幻想的なSF要素を含んだほのぼの百合4コマ
宇宙をテーマにした作品で、人工衛星打ち上げ成功から3年後の日本を舞台にしている。内気な性格ながら宇宙に興味津々な小ノ星海果はある日、宇宙人を名乗る少女・明内ユウと出会い、共に宇宙を目指すという突拍子もない約束を交わす。徐々に距離を縮めていく海果とユウの交流や、ロケット研究同好会での新たな出会い、そしてロケットを作るという目標とともに始まった女子高校生たちの青春物語が、百合ラブコメディやSF要素を交えて展開される。本作は基本的に4コマ形式ながらストーリー性が高く、ギャグ要素が抑えられているのも特徴となっている。
陽気な宇宙人×内気な女子高校生
主人公の小ノ星海果は、昔から人とのコミュニケーションが苦手な、おとなしく内気な性格の女子高校生。入学した高校でも自分の居場所がないと感じていた海果がひそかに夢見ているのは、いつか宇宙人と素敵な出会いを果たすことだった。そんな海果が高校の入学式で出会ったのは、宇宙人を名乗る不思議なクラスメート・明内ユウだった。ユウは相手の気持ちを知ることができる特殊能力「おでこぱしー」で、宇宙へのあこがれを持つ海果の心と孤独を感じ取る。そしてユウは、いつか宇宙に帰らないといけないと自らの秘密を明かし、海果にいっしょに宇宙を目指そうと誘うのだった。
ロケット研究同好会で深まる交友
宇宙に帰らなければならない明内ユウと宇宙に行きたい小ノ星海果は、ユウの提案をきっかけにロケット研究同好会を立ち上げる。はじめは二人だけの同好会だったが、ロマンティストな副学級委員長・宝木遥乃、不登校気味でマイペースな性格のメカニック・雷門瞬が入部し、ロケット製作が始まる。人とのコミュニケーションが苦手な海果は、ユウの明るく社交的な性格や同好会での活動を通じて、少しずつ前向きになっていく。個性的なメンバーが集結した同好会で少女たちが繰り広げるほほ笑ましい交流や日常、引っ込み思案だった海果が夢に向かって成長する姿が描かれる。
登場人物・キャラクター
小ノ星 海果 (このほし うみか)
藤野岬高等学校の普通科1年A組に在籍する少女。年齢は15歳。身長151センチ。癖のある青紫色のロングヘアに、三角形を二つ連ねたデザインの髪飾りを二つつけている。趣味は読書で、SFやミステリを好む。国語が得意で、読書感想文での受賞経験もあるが、極度のあがり症のために人前に出ると吃音(きつおん)の症状が出てしまい、その能力を発揮することができない。地球に居場所がないとまで思い詰め、自作ロケットで宇宙に行き、テレパシーを使える宇宙人となかよくなることを夢見ている。「宇宙語辞典」を購入して学校に持ち込むほどの熱の入れようで、宇宙人を名乗るクラスメートの明内ユウに興味を示すものの、声を掛けることができずにいた。しかし、ユウの特殊能力「おでこぱしー」を体感して、彼女が本物の宇宙人であるという確信を強め、いっしょに宇宙を目指すことを約束する。紆余曲折を経て、ユウや副学級委員長の宝木遥乃、不登校の雷門瞬とロケット研究同好会を結成。同好会の会長として、活動に打ち込むようになる。
明内 ユウ (あけうち ゆう)
藤野岬高等学校の普通科1年A組に在籍する少女。宇宙人を自称している。桃色のロングヘアを二つに分け、一部を両側頭部でシニヨンにしている。頭頂部のアホ毛は感情に応じて形が変わる。宇宙語が堪能で、額をくっ付けて思考を読む「おでこぱしー」、探知能力「宇宙人レーダー」、瞬間移動能力「テレポーテーション」なども使用できる。また、あくまで自己申告ながら、「宇宙から降り注ぐ無限のエネルギー」がパワー源で、娯楽としての食事しかしない。灯台で暮らしており、宇宙語で記された航海日誌から、航路変更して地球に来たこと、宇宙船が故障したことを知るが、使命を思い出せずに苦悩している。灯台で目覚めた時ににぎっていた「明内ユウ」の学生証を頼りに入学式に参加し、現在に至る。勉強は苦手ながら、運動は得意。明るい性格で、クラスのムードメーカー的存在として人気を集めている。「宇宙語辞典」を所持していた小ノ星海果に興味を持ち、彼女の孤独と宇宙へのあこがれに触れ、いっしょに宇宙を目指す盟友となる。
書誌情報
星屑テレパス 4巻 芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉
第1巻
(2020-07-27発行、 978-4832272057)
第2巻
(2021-09-27発行、 978-4832273085)
第3巻
(2022-10-27発行、 978-4832274099)
第4巻
(2023-09-27発行、 978-4832274860)