柚子森さんとの出会い
ある日の朝、学校へ急ぐ高校2年生の野間みみかは、公園で猫と戯れる一人の少女に目を奪われ、周りが見えなくなってしまう。思わず声をかけるみみかだったが、少女は防犯ブザーに手をかけながら後ずさりし、そのまま逃げてしまった。自分の行動を反省したみみかは、財布を落としたことに気づく。放課後、公園で財布を捜していると、今朝出会った少女が通りかかる。事情を聞いた少女は、みみかに協力。彼女のおかげでなんとか財布を取り戻すことができた。「お友達になってほしい」というみみかに、少女は連絡先を交換することを承諾した。少女の名は柚子森楓、小学4年生の女の子だった。こうして高校生と小学生の凸凹コンビは出会い、心ときめかせる日々を送ることになる。
ヘタレな女子高生×大人びた小学生
みみかはヘタレな女子高生。柚子森さんと手を繫いだだけで、腰が抜けるほど動揺したり、雷を異常に怖がって柚子森さんに助けてもらったりする意気地なしで、柚子森さんには敬語で接する。一方、柚子森さんは小さくて華奢な小学生だが、いつも凛とした表情を崩さないクールな性格。やたら震えてモフモフした髪のみみかを、トイプードルみたいだと言い、タメ口で話す。柚子森さんへの「好き」で胸がいっぱいになるみみかだが、告白すれば一緒にいられなくなると思い、気持ちを隠そうとする。しかしある日、みみかの親友・志摩栞に嫉妬した柚子森さんは、みみかに「好き」だと告白する。晴れて両想いになった二人は、新たな関係を模索しつつ尊い日々を過ごす。
制作秘話
単行本巻末の「あとがき」によれば、本作執筆を決めたのは、前作『少女決戦オルギア』の連載中だという。当時のアシスタントが、最近の楽しいこととして、「趣味で『おねロリ』を描いていること」と話したのがきっかけだった。「おねロリ」とは、おねえさんと幼い少女の「歳の差百合」である。なお、前作は残酷描写が多いマンガだったため、本作でほんわかタッチに修正するのに苦労したという。また、初めて幼い子を描くにあたっては「猫」をモデルにした。「ポーカーフェイスで何を考えているかよくわからない」「興味がなさそうにしていたのに、突然寄ってくる謎の距離感」という柚子森さんの性格はこうして誕生した。なお、みみかの敬語は「猫好きの人は基本的に猫には敬語」という作者の勝手なイメージからである。
登場人物・キャラクター
野間 みみか (のま みみか)
高校2年生の女子。幼い頃からヘタレで親友に頼って生きてきた。ある日の朝、偶然見かけた小学生の柚子森楓に目を奪われ、後に友達になる。柚子森さんへの気持ちが初恋だと気づくが、相手が小学生であるため、気持ちを伝えるべきか隠すべきか葛藤する。柚子森さんに対しては常に敬語で接する。
柚子森 楓 (ゆずもり かえで)
小学4年生の女の子。白い肌と華奢な体が特徴。クールな性格で落ち着いているが、突然子供っぽい怒り方をすることもある。母と二人暮らしだが、ひとりで家にいることが多い。また、一緒にいても楽しくないという理由でクラスメートと遊ぶこともない。野間みみかに声をかけられ、最初は警戒するが友達になる。みみかに対しては常にタメ口。
書誌情報
柚子森さん 5巻 小学館〈ビッグスピリッツコミックス〉
第1巻
(2016-12-01発行、978-4091892928)
第2巻
(2017-03-01発行、978-4091894731)
第3巻
(2017-07-01発行、978-4091895882)
第4巻
(2017-12-01発行、978-4091897565)
第5巻
(2018-05-01発行、978-4098600076)







