新装版 ルナティック雑技団

新装版 ルナティック雑技団

両親の海外出張を機に、星野夢実はあこがれの天湖森夜と同居する事になった。真剣に恋に悩む少女と超マイペースな少年、さらに二人を取り巻くおかしな人物達が織り成す、ハイテンションラブコメディ。『ルナティック雑技団』には収録されなかった番外編や読み切りエピソードも収録されている。

正式名称
新装版 ルナティック雑技団
ふりがな
しんそうばん るなてぃっくざつぎだん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

星野夢実と天湖森夜(第1巻)

両親の海外出張を機に、星野夢実は父親の知り合いでもある、天湖家に下宿する事になった。あこがれていた天湖森夜と同じ屋根の下で暮らせる事に浮かれる夢実だったが、初日から森夜には距離を取られ、天湖ゆり子には若さを妬まれる。下宿を解消しようと申し出る夢実に、森夜は自分の状況を説明する。森夜はみんなにあこがれられるがゆえにずっと孤独な生活を送っており、それによって自己像が完全に歪み、自分は嫌われ者だと誤解していたのである。そんな森夜に普通の学園生活を送らせてあげたいと考えた夢実は、まずは自分が友達として普通に接し、周囲に呼びかけて森夜の孤独を理解してくれる人を探そうと決意する。

星野夢実の受難(第1巻〜第3巻)

天湖家に下宿して2日目、星野夢実天湖森夜と共に登校した。その事で夢実と森夜の同居が学校中に知れ渡り、夢実はクラスの友人達に妬まれて理不尽な非難を受け、夢実に惚れている愛咲ルイは森夜に敵対心を向けるなど、さまざまな人に影響を及ぼす事となった。そんな中、ルイに対して森夜に負けない個性を感じた夢実は、森夜とルイを友達にしようと考えて二人を引き合わせる。森夜はルイに関心を抱き、最初こそ森夜を毛嫌いしていたルイもまた、彼に認められた事でプライドを取り戻し、ぎこちなくではあるが友人関係を築いていく。一方で森夜にあこがれる成金薫子は、夢実を天湖家から追い出そうと画策していた。薫子は権力とお金で天湖慶一の不在中に天湖ゆり子を懐柔し、一度は夢実をタコ部屋送りにするが、夢実は希望を捨てず、天湖家への帰還を果たす。そんな夢実がますます気に入らない薫子は、黒川ミスターXをボディーガードという名目で森夜につけ、他人との隔絶を図って独占しようと目論む。

その後(第3巻)

海外の両親のもとへ赴いた星野夢実は、そこから天湖森夜への思いを綴った手紙を出したが、天湖ゆり子の検閲により森夜の手には届かず、森夜は音信不通となった夢実を心配していた。また、伝説となった「失恋コンサート」以降、愛咲ルイは腐っていた。ルイはチョコリキュールに溺れ、マイクが握れない身体となり、アイドルを引退するつもりでいた。芸術一家である家族や彼を慕うアイドル部の後輩達からも心配されるが、ルイの心は荒んだままであった。一方、森夜を実家のパーティーに招待する成金薫子。その場面を目撃したゴロミはルイに報告する。森夜が夢実の不在をいい事に浮気に走ったと誤解したルイは、森夜への怒りで復活する。船上パーティーに潜入するルイとゴロミ、ゲストとして招かれた森夜、主催の成金家という面子が揃ったところで、成金サギ男の商売を狙ったテロリスト達に船が制圧されてしまう。

登場人物・キャラクター

星野 夢実 (ほしの ゆめみ)

わらび野中学校に通う2年生の女子。周囲からは美少女として知られており、天湖森夜に思いを寄せている。11月7日生まれのさそり座で、身長は156.5センチ、体重は44キロ。バストは78センチ。視力は右1.2、左1.0。好きな色は白とセピア色で、好きな花はかすみ草。成績はそこそこいいが、運動は少々苦手。両親の海外出張を機に、父親が部下である天湖慶一に頼み、天胡家に下宿する事となった。 その事がきっかけで、学校でも天湖家でもさまざまな受難に見舞われる事となる。若さと美しさを天湖ゆり子に妬まれ、多種多様なイジメを受ける。しかし、森夜の孤独を理解し、森夜に普通の学園生活を送らせてあげようと、日々奮闘している。また強い意志の持ち主で、成金薫子とゆり子の策略によりタコ部屋に売り飛ばされた時でさえ、希望を決して捨てなかった。 愛咲ルイから好意を持たれており、よくルイ主催のイベントに呼ばれているが、告白しようという彼の意図にまったく気づかないほど鈍感。友人は多いがろくな人間がおらず、星野夢実の可愛さや天胡家に住んでいるという環境を妬まれたり、何かにつけて森夜の私物や写真をねだられている。 作中で数少ない、まともな感覚を持った人物の一人。

天湖 森夜 (てんこ もりや)

星野夢実と同じわらび野中学校に通う2年生の男子。年齢は14歳。特異なカリスマ性の持ち主で、またの名を「孤高の貴公子」。全校生徒のあこがれであり、教師達の誇り、そして女性教師の滋養強壮剤と評されている。非常に端正な顔立ちをしているが、口数が少なく、過去に友達ができた事がない。それどころか、持ち前のカリスマ性で、相対した者を魅了し卑屈にしてしまうため、基本的に周囲に他人がいる事すらない。 そのような状態から、天湖森夜本人は「自分は嫌われ者だ」と認識しており、自身のファンから、あこがれのあまり私物を持ち去られる事も、いじめられているからと思っている。天湖ゆり子から箱入り息子のように育てられた事もあって世間知らずだが、本で読んだ知識は豊富で、自分が乗っている客船がジャックされた時にも、うまく切り抜けるなど機転が利く。 ボーッとしている事が多いが、一度動き出したら目的を遂げるまで止まらない一面もある。視力が悪いにもかかわらず、眼鏡をかけると酔ってしまい、コンタクトは体質に合わないため裸眼である。それにより、少し離れた物を見る時に凝視する癖があり、見られた者は睨まれたと感じる。 また、森夜に慣れていない者と目が合うと、カリスマオーラにやられてしまうため、森夜の視線は「天湖ビーム」といわれている。夢実の事は友達だと認識しており、屈託のない笑顔を見せるが、意識して笑おうとすると「ニタリ」とした顔になるため、本人の意思とは裏腹に人が遠のいていく。また、成績は優秀だが、テストは動物的なカンで解くため、他人に勉強を教える事はできない。 身体能力は高く、100メートルを12秒台で走れる。個人競技は得意だが、集団競技だと敵と味方の区別がつかない。趣味は読書で、好きなテレビ番組は「山ねずみラッキーチャック」。観葉植物に名前を付け、人間同様に扱って会話をしているほか、鳥と会話する事もできる。ミスターXからは「モーリィ」と呼ばれている。

天湖 ゆり子 (てんこ ゆりこ)

天湖森夜の母親。年齢は不詳。品のある美人で、貴婦人然とした外見をしている。しかし思い込みが激しく、妄想が膨らんで暴走すると、周囲を巻き込んでトラブルを起こす事が多く、天湖慶一からは「神経が個性的」と評されている。息子の天湖森夜を溺愛しており、過保護で過干渉。家事は得意ではないが、愛する家族のために何とかこなしている。 優雅で知的な生活を実現しようと、教会へ礼拝に行ったり、家族で読書の時間を設けているが、居眠りする事がほとんどである。天湖家では民放は見ないというルールを設けているが、天湖ゆり子自身はゴシップ誌が好きで、屋根裏にその類の本を隠している。慶一が出張などで家を空けると気が高ぶり、ちょっとした生活の変化でおかしくなってしまうため、過去に何度も森夜と心中未遂を起こしている。 夫の上司の娘である星野夢実に対して、当初は土下座で出迎え、様付けで呼ぶなどの卑屈ぶりを見せたが、夢実の若さと美しさに嫉妬し、天湖家から追い出そうと、さまざまな嫌がらせをするようになる。金目の物に弱く、成金薫子に宝石などで懐柔される事もある。

天湖 慶一 (てんこ けいいち)

天湖森夜の父親。美形で、天湖ゆり子と結婚してからもモテまくっていた。そのため、ゆり子からメガネをかける事と髭を生やす事を勧められ、現在ではダンディな風貌となっており、やはり別方面からモテている。ゆり子の奇行を理解する非凡な感性の持ち主で、老けて見えるがまだ30代。好きな作家は井上靖で、趣味はカルタ。会社では星野夢実の父親の部下にあたり、天湖家に下宿している夢実に、自分の娘のように接している。 ゆり子の暴走を止められる数少ない人物で、天湖慶一が出張などで家を空けると、ゆり子の神経が吹っ飛んでしまう。恋愛時代に慶一がプレゼントした服を着たゆり子とレストランで食事した際に、ゆり子が服のボタンを飛ばしてウエイターの額を割った事で、プロポーズするに至っているが、夢実からは何故その流れでプロポーズしたのか理解されていない。

愛咲 ルイ (あいざき るい)

わらび野中学校に通う2年生の男子。7月7日生まれ。靴のサイズは25センチ。フリーダムでアナーキーな妄想にふける癖がある。フランス系クォーターで、フランス人の祖父は日本建築に魅了され、現場監督として働いている。ほかにも家族には歌手や画家などがいる芸術一家。「アイドル部」という部を設立し、自らが「学園のアイドル」として活動しており、ゴロミをはじめとするアイドル部の後輩達をスタッフとして使っている。 ちなみに、アイドル部の後輩達からの人望は非常に厚い。アイドル活動としては、放課後に公園で行うコンサートや、マイクテストを兼ねて朝礼前にミニコンサートをしたり、昼休みには放送室からラジオのようなMCを届けている。ほかにも、食堂で行うランチショー、サイン会や握手会まで多岐にわたる。 なお、公園で行うコンサートは無許可なため、地元の警察にマークされている。わらび野中学校では、女子のみならず男子にも絶大な人気を誇り、ファンクラブも存在するほか、愛咲ルイの流線型で独特な髪型を真似をした「ルイカット」も流行っている。その人気から、わらび野中学校の生徒がよく利用するようになるという理由で、複数の近隣店舗がスポンサー契約を結んでいる。 星野夢実に入学当初から思いを寄せており、何度か告白を試みるが、彼女の鈍感さからスルーされている。異常なナルシシズムの持ち主でつねに人の目と自身の人気を気にしているが、緊張したりテンパった時は関西弁になり卑屈になる。もともと自分より人気が高い天湖森夜の事をライバル視しており、彼が夢実と同居している事を知ってからは、より対抗心を強めていく。 一方で夢実からは森夜のカリスマ性に負けない個性の持ち主と認識されており、森夜と友人関係を築いてほしいと、たびたび引き合わされている。精神的に脆い部分があり、落ち込んだ際には部費を遣い込んでチョコリキュール中毒となり、ダメ親父のような風貌になる。 意外にも成績は優秀で、テストは10位以内をキープしている。下着は普段はTバックを愛用しているが、オフの日はシルクトランクスを穿く習慣があり、兄のバイクに補助輪を付け、無免許で乗り回す事がある。ちなみに、岡田あーみんの『こいつら100%伝説』に登場する「危脳丸」の子孫である。

成金 薫子 (なりがね かおるこ)

わらび野中学校に通う中学2年生の女子。ロングヘアが特徴的な「成金グループ」のお嬢様で、父親は成金サギ男。学校の自分の机と椅子は、学校指定の物ではなく持ち込みで、天湖森夜の情報を観賞するためテレビまで設置し、登校風景などを流させている。普段は黒川と茂吉と行動を共にしており、授業中でも傍らにはどちらかがいる。 森夜に思いを寄せているが、素直になれずに告白できずにおり、気持ちとは裏腹に、雑草を投げつけたり罵声を浴びせたりしては後悔している。また、盗撮した写真を集めた「森夜さまアルバム」も持っている。星野夢実と森夜の同居を知り、何とか夢実を天湖家から追い出そうと画策。森夜を独占したいがために、天湖ゆり子を煽り、森夜に黒川やミスターXをボディーガードとしてつけて、他人からの隔絶を図るなどわがままな性格で、目的のためなら手段を選ばない。 その性格ゆえ愛咲ルイからは「根性ババ」と評されている。一度勢いで胸の内を森夜に告白してからは友人となり、自分の恋に向き合って、妬む周りの人間と戦う意思を持つようになる。ちなみに初潮はまだ迎えていない。

黒川 (くろかわ)

成金家に仕える謎の紳士。成金薫子の専属執事を務めている。4歳まで台湾で生活していた経験がある。過去に結婚していて子供がいる。オールバックの髪型で髭を蓄え、片眼鏡をかけている。普段は黒スーツを着用しているが、オフの時はラクダのモモヒキを愛用している。つねに冷静沈着だが、感覚がどこかズレており、平常心のまま暴走する事も多々あるなど行動が読めない。 成金家の使用人達を束ね、指揮を執っているが、よく悪ふざけをしては薫子に折檻を受けている。荒事に対応する能力は高いが、過去を詳しく知る者は存在せず、部下達からは、かつてグリーンベレーやKGBの工作員、ルーマニアの秘密警察だったなどの憶測が飛び交っている。さらに成金サギ男と契約した悪魔というのは、実は黒川自身ではないかという噂まである。 好きなタレントは細川ふみえで、趣味は手品。話がうまく、初対面の女の子とすぐなかよくなれる一方で、天湖森夜に薫子の愚痴をこぼす事もある。ダイヤの鑑定をする事ができる。ビールはキリン派で、好きなツマミは鰹の炭火焼。

ゴロミ

わらび野中学校に通う1年生の男子。「アイドル部」所属で、愛咲ルイの後輩にあたる。パーマがかった髪とタレ目が特徴。ルイが演技がかった苦悩をしている時など、空気を読まずに正論を直球で投げかける事がある。普段はルイのアイドル活動をサポートするスタッフとして働いている。一度、天湖森夜からカリスマ凝視である「天湖ビーム」を喰らって精神に異常をきたすが、ルイに支えてもらった事をきっかけに、森夜よりもルイを慕う数少ない人物となる。 ただしドジな性質で、ルイの足を引っ張る事が多い。

茂吉 (もきち)

成金家に仕える青年。パーマがかった長髪を後ろで束ねている。成金薫子の教育係として働いている。3歳の頃に成金家に拾われた恩があり、天湖森夜に思いを寄せる薫子を励ましたり、夢実に対する嫌がらせを窘(なだ)めたりしている。作中では数少ないマトモな感覚を持つ人物。性格は優しく、夢実を守るために立場を超えて体を張る事もある。

ミスターX (みすたーえっくす)

成金薫子が雇った天湖森夜専属のボディーガード。長髪を後ろで束ねた端正な顔立ちの青年。森夜を星野夢実から遠ざける事を目的としている。幼い頃から英才教育を受け、政界マフィア軍事施設など、あらゆる闇の情報をかき集め、どんな事にも動揺しない鋼の精神を持ち、マフィアの脅しにもゲシュタポの拷問にもビクともしなかったと自称している。 本業はスパイ。森夜に接触した際に一瞬で惚れてしまい、任務と称して森夜を独占するために動くようになる。森夜のボディーガードを辞めてからはスパイも辞め、書類操作を行ってわらび野中学校に編入して来た。編入以降は中学生として生活している。森夜の事を「モーリィ」と呼び、森夜の貞操を狙っている節がある。何故か天湖ゆり子と気が合う。

成金 サギ男 (なりがね さぎお)

成金薫子の父親。「成金グループ」会長を務める。悪どい商売を営んでおり、色々な人から相当恨みを買っている。妻の占いから商売のアドバイスをもらっている。つねに笑顔が張り付いているが、まったく目は笑っていない。頭はハゲて眼鏡をかけている。「揉み手で指紋を消した男」という二つ名を持っている。誰かにヘコヘコしながら近づいていく際、成金サギ男の目の奥がキラリと光ると、善良な市民が身も心も破壊されるといわれている。 金で何でも解決しようとする性格で、薫子から天湖森夜を紹介された時にも、金で娘とセックスするよう交渉に当たった。実は悪魔と契約しており、不死身の魂を持っていて、肉体が死んでも椅子などに憑依し、あとでまた肉体に魂を戻す事ができる。 その契約した悪魔とは黒川の事ではないかという噂が、成金家の使用人達のあいだで流れている。薫子の客をまともにもてなさない事から、娘からは妻とサギ男で「バカ夫婦」と評されている。

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