旅の四宝

旅の四宝

『ワイルドライフ』『美咲ナンバーワン!!』他で知られる藤崎聖人が、2016年から2017年にかけて連載した作品。舞台は現代の日本。倒産の危機にある中堅旅行代理店「J紀行」の部長・朱雀凪紗は、伝説のツアープランナー・獅堂泰人に助けを求める。獅堂の活躍を通じて、国内のレアな名所や旅行業界の裏側を描いた旅行コミック。小学館「ビッグコミックスペリオール」2017年第1号から第23号まで連載。

正式名称
旅の四宝
ふりがな
たびのしほう
作者
ジャンル
その他職業・ビジネス
 
旅行
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ツアープランナーを主人公にした旅行ビジネスドラマ

本作の舞台は、インターネットの普及や大手に押され、経営危機にさらされている中堅旅行代理店の「J紀行」。大手への身売りか、大規模なリストラしかないという常務を制止し、社長の娘で企画開発部長でもある朱雀凪紗は、ある優秀なツアープランナーの男を訪ねる。彼の名は獅堂泰人(シド)。かつて、旅行会社最大手「JTP」で年間10億円の売り上げを達成した伝説の男だった。現在は無職で、テレクラに住んでいるという変わり者のシドは、いったんは凪紗のスカウトを断る。しかし、自社株を譲渡してもいいという凪紗の覚悟を見て、J紀行の再建に協力する。本作は、旅の三宝(旅の計画・準備、旅そのもの、旅の思い出)を上回る、「三宝を他人に伝える」という四つ目の宝を武器にする敏腕ツアープランナーを描いた、旅行ビジネスドラマである。

国内の知られざる名所をリアルに紹介

シドが計画する旅行企画は一見すると無謀なものばかりである。例えば、開花が早まり、桜が散ったあとに行われることになった花見ツアーでも「最高の桜」を見せると豪語し、皇居東御苑へと一行を引率する。そこは都内に10本もないという緑色の桜「御衣黄」が満開の場所で、珍しい鮮やかな緑の桜に客は大満足する。また、幻の太陽を見せるという「最高の日の出ツアー」の行き先は北海道別海町。海岸線を昇ってくる真四角の太陽で、みんなを感動させた。なお、本作に登場する観光地はすべて実在のものである。観光協会やホテルへの取材、画像資料を通じて、国内の知られざる名所をリアルに紹介している点が、本作の大きな特徴である。

因縁のライバルとの旅行バトル

業界最大手の旅行代理店JTPは、J紀行の役員を引き抜こうとしたり、顧客情報リストを盗んだりして、J紀行を潰そうと画策する。JTPのバックにいるのは、巨大資本を有する「月舘ホテルグループ」である。じつは、オーナーの月舘秋人はシドの異母兄で、子供の時のある事件がきっかけで、二人の間には確執があった。そういった事情から、シドが所属するJ紀行を、秋人は潰そうとしていたのだ。単行本第3巻では、秋人がシドたちの前に姿を現し、J紀行が企画する「最高のツアー」と月舘・JTPによる「至高のツアー」のバトルが展開される。

登場人物・キャラクター

獅堂 泰人 (しどう たいと)

業界最大手の旅行代理店「JTP」に所属していた伝説のツアープランナー。ツンツンヘアーとバンダナが特徴の男性。JTPのやり方に反発して退職したあと、中堅旅行代理店「J紀行」の部長・朱雀凪紗の熱意にほだされ、J紀行に参加した。「旅の計画・準備」「旅そのもの」「旅の思い出」という三宝に加え、三宝を他人に伝えるという四宝を重要視し、口コミやSNSを利用する。規格外の変わり者だが、旅行に関する知識と発想は天才的。愛称は「シド」。

朱雀 凪紗 (すざく なぎさ)

中堅旅行代理店「J紀行」の企画開発部長で、社長令嬢。ボブヘアーとメガネが特徴の熱血漢。経営不振のJ紀行を救うため、伝説のツアープランナー・獅堂泰人(シド)と接触。捨て身の説得でシドを引き入れることに成功した。

百瀬 一香 (ももせ いちか)

中堅旅行代理店「J紀行」の企画開発部に所属する、胸が大きいOL。明るく元気で涙もろい性格。会社に愛着を持っており、大量のツアー企画を考案するなど、努力だけは一人前。獅堂泰人にボロクソに言われながらも、めげずに頑張り、立派なプランナーを目指す。

クレジット

取材

木村 恵之

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