時間停止勇者

時間停止勇者

高校2年生の葛野セカイはある日、異世界に転移し、時間停止の能力を得るが、同時に謎のカウントダウンが存在することにも気づく。詳細は不明ながらも、取り返しのつかない事態になることを恐れ、時間停止能力を使いながらカウントダウンをリセットしようと奔走するセカイの姿を描く、時間停止ギャグアクション。「月刊少年シリウス」2019年11月号から連載の作品。

正式名称
時間停止勇者
ふりがな
じかんていしゆうしゃ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
ファンタジー
レーベル
シリウスKC(講談社)
巻数
既刊16巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

高校2年生の葛野セカイは、ある日、SNSで炎上騒ぎを引き起こして、居場所をすべて失ってしまう。もうこの世界にはいたくないと強く思ったセカイは、突如異世界へと転移していた。異世界に来たことで時間停止の能力を身につけたセカイは、これで世の中を思うままにできると調子に乗るが、ふと目の端に謎のカウントダウンが存在することに気づく。これはなんらかのゲームにかかわるもので、カウントが0になると取り返しのつかないことになってしまうのではないかと恐れたセカイは、ゲームをクリアしようと決意。ゲームの攻略を手探りで進めることにしたセカイは、とりあえず近郊で最強のモンスター、サンドワームを倒そうと考える。サンドワームは死刑囚の処刑を行うのに使われているため、セカイはわざと騒ぎを起こして捕まり、牢屋に入る。その牢屋で盗賊の少女のニーニャと出会ったセカイは、彼女と親交を深めつつ、サンドワームとの戦いに臨む。時間停止を使えば簡単に倒せると考えていたセカイだったが、硬いサンドワームには歯が立たない。そこでセカイは時間を停止させたまま試行錯誤を重ね、体感時間にしておよそ275日をかけて、ようやくサンドワームを打ち倒すのだった。これによってステージクリアとなり、カウントダウンはいったんリセットされる。その後、サンドワームを倒したことで、勇者と認められたセカイは、北の洞窟のモンスターを倒す依頼を受ける。苦労しつつ北の洞窟をクリアしたセカイは、モンスターの頭目と思われていたダークエルフのフューリィを捕まえることに成功。しかし、これでもカウントダウンは止まらず、セカイは次第に焦り始める。

第2巻

葛野セカイは、フューリィニーニャを旅の共に加え、国王から新たな依頼を引き受ける。サンドワームを倒したことで実力を示したセカイは高難易度の依頼を授けられたが、その依頼はステージのクリア条件とは関係ないものだった。そのことに気づいたセカイは、手近で簡単な依頼をこなし、カウントダウンをリセットすることに成功する。次のステージをクリアするため、情報を集め始めたセカイは、モンスターに占拠された東の塔の探索を始める。フューリィからゴーレム錬成の魔法を習ったセカイは、岩吉という新たな仲間を加えて塔を探索する。塔にいた人間は石像と化しており、不気味な雰囲気を放っていたが、セカイは岩吉の力を借りることで着実に塔を攻略していく。そして、塔の最上階に到達したセカイは時間停止を使って、人間を石像にする力を持つモンスターのコカトリスを倒そうとする。しかし、セカイはコカトリスの放っていた石化の息に触れて、石像になってしまう。時間停止した最中にセカイが戦闘不能になったことにより、時間停止は解けることもなく、世界は完全に静止。このまま成す術がないと思われたが、残された岩吉が身を挺してコカトリスを倒したことで、辛うじて一行は救われるのだった。

登場人物・キャラクター

葛野 セカイ (くずの せかい)

高校2年生の男子。SNSで炎上して居場所を失う。現実世界にはいたくないと思っていたところ、気がついたら異世界に転移。異世界を訪れた直後に拾ったコントローラーで時間停止することができることを知り、その力を使って異世界生活を満喫している。スケベな性格で、時間停止の力を使って女性の服を脱がしたり、セクハラをしたり好き勝手しているが、一方で偏執的ともいえるほど一つの物事に集中する強い精神力を持つ。サンドワームとの戦いでは、停止した時間の中たった一人であらゆる手段を試行錯誤し、実質的に275日以上にも及ぶ時間をかけてサンドワームを打ち倒す執念深さを見せた。カウントダウンが0になったら何が起こるのかわからずに恐れており、それを回避するためにあらゆる手段を使ってゲームをクリアしようとしている。フューリィが旅に同行するようになって以降、彼女の言葉に従いエンテュラ教の経典を学び、大地の魔法を習得。フューリィから錬成石をもらい、ゴーレム「岩吉」を召喚できるようになる。

ニーニャ

金髪をポニーテールにした盗賊の少女。快活な性格で、義賊を自称する。王国の牢屋に捕まっていた際に、葛野セカイと出会って彼に興味を持つ。セカイが勇者に任命されたあと、口添えされて釈放。その後、セカイに同行を申し出る。戦闘は得意ではないが、盗賊としての腕前は確かで、錠前破りや索敵では非凡な能力を発揮する。当初はセカイも煙たがっていたが、次第に彼女の能力の高さを認めて同行を許すようになる。

フューリィ

褐色の肌に長い耳を持つダークエルフの女性。黒い髪をストレートロングにしている。大地の神のエンテュラの教徒で、大地の魔法をあやつる。稀少なゴーレム錬成の魔法を習得しているため、その力を求める者たちに故郷を滅ぼされ、家族も殺されたという過去を持つ。現在は自分の身を守るため、王国の北の洞窟に潜んでいたが、護衛のために錬成したゴーレムのせいで、王国の民にモンスターの頭目と誤解され、国王から依頼を受けた葛野セカイに捕まった。その後、罪人として処刑されそうになるが、セカイの取り成しで助かる。表舞台に引きずり出されたことで、故郷を滅ぼした連中に見つかってしまうが、セカイが時間停止を使って、ついでとばかりに連中を拘束・無力化した。その後、復讐を完了して自由の身となったため、セカイと行動を共にする。直感に優れるため、セカイが時間停止をしてセクハラをしていることも知っている。そのため、彼にはいい感情を持っておらず、彼からの同行の願いは断っているが、なんだかんだ言いつつ行動を共にして手助けしている。また、彼に請われて大地の魔法の習得方法を教え、貴重なゴーレムの錬成石も渡している。

岩吉 (がんきち)

葛野セカイが作り出したゴーレム。フューリィのゴーレムは人間大の大きさだったが、セカイの魔力が貧弱だったため、小さな子供くらいの大きさしかない岩の人形の姿になっている。セカイから「岩吉」と名づけられる。セカイのあやつる魔法であるため、時間停止中でも動ける特性を持ち、時間停止中の人手不足を解消することを目的に錬成される。錬成された当初は何もできないほど貧弱だったが、徐々にできることが増え、時間停止中のフューリィとニーニャの運搬を担当する。また、時間停止中のセカイがヒマつぶしに料理などを教えたら習得したため、意外と多芸な技能を持つ。術士のセカイに似て女好きで、時間停止中の女性のスカートをめくったりしている。コカトリス戦では、セカイが時間停止中に石化してしまったため、停止した世界で唯一動ける存在となる。セカイを救うべくコカトリスと諸共墜落して相打ちになるが、コアの錬成石がコカトリスの羽毛に包まれていたため九死に一生を得る。苦楽を共にし、命を救われたためセカイも岩吉に愛着を持っており、死んだと思った岩吉が生きているのを知った時は感激していた。

アリシア・ベルツリー

ベルツリー王国の王女。クラウ・ベルツリーの妹。気品があり、優しい性格をしている。サンドワームを倒した葛野セカイを勇者と認定するようウォズ・ベルツリー2世に進言した。勇者という存在に強いあこがれを抱いており、彼に強く期待している。

クラウ・ベルツリー

ベルツリー王国の王女。アリシア・ベルツリーの姉。王女ながら武芸を修めており、鎧に身をまとい、剣と魔法を武器にして戦う武闘派。葛野セカイの実力を疑問視し、彼に戦いを挑む。攻撃魔法「雷撃剣(ライトニングソード)」が得意技で、セカイにも叩き込もうとするが、時間停止で武器と鎧を奪われ敗北する。配下に女性の弓使い、魔法使い、神官がおり、彼女たちといっしょに登場することが多い。

ウィル・ベルツリー

ベルツリー王国の第2王子。精悍な顔つきをした青年で、誠実な人柄をしている。民と仲間のために体を張って率先して戦う好漢で、戦いの際には重装備の鎧を身にまとい、剣を武器にして戦う。王子だが妾腹であるため、自らが王の座からは遠いことを理解しており、戦いで危機にさらされても逃げることなく、仲間のために戦っている。北の洞窟で剣が利かないゴーレムを相手に窮地に陥っていたが、そこに姿を現したセカイに救われた。

ウォズ・ベルツリー2世 (うぉずべるつりーにせい)

ベルツリー王国の国王。ヒゲを生やした壮年の男性で、鋭い目つきをしている。サンドワームを倒した葛野セカイを国定勇者(こくていゆうしゃ)に任命し、彼にモンスター討伐の任を下す。ウォズ・ベルツリー2世自身は知らないが、ステージのクリアの重要な鍵を握る存在で、彼の与えるクエストを完了し、それを報告するまでがステージの流れとなっている。ただし、自らはそれを知らないため、別のクエストをセカイに渡したり、夜は寝ていて報告できなかったりと、セカイの思う通りに動かないことが多い。

リーファ

「剣聖」の称号を持つ女性。女性でありながら史上最年少で剣聖となった天才剣士で、並の剣士では到底太刀打ちできない実力を誇る。愛剣は「鉄斬(てつざん)ソード」と呼ばれる名剣で、恐るべき切れ味を発揮する。ベルツリー王国を訪れていたところ、サンドワームを倒すための武器を探していた葛野セカイに鉄斬ソードを一時的に持っていかれる。時間停止中だったため、何が起きたかわからず、気がついたら鉄斬ソードが戻ってきたため不可解な怪現象として疑問に思っていた。相手の力量を一目で見抜くほど洞察力が鋭く、セカイが酒場で時間停止をしているのを見て、彼が鉄斬ソードを盗んだ犯人と直感的に見抜く。彼の能力も一目で見切り、時間停止対策のため速攻で攻撃を加えて、セカイに重傷を負わせた。武装解除しても強く、素手でセカイを圧倒。最終的に謝罪した彼を許し、去っていった。

サンドワーム

巨大なミミズのような姿をしたモンスター。ベルツリー王国では死刑囚の処刑用モンスターとして飼われており、サンドワームと死刑囚の一騎打ちが見世物となっている。口から吐く酸性の液体に触れると人体程度なら一瞬で溶かしつくしてしまう。巨大な体は強靭な筋肉繊維が瓦状にいくつも積み重なっており、鉄の剣程度ならまったく刃を通さないほど硬い。葛野セカイは時間停止をして殺そうとしたが、攻撃が全然通じなかったため試行錯誤を重ね、およそ275日ほどの時間をかけて倒した。セカイは止まった時間の中でひたすらサンドワームの攻略法を探していたため、次第に愛着を覚え、倒す前には「酸吉」と愛称を付けていた。

その他キーワード

コントローラー

葛野セカイの持つアイテム。ゲームのコントローラーのような形状をしているため、セカイは「コントローラー」と呼んでいる。セカイが異世界に転移した際、いつの間にか手に持っており、いろいろ試したところSTARTボタンを押すと、時間停止できることを発見。以降、セカイの必需品アイテムとなっている。セカイにしか使えず、ほかの人間が使っても時間停止をすることはできない。

カウントダウン

葛野セカイにしか見えない謎の数字。セカイが異世界に転移して以降、視界の端につねに表示されており、カウントダウンするかのように減っていく。カウントは毎回72時間からスタートし、特定の目的を達することでステージクリアとなって、花火が打ちあがる演出と共にカウントがリセットされる。ステージのクリア条件などは不明で、制限時間中にすべて手探りで探さなければならないが、時間停止中はカウントも停止する。カウントダウンが0になると何が起きるか不明だが、セカイはゲームオーバーになって取り返しのつかない状況になることを恐れており、制限時間内のステージクリアを目指している。

時間停止 (ぽーず)

葛野セカイの持つ特殊能力。コントローラーのボタンを押すことで、世界の時間を停止することができる。能力発動時は「●時間停止中」という表示が出る。能力に制限や代償はなく、その気になれば数か月以上の長きに亘って時間を止め続けることも可能。また止まった時間の中では相手に一方的に干渉可能なため、停止中は一方的に攻撃することも可能となっている。一見すると無敵にも等しいが、サンドワームやゴーレムのように、セカイの貧弱な攻撃が通じない硬い敵に対してはあまり有効ではない。ちなみに時間停止中でも魔法はその効果が維持されるため、セカイは時間停止中にゴーレム錬成の魔法を習得し、岩吉を生み出している。なお、時間停止中に魔法の効果が維持されるのは敵の魔法にも適用されるため、知らずに敵の魔法に触れてしまうとその効果を受けてしまうリスクも存在する。

書誌情報

時間停止勇者 16巻 講談社〈シリウスKC〉

第1巻

(2020-01-09発行、 978-4065182352)

第2巻

(2020-05-08発行、 978-4065194379)

第3巻

(2020-09-09発行、 978-4065207024)

第4巻

(2021-01-08発行、 978-4065220368)

第5巻

(2021-04-08発行、 978-4065228470)

第6巻

(2021-08-06発行、 978-4065244029)

第7巻

(2021-11-09発行、 978-4065258699)

第8巻

(2022-03-09発行、 978-4065270202)

第9巻

(2022-06-09発行、 978-4065282151)

第10巻

(2022-09-08発行、 978-4065291658)

第11巻

(2023-01-06発行、 978-4065303627)

第12巻

(2023-04-07発行、 978-4065313435)

第13巻

(2023-08-08発行、 978-4065327494)

第14巻

(2023-12-07発行、 978-4065338803)

第15巻

(2024-04-09発行、 978-4065350966)

第16巻

(2024-08-07発行、 978-4065365885)

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