概要・あらすじ
郊外のボロ家を借りて優雅な生活を目論んでいた主人公と、どこからともなくやって来てその家の2階に住みついてしまった李さん一家の奇妙な交流を描く。終始、主人公のモノローグで構成されているのが特徴で、唐突なラストシーンは多くの漫画家たちの模倣やパロディを生んだ。つげ義春の代表作のひとつ。
登場人物・キャラクター
青年
郊外のボロ家に引っ越してきた男。トマトやキュウリ畑を作り、自然と戯れる生活に憧れる。どこからかやってきた李さんの奇妙なムードにのまれ、家の2階に李さん一家が住みつくのを容認する。
李さん
主人公である青年の家の2階に住みつく。定職はなく怠け者。鳥と話ができるというが、鳥との話は主に天気予報でその内容はラジオで流れているものと同じである。奥さんと子供2人がいる。
奥さん
『李さん一家』の登場人物で李さんの妻。目と口が大きい色黒のグラマー。主婦らしい仕事はあまりしない。小用を牛乳瓶で済ませ、主人公の畑にまき、そのコヤシの代償としてキュウリをもいでいく。千葉県の出身で、カジメという海藻採りの経験があり、2分間息を止められるという。
李さんの子供たち (りさんのこどもたち)
4歳になる女の子とその弟。泣いたり笑ったりの表情に乏しい姉弟。女の子はやせこけており陰気。弟は姉のお古を着ており、女の子のように可愛らしい。
場所
郊外のボロ屋 (こうがいのぼろや)
神社に隣接する郊外にある二階建ての一軒家。自然に囲まれた築年数の古い建物で家賃はタダ同然。裏庭に、青年によって作られたドラム缶を利用した五右衛門風呂がある。