最後のレストラン

最後のレストラン

藤栄道彦の代表作の一つ。舞台は現代日本のフレンチレストラン「ヘブンズドア」。オーナーシェフの園場凌と従業員たちは、客として訪れた歴史上の偉人たちの無理難題な注文に応えながら、“最後の晩餐”を提供する。その過程で、偉人たちの人柄や名言に触れ、料理人として、また人間として成長していく姿を描いたグルメコメディ。新潮社「月刊コミック@バンチ」2011年4月号から2024年4月号まで連載。続編に藤栄道彦の『最後のレストランDante』がある。2016年4月から6月にかけて、NHK BSプレミアムでテレビドラマ版『最後のレストラン』が放送された。園場凌を田辺誠一、前田あたりを木南晴夏が演じている。

正式名称
最後のレストラン
ふりがな
さいごのれすとらん
作者
ジャンル
グルメ
 
その他歴史・時代
レーベル
バンチコミックス(新潮社)
巻数
全23巻完結
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偉人たちの無理難題とオーナーシェフの挑戦

園場凌が父親から受け継いだフレンチレストラン「ヘブンズドア」では、本能寺の変の渦中にある織田信長が来店したことをきっかけに、マリー・アントワネットや坂本龍馬、ジャンヌ・ダルクといった歴史上の偉人たちが次々と訪れるようになる。彼らは死の間際に現れるためか、「何が食べたいか当ててみろ」「幸福を知る一皿を出せ」といった無理難題を投げかけてくる。凌がこれらの難題にどのように立ち向かうのか、そのスリリングな展開が読者を惹きつけ、物語に絶妙なスパイスを加えている。

無気力シェフの成長物語

「ヘブンズドア」のオーナーシェフの凌は非常に無気力で自分に自信が持てず、どこか卑屈な一面を抱えていた。そのため、料理の腕前は確かであるにもかかわらず、積極的な宣伝を行わなかったため、店は閑古鳥が鳴いていた。しかし、店を訪れた偉人たちから心のこもった料理を称賛され、感謝の言葉を受けるうちに、凌は徐々にシェフとしての自信とやりがいを取り戻し、店も繁盛していくこととなる。

時代と文化が交差する食卓

「ヘブンズドア」を訪れる客は、関羽やアドルフ・ヒトラー、安徳天皇、アマデウス・モーツァルトといった、時代や国籍がまったく異なる偉人たち。そのため、彼らの生きた時代や宗教によっては食べられない食材があったり、食べたことのないものがあったり、さらに現代では美味とされる味付けが受け入れられなかったりすることもある。オーナーシェフの凌は、前田あたりの知識を基に、こうした食文化の違いから生じる課題を克服していく。作中では、ふだん何げなく口にしている食材が、いつの時代から食べられるようになったのかという歴史的背景も解説されており、大きな見どころの一つとなっている。

登場人物・キャラクター

園場 凌 (そのば しのぐ)

フレンチレストラン「ヘブンズドア」のオーナーシェフを務める男性。年齢は28歳。父親から店を継いだものの、客足が途絶え、閉店を考えていた矢先、突如として本能寺の変の真っただ中にいた織田信長が現れる。これをきっかけに、次々と歴史上の偉人たちが来店するようになる。園場凌は彼らをそっくりさんや役者と思い込んでおり、決して本人だとは認めようとしない。ふだんはマイナス思考で無気力な一面を持つが、料理人としての腕前は一流で、プライドも非常に高い。金にはがめついところがあるが、プライドを傷つけられると、どんな大金を積まれても信念を曲げない頑固さも併せ持っている。

前田 あたり (まえだ あたり)

フレンチレストラン「ヘブンズドア」でアルバイトをしている女子大学生。年齢は19歳。ショートカットで、ふだんはほとんど表情を変えない。歴史や文化に対する造詣が非常に深く、来店する偉人たちの正体を瞬時に見抜く慧眼を持つ。前田あたり自身の何げない一言が、オーナーシェフ・園場凌の料理のヒントになることも少なくない。また、現代の主要言語はもちろん、ヘブライ語やラテン語といった古代言語も自在にあやつり、ヘブンズドアに訪れる偉人たちの通訳を務めている。

書誌情報

最後のレストラン 全23巻 新潮社〈バンチコミックス〉

第1巻

(2011-12-09発行、978-4107716415)

第20巻

(2022-11-09発行、978-4107725455)

第21巻

(2023-07-07発行、978-4107726230)

第22巻

(2023-11-09発行、978-4107726674)

第23巻

(2024-06-07発行、978-4107727244)

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