概要・あらすじ
高校受験を控えた茉雪健は、想像力豊かな少年。ある朝、異様に慇懃な謎の幼稚園児・北凰院全に出会った後、母親が交通事故で死去し、異母姉の茉雪氷樹と共に暮らすことになり、健を取り巻く環境は激変する。その後、学校見学のときに一目惚れした鈴鳴苺と同じ高校に進学し、日常生活を取り戻そうとする健の前に、何度となく全が姿を表す。
登場人物・キャラクター
茉雪 健 (まつゆき たける)
想像力が豊かで、「ゼロの発動」というゲームのシナリオを執筆しており、将来はそれを活かした職業に就こうと考えている。母親の死や異母姉の茉雪氷樹を巡る家庭問題を乗り越えて高校に進学。見学の際に出会った鈴鳴苺に一目惚れし、その後偶然同じ高校に進学したことから苺に近づきたいと考えている。苺の兄、鈴鳴夏寿輝に自分を認めさせるため、夏寿輝が審査員を務めるモデルのオーディションに公募。 クォーターである容姿も手伝って合格するが、夏寿輝がノイズに侵されていたことから、南一と北一の争いと、自分がうてなに登ることのできる能力を持った行者・秀真の生まれ変わりであることを知る。 その後、南一と北一の人間たちと関わりを持つうちに、秀真の能力に覚醒し、うてなに登る力を身につけるが、それによって本格的に二つの一族の争いに巻き込まれていく。
鈴鳴 苺 (すずなり いちご)
ぶりっ子のような声と振る舞いで悪く言われることもあるが、茉雪健から一目惚れされる。黒髪ショートカットで明るく元気。極度のシスコンの兄をもつ。いつの時代でも秀真の妻となる人物の生まれ変わり。最初は一方的に健から惚れられている状態だったが、健が秀真の能力に目覚めて以降は、立場が逆転する。
北凰院 全 (ほくおういん ぜん)
茉雪健たちの前世の因縁と関係する幼稚園児。将来自分の嫁になる女性が健と鈴鳴苺の間に生まれると知っており、ふたりの仲を取り持とうとしている。転生を繰り返しノイズと戦う南一一族の末っ子であり、ノイズを一掃する力を持つゼロの後継者。
茉雪 氷樹 (まつゆき ひょうじゅ)
イギリス生まれで、茉雪健の父が留学中に生まれた健の異母姉。母親は死亡し、一人暮らしをしていたが、健の母・茉雪希美恵の遺言で茉雪家に引き取られる。当初は自分のせいで健の家庭環境が壊れてしまうのではないかという不安から、来日をためらっていたが、健たちといっしょに暮らし始める。 北一一族のひとりを鈴鳴夏寿輝との間に産む魂の持ち主。
茉雪 希美恵 (まつゆき きみえ)
茉雪健の母親。夫の婚外子・茉雪氷樹と知りながら、氷樹を家族として迎え入れようとしていた優しい人物。しかし、交通事故によって命を落としてしまう。
鈴鳴 夏寿輝 (すずなり かずき)
鈴鳴苺の兄。カメラマン。極度のシスコンで、苺の交際相手とは必ず衝突する。茉雪健の異母姉・茉雪氷樹と結婚して、南一一族の子どもを産む人物だが、ノイズに寄生されて苺に対する欲望を抑えられなくなっている。
野田 侊希 (のだ こうき)
茉雪健とは高校の同級生。したたかな性格の持ち主。健が鈴鳴苺に近づくために協力し、成り行きでいっしょにモデルのオーディションに応募するなどの経緯を経て、その後も友人同士になる。
遠坂 夜子 (とおさか よるこ)
クールな美人で、茉雪健の同級生。鈴鳴苺とも友人同士。野田侊希と付き合い始めるが、野田との関係に悩みを持つ。物語の後半では、野田とともに北一の主星が転生する鍵を握っていることが明らかになる。
秀真 (ほつま)
太古の昔にあらわれた修行僧で、うてなに登る力を持ち、転生の鍵を握っている。その魂は転生を繰り返しているが、北一にも南一にもつかない宿命を持つ。今まで転生した者の娘が必ずゼロの妻となったため、南一の側にいたが、その立場は不安定であるために北一、南一の双方が自分の陣営に引き入れようとしている。
空 (うつほ)
北一のひとり。岸本聖を自分の息子の生まれ変わりだと信じて溺愛している。ノイズとして転生してしまう自分の宿命を悩んでいる。
岸本 聖 (きしもと ひじり)
空の息子として過ごしているが、魂は茉雪氷樹の息子。南一に関わるものでありながら、自分のことを大切に思う空の気持に応え、北一に留まっている。しかし、北一の主星が転生するための依代とされてしまう。
集団・組織
北一
『未来のうてな』に登場する一族。人間の欲望にとりついてその文化を発展させてきた。北一を一掃する力を持つゼロを中心とした南一一族と争いながら転生を繰り返している。その抗争の一環として、南一一族と関わりの深い茉雪健や鈴鳴苺の家族を狙っている。
南一 (なんいつ)
『未来のうてな』に登場する一族。ノイズにとりつかれた人間を浄化する力を持つ者達で、転生を繰り返しながら北一一族と争いを続けている。ノイズを一掃する力をもつゼロを中心としており、現在のゼロは北凰院全。
場所
うてな
「台」の意味で、過去や未来を見渡せることができ、転生に大きく関わっている。ここに登る力を持つ行者・秀真を巡って、南一と北一の一族は争いを続けている。