希望組からの挑戦と成長の物語
総部員数200名以上を誇る黒松学園高校野球部は、徹底した実力主義のもと、レギュラーの1軍、控えの2軍、そして「希望組」と呼ばれる最下層の、厳格な階級制度が敷かれていた。希望組に所属するキャッチャーの真は、正捕手になることを夢見て、2軍選手の渋谷からの理不尽なしごきに耐えながら1軍昇格を目指していた。そんな彼の前に、謎めいた1年生の基が現れ、基は驚異的なナックルボールを武器に渋谷を完膚なきまでに打ち負かしてしまう。名門と聞いていた野球部の腐敗した現状に失望した基は、現状を打破するため、真と共に希望組から2軍へ上がることを決意する。
希望組と2軍エースの激闘
基が希望組に加わって数日後、2軍への昇格試験が行われる。基と真は意気込んで試験に挑むが、試験官の暦田は誰一人として合格させるつもりはなかった。そんな中、2軍のエースピッチャー、水無月灯と正捕手の如月寛たち2軍の選抜メンバーが現れる。基は彼らに試合を申し込むが、水無月は「自分たちにメリットがない」と一蹴する。しかし、基が中学時代に「捻腕アスナリ」として名を馳せた投手であることを知ると、水無月の態度は一変し、やる気をみなぎらせる。そして基と真は、希望組の実力者である酉刻純一郎や丑三鉄矢を集め、2軍選抜チームとの試合に挑むことになる。
超新星たちの退学宣言と伝説のOBチームとの特別試合
黒松学園高校野球部の頂点に君臨する1軍は、「超新星」の異名を持つ天才集団と知られている。特にキャプテンの氷室太陽は、基の高速ナックルを初見でとらえるほどの圧倒的な技術を誇り、自信家の基すらも畏怖させる存在だった。そんなある日、氷室をはじめとする1軍のメンバー全員が突然「黒松学園高校を退学する」と宣言する。最強であるがゆえにライバルが存在しない彼らは、互いに敵として切磋琢磨するために、それぞれ異なる強豪校へ転校することを望んでいたのだ。野球部の指導者たちは彼らを引き留めるため、かつて1軍で活躍したOBたちを招集する。説得の結果、彼らの残留を賭けて、「現役最強チーム」と「伝説のOBチーム」の特別試合が行われることになった。
登場人物・キャラクター
明日成 基 (あすなり はじめ)
黒松学園高校野球部に所属する1年生の男子。ポジションはピッチャーで、身長166センチ。幼い頃から体格に恵まれていないハンディキャップを克服するため、「努力は裏切らない」 を座右の銘にしている。その粘り強い努力の結果、「高速ナックルボール」と呼ばれる変幻自在の決め球を習得した。この決め球を武器に、中学時代には数々の強打者を打ち取り、「捻腕アスナリ」と称されていた。しかし、無理な投球がたたり、腕を故障し、しばらく野球から離れることを余儀なくされた。その後、懸命なリハビリの末に完治し、黒松学園高校で再起を誓う。当初は、希望組の実態や黒松学園高校の過度な実力主義に対して複雑な思いを抱いていた。しかし、2軍昇格試験や1軍の退部騒動を経験する中で、部員のほとんどが自分と同じく野球に情熱を燃やす「野球バカ」であることを知り、改めて黒松学園高校で野球を続けることを決意する。
今日 真 (いまにち まこと)
黒松学園高校野球部に所属する1年生の男子。ポジションはキャッチャー。どんなボールも身を挺して止めるガッツと、上達のためにはあらゆる努力を惜しまない向上心を持つ。当初は自分に自信が持てず、希望組の選手が2軍の選手から理不尽な扱いを受けるのも仕方ないとあきらめていた。しかし、転校生の基が実力で2軍選手を圧倒する姿を目の当たりにし、彼のような選手になりたいという目標を抱き、さらに練習に打ち込むようになる。練習環境に恵まれなかったため、突出した実力はないが、あきらめの悪さと野球への情熱はチーム随一。そのひたむきな姿勢は、基から「努力が報われる人がいるとしたら、それはきっとお前のような奴だ」と太鼓判を押されている。
書誌情報
栄冠は俺に輝く 全5巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2017-02-17発行、978-4091275271)
第2巻
(2017-02-17発行、978-4091275288)
第3巻
(2017-05-19発行、978-4091276049)
第4巻
(2017-08-18発行、978-4091277466)
第5巻
(2017-12-12発行、978-4091280718)







