あらすじ
第1巻
都立高校に通う佐倉月子は、成績も含めてすべてが平凡な少女だった。そんな月子の将来を心配した母親は、月子を幼なじみの星野宙太が通う、私立クレセント学院に転入させる。月子はそこで、小泉薫というきれいな顔立ちの少年と出会う。さらに、前の都立学校の友達、ひさ子に連れられて初めて訪れたライブハウスで、月子はボーカリストとしてステージ上に立つ薫を見て、その姿に目を奪われてしまう。後日、ライブハウスで月子の様子を陰から見ていたヤマダタローが月子の家を訪れ、彼女をスカウトする。薫の叔父であるヤマダタローは、偶然見かけた月子の魅力に惹かれ、彼女を新しく立ち上げたファッションブランド「ボーイ・ミーツ・ガール」のイメージガールに抜擢したのだ。ブランドの服に着替え、メイクをした月子は、「ミズタマ」という芸名で、正体を隠したままモデルデビューを果たす。薫はそんな「ミズタマ」の魅力の虜になり、正体が月子とは知らないまま彼女に惹かれていくのだった。
第2巻
小泉薫に惹かれていた佐倉月子だったが、彼は「ミズタマ」のことしか見ておらず、自分の気持ちを伝えることも、正体をばらすこともできずにいた。一方、「ミズタマ」としての活動は順調そのもので、月子は押しも押されぬ人気モデルとしての地位を確立していく。忙しい時間をぬって、なんとか薫のライブを見に行けるよう願う月子だったが、その時間もなかなか取れずにいた。さらに、薫との恋愛が仕事の邪魔になると判断したヤマダタローは、2人の仲を引き裂こうと画策。会えない時間が続いたため、お互いの気持ちはより募ることとなり、月子は「ミズタマ」として薫に想いを伝え、2人は恋人同士となるのだった。
第3巻
小泉薫とお互いの気持ちを確かめ合って以降、幸せいっぱいな佐倉月子はモデルとしての仕事も順調にこなしていた。だが、薫を好きになればなるほど、噓をつき続けていることをつらく感じるようになっていく。一方の薫も、本名を明かさず、連絡先さえ知らない「ミズタマ」に対して不安な気持ちを抱きつつも、彼女を信じようと努力していた。そんな薫からの深い愛情を感じた月子は、噓をつくことの罪悪感に耐えられず、初めてのキスをした後、薫のそばから姿を消すことを決意。理由もわからず突然「ミズタマ」に捨てられたことに薫は落ち込むが、ある日「ミズタマ」にプレゼントしたはずのガラスのハーモニカを、月子が吹いている場面に遭遇し、「ミズタマ」の正体が月子だと知ることになる。正体を知られた月子は、薫と顔を合わせることができず、再び薫の前から姿を消すのだった。ここで薫は、月子こそが自分にとって大切な存在だったことに気づき、彼女と会って本当の想いを伝えようと決意する。「ミズタマ」としての活動を終え、月子が引退する最後のショーに姿を現した薫は、出番を終えた月子を連れ出し、「ミズタマ」も月子も、同じ1人の女性として好きだと告げる。
登場人物・キャラクター
佐倉 月子 (さくら つきこ)
高校1年生の女子。母親の強い勧めで、高校1年生の2学期からクレセント学院の高等部に編入することになった。ショートカットの髪型で、身長158cmのすらりとした体型をしている。ヤマダタローにスカウトされ、謎の少女「ミズタマ」としてモデルデビューすることになる。もともと目立つことが苦手で、自分のことをなんの取り柄もない平凡な人間だと思っていた。 しかし、カメラの前に立つことにより、新しい魅力的な自分がどんどん引き出されていく。小泉薫のことが好きだが、もう1人の自分である「ミズタマ」しか見ていない薫に対し、正体を明かすことも想いを告げることも、できないでいる。
小泉 薫 (こいずみ かおる)
クレセント学院の高等部に通う2年生の男子。きれいな顔立ちをしており、背が高くてスタイルもいい。バンド「Be-2」でボーカルを担当しており、女性ファンが非常に多い。「ミズタマ」の不思議な魅力に惹かれていくが、その正体が、同じ学校に通う佐倉月子であることには気づいていない。ヤマダタローにとっては甥にあたる。
星野 宙太 (ほしの ちゅうた)
クレセント学院の中等部に通う2年生の男子。佐倉月子とは、家が隣同士の幼なじみ。月子に想いを寄せているが、異性として見てもらえていない。「ミズタマ」の正体が月子であることにいち早く気づいた。そのことは内緒にしたまま月子を見守り、いざという時は体を張って、月子の秘密を守り抜こうとする。バンドマンとしての小泉薫を尊敬しているが、月子を想う身としては複雑な心境を抱えている。
ヤマダタロー
新進気鋭の若き男性デザイナー。元モデルという経歴を持つ。ファッションブランド「ボーイ・ミーツ・ガール」を新たに立ち上げ、イメージガールとして佐倉月子をスカウトした。仕事に厳しく、妥協を許さない完璧主義者。また自信家で強引なところがあり、その手腕で、引っ込み思案だった月子の魅力を引き出していく。小泉薫にとっては叔父にあたり、薫との恋愛が月子のモデル活動の妨げになると判断して、2人の関係を引き裂こうとした。 最終的には、2人の仲を認めて応援するようになる。
ひさ子 (ひさこ)
高校2年生の女子。佐倉月子がクレセント学院に転校する前の学校の友達。バンド「Be-2」の大ファンで、特に好きなのはベース担当のにゃー。自身も女の子同士でバンドを組み、活動をしている。ファッションが派手なわりに意外に心は乙女で、好きなにゃーに対して直接声をかけることができない。一方で、まったく好みではない小泉薫に対しては、しょっちゅう喧嘩をしつつじゃれあっている。
にゃー
クレセント学院に通う男子。生徒会に所属し、書記を務めている。また、バンド「Be-2」のメンバーでもあり、ベースを担当している。少々ぼんやりした顔つきで、のんびりした話し方をする。ただし、バンドのメンバーであり、友達の小泉薫に対しては、鋭いツッコミを入れることもある。鍵を開けるのが得意だったりと、不思議な特技を持つ謎に包まれた人物。 過去にKUMAKOと付き合っていたこともあるが、すでに別れている。
KUMAKO (くまこ)
モデルをしている女性。ファッションブランド「ボーイ・ミーツ・ガール」のオーディションに落ちてしまった。そのため、「ボーイ・ミーツ・ガール」のイメージガールを務める佐倉月子扮する「ミズタマ」のことを強烈にライバル視している。仕事に対する意識が高く、相応にプライドも高いが、さっぱりした性格で、良いものは良いと認める素直なところもある。 かつて、にゃーと付き合っていたこともあるが、すでに別れている。
集団・組織
Be-2 (びぃーつー)
男性4人組のバンド。小泉薫がボーカル、にゃーがベースを担当している。主にライブハウスで活動しており、女性ファンが多い。星野宙太とひさ子も「Be-2」の大ファン。
場所
クレセント学院 (くれせんとがくいん)
佐倉月子らが通う私立の学校。エスカレーター式の大学もある。お金持ちの家の子供が多いが、自由な校風としても知られている。星野宙太の母親がPTA会長を務めている。女子の制服はセーラー服のような襟の付いたワンピースで、男子の制服はブレザー。
その他キーワード
ボーイ・ミーツ・ガール (ぼーいみーつがーる)
新進気鋭のデザイナーであるヤマダタローが、新しく立ち上げたブランド。コンセプトは「恋する女の子のためのファッション」。イメージガールは、佐倉月子にファッションとメイクを施した「ミズタマ」。その正体を秘密にして、一部の関心をあおった。