スカウトの世界へ足を踏み入れた。以降スカウト会社「バースト」に所属しスカウト活動に勤しむ毎日を送っている。性格はかなりのお人好しで、自分が救える人間がいるなら損得勘定なしに尽力することができるタイプ。 そのため、人に騙されて痛い目を見ることもあるが、逆に慕われることも多い。人を守れるようにと日頃から身体を鍛えているため、喧嘩も強い。

山城 神 (やましろ じん)

スカウト会社「バースト」の社長を務める男性。天野修善とは子供の頃からの付き合いで、バーストの後ろ盾となる「ケツモチ」を修善に依頼した。イケイケな性格で、若い頃から暴力で相手をねじ伏せ、その威勢の良さから山城神を慕う者も多い。しかし、バーストの社長に就任すると、会社を守ることや大きくすることに執着するようになり、以前のような性格は鳴りを潜めて弱気な発言や狡猾な部分が表面化してくる。 しかし、基本的には漢気にあふれる人物で社員からの人望は厚い。

真虎 (まこ)

スカウト会社「バースト」の幹部の男性。白鳥龍彦をスカウトの世界へと誘った人物で、龍彦にスカウトのノウハウや歌舞伎町での生き方を惜しみなく教えた。そのため、龍彦からは誰よりも尊敬されている。洞察力に優れており、どんなトラブルも丸く収める頭の回転の速さも持ち併せているため、社内はもちろん社外からの評価も非常に高い。 その能力は天野修善からも認められており、「スカウトにしておくには惜しい」と言わしめた。元々はスカウト会社「ミネルバ」の出身だが、山城神がミネルバを脱退した際に行動を共にし、現在に至っている。

根駒 崇 (ねこま たかし)

スカウト会社「バースト」の真虎派No.2の男性。普段は冷静に立ちまわっているが、いざと言う時には一喝するだけで喧嘩を仲裁するほどの貫録を発揮する。のちにバーストのシステム部部長に抜擢される。

関 玄介 (せき げんすけ)

スカウト会社「バースト」の幹部の男性。自分の言葉に対し、新人ながら「NO」と意見する白鳥龍彦のことを当初は快く思っていなかったが、行動を共にするうちに龍彦から尊敬の念を抱かれ、徐々にその態度は軟化していく。バースト内では、他のスカウト会社やその他の組織との揉め事が起きた際に、あえて自分から火種を起こして全面戦争に持ち込むという危険な役割を担う。 そのため痛い目を見ることも多いが、それが自分の役割と割り切って行動している。バーストきっての武闘派で、会社内の仲間たちからも恐れられている。

亀山 (かめやま)

スカウト会社「バースト」の関玄介派のNo.2の男性。玄介と同様に武闘派で、白鳥龍彦からも「ただのヤクザ」と称されるなど、かなりの強面で血の気の多い性格。玄介を心から尊敬しており、彼に対しては従順。

時正 (ときまさ)

スカウト会社「バースト」の幹部の男性。山城神の右腕的なポジションで、彼のサポートを中心に活動している。神が何らかの事情で不在にしている時には、社長代行も務める。実質的にバーストのNo.2といえる人物。

牛尾 忠利 (うしお ただとし)

スカウト会社「バースト」の幹部の男性。しかし、スカウト会社「ハーレム」との合併後のイザコザで1度バーストを辞めているため、社内では「出戻り組」と認識されている。上昇志向が強く、自分の思い通りにならなければ暴力を振るうことを繰り返す感情的な人物。以前は人情味にあふれる熱い心を持った男だったが、次第に金の魔力と自分の欲に呑まれて性格がゆがんでしまった。

鼠賀 信之介 (そが しんのすけ)

スカウト会社「バースト」の幹部の男性。しかし、スカウト会社「ハーレム」との合併後のイザコザで1度バーストを辞めているため、社内では「出戻り組」と認識されている。牛尾忠利とは幼なじみだが、忠利とは違って立場をわきまえることができ、冒険はしないタイプ。苦手な食べ物はおかか。

井出 登 (いで のぼる)

求人情報を見てスカウト会社「バースト」にやって来た男性で、白鳥龍彦にとって初めての後輩の1人。元イベントサークルの代表で、非常に軽い性格。そのため、色々なトラブルを起こしてしまうトラブルメーカー的な存在。当初は龍彦のことを見下していたが、龍彦と行動を共にするうちに彼の人間性に尊敬の念を抱くようになる。

犬飼 幸二 (いぬかい こうじ)

求人情報を見てスカウト会社「バースト」にやって来た男性で、白鳥龍彦にとって初めての後輩の1人。元ホスト店「トップガイ」の看板ホストで、「枕ホスト」として女性客と寝ることで取り入り、固定客を増やしてきた。実は信也の店に1000万円ほどの莫大な損害を出しており、その返済を迫られている。事情を知った真虎にAV専属スカウトマンへの転身を命じられる。

鳥居 (とりい)

求人情報を見てスカウト会社「バースト」にやって来た男性で、白鳥龍彦にとって初めての後輩の1人。刈り上げ頭に非常に短いズボン、さらに低い身長とどう見てもスカウトには向かないタイプだが、金に物を言わせて1日で12人の女性をスカウトし、面接までこぎつけた。実は親が金持ちで、会社の跡取りとして将来も安泰だったが、レールに乗った人生を嫌いスカウト業界に足を踏み入れた。 のちに親の金を使ってキャバクラ店のオーナーとなり、バーストの横浜進出のきっかけを作った。

天野 レオ (あまの れお)

天野修善の息子。修善の息子という立場を利用して仲間内で絶対的な権力を誇っていたが、白鳥龍彦と出会い、父親に関係なく自分に向かってくるその姿に感銘を受けて考えを改めた。のちにスカウト会社「バースト」に入社する。

松方 孝 (まつかた たかし)

スカウト会社「ハーレム」の社長を務める男性。もともとはスカウト会社「バースト」で働いていたが退社し、自ら新会社ハーレムを立ち上げた。一時期はかなりの勢いだったが、結局ハーレムは山城神に潰されてしまう。

葉山 豊 (はやま ゆたか)

スカウト会社「ハーレム」No.2の座にいた男性で、現在はスカウト会社「バースト」の幹部となっている。表向きは冷静で頼れるタイプだが、実際は利益を上げるためなら手段を選ばない卑劣な人物。普段はその素性を隠しているが、追い込まれると自己中心的な性格や狡猾な様が露呈するため、その姿を見た者からの評価は軒並み低い。

上草 (うえくさ)

かつてスカウト会社「ハーレム」に所属していた男性で、現在はスカウト会社「バースト」の幹部となっている。葉山豊のシンパで、豊の進言によりその座を手に入れた。しかし、豊の本性を知っているため、陰では豊のことを悪く言うなど、あまり慕ってはいない。

川口 洋介 (かわぐち ようすけ)

かつてスカウト会社「ハーレム」に所属していた男性で、現在はスカウト会社「バースト」に所属している。白鳥龍彦と同じ19歳。葉山豊を尊敬しており、彼を目標にしている。そのため豊の命令には逆らえず、のちに豊に利用された結果、重度のシャブ中となってしまう。

南 ヒデヨシ (みなみ ひでよし)

かつてスカウト会社「ハーレム」に所属していた男性で、現在はスカウト会社「バースト」に所属している。上昇志向が非常に強く、自分がのし上がるためならどんな汚い手も使う。歌舞伎町でヤクザの目を盗みながら独自ルートで薬を仕入れ、売買を行っている。膨大な利益を挙げ、大元締めになろうとしている。本名は「古屋ヒデヨシ」で、白鳥龍彦とは中学の同級生だった。 当時はいじめられっ子で、1度自分を助けてくれた龍彦に憧れているが、同時にコンプレックスも抱いている。

辰巳 幸四郎 (たつみ こうしろう)

スカウト会社「ミネルバ」創設者の男性で故人。1992年に、当時初のスカウト会社を創立した。歌舞伎町を愛し、漢気にあふれ、信念を決して曲げない性格の人物。そのカリスマ性から、現在第一線で活躍している山城神、山城尊、馬頭冬偉、真虎などからも慕われていた。しかし1996年、30歳の時に歌舞伎町のホテルの1室で惨殺される。

山城 尊 (やましろ たける)

スカウト会社「ミネルバ」の社長を務める男性。山城神の腹違いの弟で、神のことを心から慕っている。学生の頃は優等生で30社以上の会社の内定を勝ち取っていたが、辰巳幸四郎と出会い、神と共に幸四郎についていくことを決意した。ミネルバ最初期のメンバーの1人。

吉川 哲 (きっかわ てつ)

スカウト会社「ミネルバ」の幹部の男性。前例のない若さとスピードで幹部にのし上がった天才スカウトマンとして名が通っている。ミネルバの3大派閥の1つ、吉川派を取り仕切る人物。大阪から上京して来た時に、ぼったくりの被害に遭って困っているところを山城尊に救われた恩があり、そこからスカウトの世界に足を踏み入れた。

影里 (かげさと)

スカウト会社「ミネルバ」の幹部で、吉川派のNo.2の男性。亀山に凄まれてもまったくひるまない胆力の持ち主。吉川哲のことを慕っており、彼に気に入られている白鳥龍彦のことは最初はあまり快く思っていなかったが、龍彦を理解するうちに態度が徐々に軟化していく。

百塚 裕 (ももづか ゆう)

スカウト会社「ミネルバ」の幹部の男性。ミネルバの3大派閥の1つ、百塚派を取り仕切る人物。小柄ながら関玄介に「強い」と言わしめた喧嘩のプロで、武闘派としてその名が知られている。これまで多くの人を不幸のどん底へ突き落してきたが、自分が外道に落ちないために「対象となる相手の身内には手を出さない」という最低限のルールだけはしっかり守っている。

金 大英 (きむ だいえい)

スカウト会社「ミネルバ」の幹部で、百塚派のNo.2の男性。アジア系の在日外国人で、物腰が柔らかく穏やかそうな外見だが、百塚裕と喧嘩相手を取り合うこともあるなど、本人もかなりの武闘派。そのため、外見に似合わず暴力的な行動に出ることが多い。

白金 玲司 (しろかね れいじ)

スカウト会社「ミネルバ」の幹部の男性。ミネルバの3大派閥の1つ、白金派を取り仕切る人物。副業としてホストクラブを経営しており、莫大な利益を得ている。金に対する執着が強く、違法に稼いだ金の資金洗浄なども手掛けている。

富士見 丈 (ふじみ じょう)

スカウト会社「ミネルバ」北海道支部の支部長を務めている男性。ミネルバの社長である山城尊のことを慕っており、尊に不幸があった際には泣きわめいて悲しんだ。社員には、自分はかつて渋谷でブイブイいわせていたと吹聴しているが、実際は森長千里の所属していた愚連隊のパシリだった。

高野 友里 (たかの ゆうり)

スカウト会社「ミネルバ」北海道支部のNo.2の男性。北海道支部のメンバーの中では最も好戦的な性格で、森長千里を相手にしても一歩も引かない度胸がある。

那須 圭太 (なす けいた)

スカウト会社「ミネルバ」北海道支部のNo.3の男性。吉川哲と交流があるため東京のスカウト事情にも精通しており、白鳥龍彦のことも知っていた。乗っている車はベンツ。

小谷 マコト (こたに まこと)

スカウト会社「ミネルバ」北海道支部に所属している男性。森長千里に拉致され、すすきののスカウト事情をすべて千里に話した。遠方のヤクザ関連にも詳しかったため、千里からは「ハカセ」と呼ばれるようになり、のちにそのニックネームが浸透した。

田無 武 (たなし たけし)

スカウト会社「パラサイツ」の社長を務める男性。もともとは新宿でスカウトマンをしていた人物で、周りからはいまいちパッとしない印象を持たれていたものの、頭の回転は速い。しかし、森長千里を下につけてからはガラリと変わり、渋谷で武闘派の名をほしいままに暴れ回るようになる。

森長 千里 (もりなが ちさと)

スカウト会社「パラサイツ」の専務を務める男性。もともと渋谷界隈で愚連隊のような組織を作って暴れていた危険人物。傷害などの容疑で逮捕されたが、田無武が金を積んでくれたおかげで出所し、その後はパラサイツの実質No.2の座に君臨している。恩のある武のことを信頼し、武のことを悪く言う者がいれば自らが危険な目に遭うことを承知で敵地へ乗り込んでいく。 戦闘能力が非常に高く、本気の喧嘩をすれば勝てる者はいない。パラサイツの解散後は、北海道で白鳥龍彦と再会し、「バーストネオ」を立ち上げるために協力する。喧嘩の強さだけではなく、スカウト会社の立ち上げ業務から対外コミュニケーションまで、巧みにこなすことができる。

チバ

スカウト会社「パラサイツ」に所属する男性。愚連隊時代からの森長千里の部下ということもあり、喧嘩慣れした好戦的な人物。犬飼幸二相手には喧嘩で圧勝していたが、白鳥龍彦には完敗する。

滝 マサキ (たき まさき)

スカウト会社「ウィザード」の社長を務める男性。絶対的な力で武闘派集団をまとめ上げ、暴力団「宝来会」からも厚い信頼を寄せられている。その手腕で、横浜においては絶対的な存在であるタキ王国を作り上げている。単細胞で暴力だけの独裁者と噂されているが、本当の姿は冷静さや狡猾さ、そして臆病さをも併せ持つ非常に優秀な人物。 関玄介の幼なじみで、10年前に「一緒にでかいことをやろう」と約束したことがあり、その約束に未だに固執している。

ハネマン

スカウト会社「ウィザード」のNo.2の男性。敵対関係にある人物には見境なく突っかかり、容赦ない攻撃を加えるバリバリの武闘派。しかし、目上の人物に対しては信じられないほど丁寧な対応をするという意外な一面もある。

森田 建水 (もりた けんすい)

スカウト会社「ウィザード」のNo.3の男性。通称「モリケン」。横浜以外からやって来るスカウトマンを、部下を引き連れて潰して回る武闘派。時には滝マサキの意に反する行動をとることもあり、その際はマサキから罰としてダーツの的にされている。ウィザードを脱退後は自らスカウト会社「リモーラ」を立ち上げる。

栗坊 (くりぼう)

スカウト会社「ウィザード」の森田派のNo.3の男性。ハネマンがウィザードの次期社長になるのを嫌がっており、森田建水に独立するよう進言する。建水が罰としてダーツの的にされていた時に、1人だけ声をあげて滝マサキ相手に刃向うなど、建水に対する忠誠心は非常に強い。

コージ

スカウト会社「ウィザード」に所属する男性。滝マサキの側近で、アリサの面倒を見る役割も担う。しかし、時にはマサキの命令を無視してアリサの言うことを聞くこともあり、その都度マサキから暴力を受けている。アリサいわく「ケンカ黒帯」で、戦闘能力も高い。

九龍 タケシ (くりゅうたけし)

暴力団「美竹組」の若中で、スカウト会社「ハウンド」の社長を務める男性。灰沢とも関わりがあり盃を交わしている。もともとはスカウト会社「ハーレム」に所属し、松方孝のことを慕っていたが、孝が失脚してハーレムがスカウト会社「バースト」に吸収されたため退社した。

馬頭 冬偉 (めず とーい)

スカウト会社「ウォッチマン」の社長を務める男性。スカウト会社「ミネルバ」創立メンバーの1人で、真虎にスカウトのイロハを教え込んだ人物。辰巳幸四郎の性格に惚れ込んでいたこともあり、幸四郎亡き後は抜け殻のようになって、警察に違法な資金を横流しするなどの悪事に手を染めていた。だが、北海道で白鳥龍彦と出会った際、龍彦に幸四郎の姿を重ね合わせて改心する。 以後は龍彦の参謀となり、主に頭を使う仕事に従事している。スカウト活動は本人いわく「今更、恥ずかしくてできない」と、決して行わない。

熊比良 セルゲイ (くまひら せるげい)

馬頭冬偉のボディーガードを務める、元警察官の男性。森長千里を相手に1対1のタイマンを挑み、無傷で勝利を収めるなど底が知れない喧嘩の強さを誇る。しかし、その後千里に「タイマン」と称してトラックではねられ、そのまま千里にボコボコにされた。

鈴木 トナミ (すずき となみ)

かつてスカウト会社「パラサイツ」に所属していた男性で、現在はスカウト会社「フィラリア」の社長を務めている。森長千里とは幼なじみで親友同士だったが、現在は仲違いをしており、復讐すべき相手の1人として数えている。身体を鍛えることが好きで、定期的にジムに通いその肉体を磨き上げている。セックスをした後の女性の履いているショーツの匂いを嗅ぐことが好きという、特殊な性癖を持っている。

ユータ

かつては森長千里の舎弟で、現在は鈴木トナミの右腕として働いている男性。金大英は地元の先輩にあたる。百塚裕も一目見てその実力を認めるほど喧嘩は強い。しかし大英とのタイマンでは格の違いを見せつけられ、大英にもかなりの傷を負わせたものの敗北している。

蒼井 金次 (あおい きんじ)

ホストクラブ「ヴァルゴ」の代表を務める男性。現役ホストとしても活躍しており、店ではNo.4のポジションにつけている。話の盛り上げ方が上手く、従業員に対してやる気を出させることも得意としている。

城田 咲 (しろた さき)

ホストクラブ「ヴァルゴ」の男性。名実ともに歌舞伎町No.1ホストで、テレビや雑誌の取材も多く舞い込むほどの売れっ子。しかし、気に入らないホストは徹底的に潰そうとするなど、残酷な性格をしている。ちなみに、本人も新人時代には生意気だという理由でよく先輩ホストにいじめられていた。

早乙女 朱美 (さおとめ あけみ)

ホストクラブ「ヴァルゴ」のNo.2の男性。17歳の時にレイプされそうになり、相手の男性を殺してしまった前科があると噂されている。出所後は真虎に面倒を見てもらったこともあり、真虎のことを信頼している。そのため真虎に気に入られている白鳥龍彦のことを快く思っておらず、敵意をむき出しにする場面もある。

森 生羅 (もり せいら)

ホストクラブ「ヴァルゴ」のNo.3の男性。かなり好戦的で、No.1の城田咲を目の前で「気に入らない」と言って煽るようなふてぶてしい性格。他のホストクラブでNo.1だったこともあり、大口を叩くのに見合った実力は持っている。

天野 修善 (あまのしゅうぜん)

新宿を縄張りとしている暴力団「紋舞会」の会長。山城神とは昔からの知り合いで、神が小さい時から可愛がっていた。しかし神の優しすぎる性格では人の上に立つのは向いていないと考えるなど、洞察力も鋭い。若い頃は歌舞伎町で日々暴れ回っていた武闘派で、その武勇伝は当時の暴力団界隈でも噂になるほどだった。性格は非情で残忍かつほとんど人を信用しない用心深さも兼ね備えており、周囲に数多いる実力者たちですらもまったく寄せ付けないほどの飛びぬけた実力を持っている。 自分がのし上がるためには何でもする人間であり、過去に殺しにも手を染めている。

下里 (しもざと)

新宿を縄張りとしている暴力団「紋舞会」の若頭を務める男性。「紋舞会」の中では比較的理論派で、冷静なタイプ。天野修善からも信頼されており、組織の金庫番を任されている。灰沢の性格の異常性を見抜いており、彼のことを異端視し、これ以上新宿でのさばらせておくべきではないと考えている。

天野 大河 (あまの たいが)

新宿を縄張りとしている暴力団「紋舞会」の舎弟頭を務める男性。天野修善の息子で天野レオの兄。普段は日本ではなく海外を拠点に活動しており、貿易中心の会社を経営して密輸などの犯罪行為に手を染めている。修善の息子ながらも、父の威光には頼らず叩き上げで今の地位を築いた人物で、他のヤクザからもその実力を買われている。性格は父親譲りで、残忍さと非情さを兼ね備えている。

三浦 (みうら)

新宿を縄張りとしている暴力団「紋舞会」の舎弟頭補佐を務める男性。メガネをかけたインテリヤクザのような外見だが、実際は血の気の多いかなりの武闘派で、武器のククリナイフで容赦なく相手を刺し殺す凶暴な性格をしている。

金城 (きんじょう)

新宿を縄張りとしている暴力団「紋舞会」の構成員の男性。シャブを取り扱っており、無理やりシャブ漬けにした女性を使って売春施設を経営している。白鳥龍彦がその施設に乗り込んだ時には龍彦をチェーンソーで強襲するなど殺しにすら手を染めかねない危険性を持っているが、未遂で終わっている。

土屋 (つちや)

新宿を縄張りとしている暴力団「美竹組」の組長を務める男性。スカウト会社「パラサイツ」の後ろ盾となる「ケツモチ」をしており、全盛期は「揉めないヤクザはヤクザじゃない」を信条とする武闘派で鳴らしていた。しかし、現在は以前ほどの勢いはなく、部下の灰沢にも見限られてしまう。

灰沢 (はいざわ)

土屋に代わり、暴力団「美竹組」の組長となった男性。昔からほとんどの時間を刑務所で過ごしてきたほどの悪人で、土屋にその悪人ぶりを買われて「美竹組」に迎えられた。これまで何人もの人間を殺してきており、命のやり取りに生の喜びを感じる狂気的な性格。一方で知略にも長けており、計算高い一面もある。

田坂 晃 (たさか あきら)

暴力団「宝来会」雛乃一家の総長を務める男性。滝マサキには絶対的な信頼を寄せているが、シャブ中毒でヒステリーを起こす癖があり、日常的にマサキのことを殴っている。時には「教育」という名目で死ぬ寸前まで暴力を加えるなどかなり粗暴な人物。

(はなわ)

北海道唯一の暴力団「朝河組」の組長を務める男性。見た目は普通のサラリーマン風で、初対面の時には白鳥龍彦と森長千里にも舐められ、無礼な態度を取られていた。のちに塙が組長と知った2人からの謝罪を受け入れ、「バーストネオ」の後ろ盾となる「ケツモチ」になることを快諾する。

花沢 しずか (はなざわ しずか)

北海道唯一の暴力団「朝河組」の若頭を務める男性。女性的な名前だが、顔には大きな傷がありかなりの強面。組長の立場にありながら、いつも自由奔放に振る舞っている塙に手を焼いている。部下へのしつけは厳しめに行っており、不手際があると暴力を振るう。

日下田 光政 (ひげた みつまさ)

暴力団「袖木組」の舎弟頭を務める組内No.3の男性。葉巻とワインを好み、関西弁で話す。灰沢と手を組んで天野修善を殺そうとしたり、時には修善の味方となる行動を取ったり、その行動には一貫性がないものの、環境が変わるに従って自身も変化するという柔軟性を持っている。

堀田 正義 (ほりた まさよし)

暴力団「袖木組」の若頭を務める組内No.2の男性。次期組長と目されている。血の気が多く凶暴性を備えている武闘派。その武力が何よりのカリスマ性となっているが、一方で弱点にもなっており、組長となった際にはその暴力性が仇となると考えている人物も多い。本人もそのことに関しては自覚している。

井和丸 剛 (いわまる ごう)

暴力団「袖木組」の組長を務める男性。舎弟頭時代には天野修善の暴力性を見込み、自分の運転手兼側近として出世のために利用した。現在は高齢とガンに冒されて引退間際で、跡目をどうするか考えている。

馬頭 夏明 (まー しゃーみん)

馬頭冬偉の腹違いの兄で、歌舞伎町を拠点に活動している暴力団「三聖会」の会長を務めている男性。日下田光政とは旧知の仲でお互いに交流がある。ゲームが大好き。

松浦 亮 (まつうら りょう)

暴力団「関東講談組」の組長を務める男性。長谷川裕香の愛人。経緯は不明だが、自分の過ちで娘を亡くしており、そのせいで妻にも逃げられている。しかし、組では組員の上に立つ者として甘えることが許されない環境にあり、苦しんでいる。そんな状況もあり、裕香にだけは強烈に甘えている。

長谷川 裕香 (はせがわ ゆか)

白鳥龍彦が目をつけて偶然スカウトをした女性。歌舞伎町での源氏名は「藤咲セリナ」。元「es」のNo.1キャバ嬢で、持っている客は超VIPぞろい。雑誌でも特集を組まれるほどの人気キャバ嬢である。龍彦のことを男性としてもスカウトマンとしても非常に買っており、事あるごとに顔を出しては龍彦と接している。合気道の心得があり、龍彦相手にも引けをとらないほどの腕前。

アゲハ

闇金の借金漬けになっていたところをヘルス経営者の男性に拾われ、連日奴隷のように働かされていた女性。自分をいつか救い出してくれる「王子様」が現われることを信じているが、現実にそんな人は現れないと諦めている。白鳥龍彦に助けられてヘルス経営者の男性とは縁が切れたように見えたが、実はシャブ中毒で薬がないと生きていけない身体になっており、結局自分の意志で元の店へと戻ってしまう。

カエデ

六本木にあるキャバクラのNo.1の座に君臨する女性。スカウト会社「パラサイツ」のスカウトマンにしつこくされていたところを白鳥龍彦に助けられ、その強さを見込んでボディーガードとして龍彦を雇う。その報酬として龍彦の紹介でAVに出ることを約束していたが、のちにパラサイツに龍彦の情報を売って裏切ってしまう。それまでにもかなり人を裏切ったり騙したりを繰り返してきた人物だが、騙された龍彦は特に恨むこともなく、むしろ南ヒデヨシを見ているようだという理由で、安心感や満足感すら感じている。

アオイ

カエデの妹。スカウト会社「パラサイツ」のスカウトマンにしつこくされていたところを白鳥龍彦に助けられた。のちにその現場に一緒にいた犬飼幸二に惚れて関係を持ち、彼に入れ込んだ末にAV女優としてデビューすることとなる。姉のカエデのことは好きだが、学生時代からもてるカエデに対してコンプレックスを抱いている。

波保 リカ (なみほ りか)

歌舞伎町No.1の風俗嬢。白鳥龍彦とホテルまで行ったものの、自制し自分を抱かずに帰った龍彦に恋心を抱く。実は百塚裕の妹。今までの彼氏はシャブ中毒者やDV男、ヤクザなどろくでもない人間ばかり。

小野 マユミ (おの まゆみ)

白鳥龍彦が自販機のおつりの出し方を教えてもらったことがきっかけで出会った女性。「お姫様になりたい」と本気で考えているちょっとイタイ子で、闇金で借金をし続けた結果首が回らなくなっている。長谷川裕香の勤めるキャバクラを紹介されて働いている時も、カツラの男性に向かって「ハゲ」と言ってしまうなど、ある意味素直で空気が読めないタイプ。 そのため、裕香からは「この仕事は向いていない」と言われてしまう。

葉月 ホタル (はづき ほたる)

すすきので最も売れているとされるキャバクラ嬢。容姿端麗ながら、すすきのではスカウトが誰も声をかけられないほどの冷酷なドSとして知られている。しかし、実際は熱を出して倒れていた白鳥龍彦を自分の家に招き入れ、看病するなど面倒見のいい性格。

卯月 (うづき)

天野修善の愛人である女性。自分が子どもを産めない身体だということが発覚し、病院の屋上で自殺しようとした時に修善と出会った。その後、主に情報を得るために色仕掛けで男性に近づくなど、修善の懐刀として活躍している。

信也 (しんや)

ホストクラブ「セクシーガイ」の代表取締役を務める男性。もともと、犬飼幸二と人気を二分していたやり手のホストだった。店に1000万円の損害を出した幸二を恨んでおり、そのケジメをつけさせようと目論んでいる。

原木 (はらき)

闇金業者「クロブタローン」の店長を務める男性。白鳥龍彦に連れられてやって来た小野マユミの借金額がいくらなのかを算出した。マユミの危うさを見抜いており、龍彦に「すぐ逃げるか自殺しかねないからしっかり見張っておけ」と助言する。

不川 (ふかわ)

闇金業者「不川金融」の代表取締役を務める男性。堂々たる体躯の持ち主で、1人で闇金会社に乗りこみ制圧してしまうほど喧嘩も強い。闇金は本来客と顔を突き合わせてやる商売だと考えており、そのポリシーに反する闇金業者を嫌っている。

荒 輿星 (あら こうせい)

AVプロダクション「荒星企画」の社長を務める男性。単体で売り出すことができるAV女優を求め、スカウト会社「バースト」にスカウト業務を依頼する。ひょうひょうとしてふざけた印象の人物だが、AV業界の商売の基本を「非情」と考えており、仕事となれば一切妥協しない。

砂子 (すなこ)

横浜中央署生活安全課で刑事を務める男性。滝マサキから膨大な金を賄賂として受け取って、裏で繋がっている。そのため、よそのスカウトマンが横浜にやってきた際には、滝の経営するスカウト会社「ウィザード」が有利になるように動いている。

伊集院 (いじゅういん)

AVメーカーの社長を務める女性。ホストクラブ「ヴァルゴ」で働いていた白鳥龍彦には、熟女もののAV女優だと勘違いされていた。他のホストと違い、自分を1人の女性として扱ってくれ、真摯に対応してくれる龍彦に好感を抱いている。

河合 恵 (かわい めぐみ)

城田咲の太客で、自称某大手パチンコメーカーの社長令嬢。人を愛する基準は「どれだけその人に尽くしたか」と考えており、これまで1億8600万円もの金額を咲に貢いでいる。そのせいで後戻りができない状態となっており、現在も咲に貢ぎながら、いつか結婚できるだろうと甘い夢を見ている。

矢野 霞 (やの かすみ)

秋葉原で地下アイドルをしている女性。芸能プロダクション「スターバードプロモーション」に所属している。ホストにハマり多額の借金を抱えており、、借金返済のために水商売の斡旋をしてほしいと、信也が白鳥龍彦に紹介した。現在は小さなライブ会場で10人にも満たないファンを相手にライブ活動を行っている。

葉月 正 (はづき ただし)

葉月ホタルの父親。北海道県警の中でも重要な職務に就く警察官だが、スカウト会社「ウォッチマン」を通じて不正な資金を受け取り、汚職に手を染めている。もともと、北海道にやって来たばかりの馬頭冬偉の噂を聞きつけて自ら積極的に接触を持ち、冬偉がウォッチマンを設立したきっかけとなった人物でもある。

マオ

11歳の時に両親の死体の傍らで歌っていたところを辰巳幸四郎に発見され、以降幸四郎の後をついて回っていた少女。誰とも口を利かなかったが、真虎と出会ったことで再びしゃべるようになる。

アリサ

滝マサキの女で、キャバクラ嬢として働いている。スカウト会社「ウィザード」内では「姐さん」と呼ばれ親しまれている。マサキのことを愛していると言いながら、時にはマサキの裏をかく行動を取って白鳥龍彦に助けを求めるなど、その真意はまったく読めない。そのため、マサキからも完全には信用されていない。

千星 ミレイ (ちせ みれい)

森長千里の幼なじみで、アイドル歌手をしている女性。歌手として売れていなかった時代に鈴木トナミと付き合っていたが、映画の主題歌が決まった際にトナミと別れてしまう。しかし、これを裏切り行為とみなした千里にレコーディング会場をムチャクチャに破壊されたという過去を持つ。

桜井 (さくらい)

警察官の男性で、階級は警視正。辰巳幸四郎とは警察学校の同期で交流があった。そのため、幸四郎が殺された事件に疑問を抱いており、独自で捜査を続けている。新宿を中心に行われている「歌舞伎町浄化作戦」の本部長も務めており、暴力団やスカウトの取り締まりなど治安維持のために手広く活動している。

鬼瓦 怜子 (おにがわら れいこ)

白鳥龍彦が声をかけた女性。麗しい美貌の持ち主だが、実はおとり捜査のために扮装して歌舞伎町に潜入していた女性警察官。気が強く周囲に対する当たりも厳しいが、尊敬する先輩である桜井の前では非常に素直。

(ゆき)

北海道にある旅館「ねはんの宿」で働く若女将。北海道に来た白鳥龍彦が調子に乗って軍資金を使い果たし、借金までしてしまったのに対して、「ずっとここにいてもいいんだよ?」と甘い言葉をかけ龍彦を骨抜きにした、美貌と器量の持ち主。龍彦に対して好意を抱いているような発言も目立つが、実は重油を旅館へ定期的に運んでいる業者のお兄さんのことが気になっている。

マイ

白鳥龍彦にスカウトされ、おさわりOKの店で働いてる女性。ホスト狂いで、ホストに貢いでは借金を膨らませ続けている問題の多い人物。お人好しの龍彦の心理を利用し50万円を借してもらい、姿をくらましてしまう。スカウトマンになった龍彦を初めて裏切った女性でもある。

松浦 麻矢 (まつうら まや)

白鳥龍彦が後姿だけを見て、勢いでスカウトしてしまった女性。お世辞にも「可愛い」と言える容姿ではなく、新宿の風俗店では働けそうになかったため、際どい女性でも受け入れてくれると評判の土浦まで赴き、龍彦とともに働き口を探した。結局、土浦でも働き口が見つからず、風俗店で働くようになるまでに1週間も要した。男に騙されて連帯保証人になってしまったことで、多額の借金を抱えている。

リョーコ

歌舞伎町のホスト界隈で有名な女性。ホストクラブに通ってツケが溜まってきたら、別の店に通うという負のサイクルを繰り返している。溜まりに溜まったツケの総額は1200万円にも上っている。自称19歳だが、実際は17歳であることが真虎によって明かされてしまう。最終的に金が払えなかったことで、白鳥龍彦の目の前で海外へ売り飛ばされてしまう。 彼女の存在が、その後の龍彦に「関わった人にはできる限りのことをしてあげたい」との思いを植え付けることになった。

集団・組織

バースト

山城神が社長を務めるスカウト会社で、歌舞伎町を拠点に活動している。当初は小規模で、他のスカウト会社と揉め事を繰り返し、何度も潰されそうになりながらその名を広めていった。最終的に業界最大手のスカウト会社「ミネルバ」とその勢力を二分するまでの巨大組織に成り上がる。

ハーレム

歌舞伎町を拠点に活動していたスカウト会社。かつてスカウト会社「バースト」に所属していた松方孝が社長を務めていた。一時期はかなりの勢いを誇ったが、山城神によって潰されてしまい、バーストに吸収される。

ミネルバ

業界最大手のスカウト会社。500人のスカウトからなる巨大組織で、北は北海道、南は大阪まで幅広く支部を持っている。一方で役員はほとんど外部に顔を知られておらず、会長に至っては名前すらわからないなど謎も多い。

パラサイツ

田無武が社長を務めるスカウト会社で、渋谷を拠点に活動している。「よそのスカウト会社が狙っている人材を横からさらう」というポリシーを全社員に徹底しており、敵に回すとかなり厄介な会社。業界内では超武闘派で知られている。

ウィザード

滝マサキが社長を務めるスカウト会社で、横浜を拠点に活動している。暴力団「宝来会」からも信頼されている超武闘派組織で、警察さえも味方につけている。そのため、横浜では他所のスカウト会社が活動することをまったく許さず、盤石な基盤を築いている。

ハウンド

九龍タケシが社長を務める、暴力団「美竹会」直系のスカウト会社で、歌舞伎町を拠点に活動している。区役所通りをシマとしている。「ハウンド」と揉めることは「美竹会」と揉めることと同義であるため、区役所通りにはどこのスカウト会社も手を出せずにいる。

宝来会 (ほうらいかい)

横浜を一手に牛耳っている神奈川最大の暴力団。外部から他の組を入れない代わりに、「宝来会」も神奈川からは出ないという約束のもと活動している。そのため、神奈川及び横浜には対抗する組織がなく、絶対的な権力を有している。

バーストネオ

森長千里の貯金をもとに、白鳥龍彦が北海道で立ち上げたスカウト会社。当初は龍彦と千里の2人しか従業員がおらず、かつてスカウト会社「パラサイツ」で重役を務めた千里の持つ知識がなければ設立すら危うかった。

ウォッチマン

馬頭冬偉が社長を務めるスカウト会社で、札幌のすすきのを拠点にしている。すすきの最大手のスカウト会社とされているが、実際にはスカウト業務は行われておらず、その正体はすすきのの契約店から警察に不正資金を渡すための仲介業者である。

スターバードプロモーション

矢野霞が在籍している芸能プロダクション。社員10名、在籍タレント50名ほどの小さなプロダクションで、事務所は秋葉原に構えている。主な収入源はイベントチケット料やCD販売などで、今流行りの地下アイドルをメインに扱っている。

フィラリア

森田建水が立ち上げたスカウト会社「リモーラ」と、スカウト会社「パラサイツ」が組んで新宿に設立したスカウト会社。会社と名乗ってはいるが、無登記のモグリで、歌舞伎町に最近増えてきているアングラ系のスカウト会社としのぎを削っている。

その他キーワード

心明逆流れ (しんめいぎゃくながれ)

眠りについた女性に気づかれないよう、相手が寝返りをしたその動きを利用して着衣を自然にはぎ取る神業。「白鳥流奥義」とされ、白鳥龍彦が波保リカと一緒に寝た際に披露した。

水商売循環の法則 (みずしょうばいじゅんかんのほうそく)

真虎によって提唱された、ホスト、スカウト、闇金融が同じサイクルで繋がっていることを表した言葉。ホストに貢いだ女性が借金を抱えたら闇金融に頼り、闇金融は金を作らせるために女性をスカウトに紹介して水商売をさせる、という循環を延々と繰り返すというもの。

タキ王国 (たきおうこく)

横浜で絶対的な力を誇る滝マサキが作り上げた王国。スカウト会社「ウィザード」、警察、暴力団「宝来会」の3者が強固な繋がりを形成することで実現している。他所者が街でスカウト活動をすれば「宝来会」が、暴力で「ウィザード」に対抗すれば警察がそれぞれ立ちはだかる、という敵のない状態で、「ウィザード」が稼いだ金を警察と「宝来会」に回し、鉄壁のトライアングルを成している。

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