概要・あらすじ
猪名川こよみは、フリーのウェディングプランナー。元・東都ホテルのブライダルスタッフだったこよみは、独立してからも大手ホテルに呼ばれるなどの凄腕で、アートディレクターやヘアメイクなどスタッフからの信頼も厚かった。ある日、こよみのもとに加西昭信・由季のカップルが訪ねてくる。二人は、いくつかの結婚相談所の対応に違和感を覚えていた。決めるまで長時間拘束されたり、大人数のほうが儲かるなどと言われたようで、「儲かるとかではなく、素敵な式を挙げたい」とこよみに訴える。それを聞いたこよみは、笑顔で二人の生い立ちを尋ねる。「二人の馴れ初め」や「初デート」でもなく「生まれてから覚えていること」を聞かれた昭信と由季は、少々面食らう。しかしまずは、個々の人生のバックボーンを知ることがこよみのやり方だった。昭信と由季は二人とも、「本」に強い思い入れがあることを知ったこよみは、「図書館ウェディング」を企画する。しかし、公共図書館、一般書店、ブックカフェとも貸し切りができる場所はない。アートディレクターが妥協案を示す中、それでもこよみは諦めない。私設図書館に片っ端から連絡をし、とうとう使用可能な図書館を見つけ出す。こうしてこよみは、趣向を凝らした図書館ウェディングを成功させた。「図書館ウェディング」の噂を聞いた、こよみの元同僚の東都ホテルの篠山は、「いい式のため」に全力で駆け抜けるこよみの姿に感銘を受け、ライバル心を燃やすのであった。
登場人物・キャラクター
猪名川 こよみ (いながわ こよみ)
フリーランスのウェディングプランナーの女性。業界内でも有名な凄腕。ショートカットのアラサーで、元・東都ホテルのブライダルスタッフ。大学生時代、生花店でのアルバイト中に、多くの式場に足を運んだことと、生花店店長の「幸せになりなさい」という言葉をきっかけに、ブライダルの仕事を目指す。
篠山 (しのやま)
東都ホテルのブライダルスタッフの男性。猪名川こよみの東都ホテル時代の同期で、メガネのアラサー。客のニーズと会社の利益のバランスを重視するタイプで、非効率な作業を嫌う。こよみに好意を寄せており、同時にライバル視している。