極主夫道

極主夫道

極道の世界から足を洗ったヤクザの龍が専業主夫として妻の美久を支え、周囲とコミュケーションを取りながら暮らしていく姿を描いたアットホームコメディ。新潮社「くらげバンチ」に2018年2月23日から短期連載、同年5月18日から本連載の作品。「次にくるマンガ大賞2018」Webマンガ部門3位、「pixivコミックランキング2018」総合・ギャグ部門第1位などを獲得。2020年10月実写ドラマ化、2021年1月ネット配信アニメ化、2022年6月実写映画化。

正式名称
極主夫道
ふりがな
ごくしゅふどう
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
バンチコミックス(新潮社)
巻数
既刊14巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

かつて最強の暴力団組員として恐れられたは、「不死身の龍」として大暴れしていた極道の道から足を洗い、専業主夫として生きる道を選んだ。龍はデザイナーで一般人女性の美久を妻に迎え、仕事で忙しい彼女を支えながら生活を送っていた。極道の世界から忽然(こつぜん)と姿を消した龍は、主夫としての新しい生活に馴染んで堅気の世界で平穏な毎日を楽しんでいたが、極道として生きていた頃の癖や口調が抜けておらず、周囲の人から恐がられたり、コミュニケーションをうまく取れずにいた。そんなある日の朝、龍はいつものように美久のために作った弁当の出来栄えに満足していたが、彼女は朝食も食べずに慌ただしく出勤して行った。美久が手作り弁当を忘れていることに気づいた龍は、急いで自転車に乗って彼女を追うが、途中でパトロール中の長井たちから職務質問され、足止めされてしまう。(エピソード「第1話」) 

家族を守り忠誠と仁義を尽くす「主夫道」を極めるために、伝説的な暴力団組員から専業主夫に転向したは、美久の誕生日にアニメのブルーレイをプレゼントするために奔走したり、極道時代の仲間と久々に再会したりする日々を送っていた。掃除に洗濯、買い物から料理まで幅広い家事をこなしながら美久を支える龍は、時には失敗を重ねながらも周囲とのコミュケーションを学び、平和な毎日を過ごしていた。そんな中、運動不足で身体がたるんできたと感じた龍は、狭い部屋の中でフラフープを回し始めるが、部屋でくつろいでいた美久に邪魔と言われてしまった龍は、代わりにチラシに載っていたフィットネススクールの体験を薦められる。週に1回はトレーニングジムに通っている近所の主婦たちに誘われ、フィットネス体験に参加することとなった龍は、初めてのエアロビクスやヨガで汗を流すことになる。しかし龍はエアロビクスの途中で、笑顔が恐いとほかの参加者から恐がられたうえに、ヨガ体験の途中である失敗をしてしまう。(エピソード「第10話」) 

極道の世界から離れて専業主夫としての暮らしに馴染んできたは、ゴキブリと戦ったり町内会のクリスマスパーティーに参加したりと、主夫道を極めるために試行錯誤を繰り返していた。そんな龍は、美久へのプレゼントを買う金を稼ぐために、初めてのパートタイムに挑むことになる。マスターが営むカフェ「仁義亭」で接客を務めることになった龍だったが、店には暴力団組員らしき男性二人組が入店。すると龍がサービスの豆菓子を出したり、ラテアートをうまく仕上げたりして、順調に仕事をこなして客を和ませていく。無事にパートタイムでの収入を得た龍は、いつのものようにスーパーで買い物をする途中で酉井雲雀と遭遇する。雲雀はかつて暴力団「酉井組」の姐御として有名だったが、組長である夫が亡くなったことで組を解散し、雲雀自身も極道から足を洗っていた。だが雲雀は残された組員を放っておけずに、組員たちを連れてスーパーのパートタイマーとして働いていたのだ。一方、龍もある事件をきっかけに極道から足を洗っていたことが気になっていた雲雀は、レジ打ちをしながら彼に話を聞くことになる。(エピソード「第22話」) 

流行りのタピオカドリンクを飲んだり、子供に紙芝居を読み聞かせたりと、伝説的な元極道のは専業主夫としてさまざまな場面で活躍していた。そんなある日、商店街の魚屋で買い物をしていた龍は、買ったばかりの魚を猫に盗まれてしまう。慌てて猫を追った龍は、その途中で金物屋から金棒を借りてビルの中に飛び込む。そこは会談中のとある暴力団の事務所で、侵入者と勘違いされた龍は組員たちに追いかけられるも、気にせずに魚をくわえたままの猫を追う。暴力団や街の人々を巻き込んで、商店街には新たな騒動が巻き起ころうとしていた。(エピソード「第28話」) 

美久に支えられながらも専業主夫生活を満喫するは、いつものようにスーパーのチラシをチェックしてセール品を探していた。だが、次のスーパーに向かおうとした途中で、龍に恨みを持つ謎の男、剛田と遭遇する。剛田はかつて龍に潰された暴力団「平子組」の元構成員で、現在はラッパーの「G-Goda」として活躍していた。龍への恨みを捨て切れない剛田は、街中で彼にフリースタイルのラップバトルを挑む。通行人の注目を浴びながら、龍と剛田の仁義なきラップバトルが始まるのだった。(エピソード「第38話」) 

家事だけでなく近所付き合いまで幅広くこなし、主夫として日夜奮闘するは、彼の噂を聞いた婦人会より、初の男性会員として入会して欲しいという話を持ち掛けられる。入会を検討する龍は、蝶野も参加している八つの婦人会が集まる会合「八竜会」に赴くことになる。理事長で大地主の福田をはじめ、八人の婦人会会長はただならぬ主婦オーラを漂わせ、その圧倒的なプレッシャーに押された龍は思わず身震いする。腕試しとして福田からお茶くみの腕を見せるよう言われた龍は、茶菓子として持参していたカステラと全員分の茶を用意する。だが優れた主婦であると同時に、プロの花師でもある北川が見せた生け花によって、一気に場の雰囲気は和やかになり、一味違った主婦力と気迫を見せつけられた龍は圧倒される。さらに、北川から八竜会への加入を認めないと言われてしまった龍は、実力不足を指摘されショックを受ける。やるからには八竜会のために全力を尽くしたいと宣言する龍は、北川のもとで主夫に必要なことを学びたいと懇願。北川の開く生け花教室に通うことになった龍は、彼女から生け花の技術や心得はもちろん、主夫に必要な気品とあらゆる場面に対応できるしなやかさを学ぶことになる。しばらく経ったあと、再び八竜会に出席した龍は、北川のもとで学んだ成果を福田たちに披露する。(エピソード「第47話」) 

新しく猫カフェでのパートタイマーを始めたは、偶然にも客として訪れた酉井雲雀と再会したり、美久たちとキャンプを楽しんだりと、穏やかな日々を送っていた。そんなある日、自治会費の集金を頼まれた龍は、弟分のと共に堅木町内の家や施設を回っていた。自治会長直々の依頼を確実にこなそうと気合いを入れる龍だったが、彼が訪問するたびに暴力団の集金と誤解され、謝罪しながら大金を渡してくる人や怯(おび)える人が続出するなど、行く先々で大騒ぎに発展してしまう。龍は自治会の集金に向いていないと雅が思う中、次の集金先はとある暴力団が拠点にしているビルだった。組員たちから警戒される龍は、支払いを拒む彼らに自治会と自治会費の重要性について語り始める。(エピソード「第58話」) 

メディアミックス

テレビドラマ

2020年10月から12月にかけて、本作『極主夫道』のテレビドラマ版『極主夫道』が、日本テレビ系「日曜ドラマ」で放送された。脚本は宇田学が務めている。キャストは、を玉木宏、美久を川口春奈が演じている。

ネット配信アニメ

2021年4月から、本作『極主夫道』のネット配信アニメ版『極主夫道』がNetflixで配信された。監督は今千秋が務めている。キャストは、を津田健次郎、美久を伊藤静が演じている。

実写映画

2022年6月3日『極主夫道 ザ・シネマ』のタイトルで公開。監督は瑠東東一郎で、ドラマ版のキャストが続投する。

登場人物・キャラクター

(たつ)

「不死身の龍」と呼ばれた最凶のヤクザで、辰崎組の構成員だった男性。オールバックの短髪で額から右目にかけて大きな傷跡があり、サングラスをかけている。ふだんは黒いスーツの上から、柴犬のマークが描かれたエプロンをしている。強面(こわもて)な風貌で肩や背中には大きな刺青(いれずみ)があるため、夏の海辺でも長袖を着ている。愛称は「タッちゃん」。怒ると恐いが主夫として過ごしている時は温厚で、義理堅く仲間思いな性格は昔から変わっていない。美久と結婚してからはヤクザ家業から足を洗い、堅木町で専業主夫をしながら彼女を支えている。料理・洗濯・掃除をはじめとした家事と、道具の種類や使い方の知識が豊富で、最新の家電も使いこなすなど、ベテラン主婦も驚かせるほどの家事の達人。商店街やスーパーの特売にも敏感で、町内会など地域のイベント情報にも通じており、近所付き合いもうまくこなしている。主夫として非常に有能だが「カチコミ」や「シノギ」などの隠語を多用し、現在でもサングラスと黒スーツを愛用していることなどから誤解を招きやすく、初対面の相手には怖がられることが多い。また、相手とのコミュニケーションに大きなズレが生じては、勘違いや騒動のもとになっており、無自覚に周囲を畏怖させることもある。家事ができない美久を献身的に支えるのはもちろん、彼女が喜ぶことには積極的で、プレゼントを贈るためにパートタイムにも挑んでいる。かつて単身丸腰で敵の事務所を一晩で多数潰した伝説の持ち主で、足を洗った今でもほかのヤクザやチンピラによる不条理な行いに対しては、昔と変わらぬ気迫で対処する。極道時代の癖や考え方は抜けきっておらず、美久や近所の主婦たちをはじめ、周囲を大いに困惑させている。家では猫の銀を飼っているが犬好きでもあり、愛犬家の組長が飼っている多数の犬の面倒を見ていたことから、動物の世話も得意。

美久 (みく)

龍の妻。職業はデザイナーで、年齢は26歳。家事全般は龍に任せて仕事に専念している。仕事ではスーツを着こなしているが、家ではTシャツやトレーナーなどのラフなスタイルが多い。セミロングヘアで、明るく天然でズボラな性格をしている。たまにズレた行動に走る龍に激しめのツッコミを入れることもあるが、夫婦仲は良好。優秀なキャリアウーマンながら、まめな性格の龍とは対照的にルーズで片付けが苦手。たまに家事をやっても、その腕は美久の父に似て大雑把で壊滅的。特に料理の腕は火や包丁の扱いも危ないことから、龍に止められることが多い。ゲームやアニメが好きで、ぬいぐるみや動物などかわいいものを好む。TVアニメ「クライムキャッチポリキュア☆」のマニアで、フィギュアをはじめとするレアグッズも集めるほどの大ファン。実はかなりの怪力の持ち主で、包丁で硬い物を切ったり龍を軽々と抱き上げることもできる。好物はコーラ。酒に酔うとテンションが上がり、笑い上戸になる。寝相が悪い。

(まさ)

辰崎組の元構成員で、龍を慕う舎弟の青年。金髪のツンツンヘアの三白眼が特徴。まっすぐな性格でみんなに慕われているが、不器用で面倒くさがりな一面を持つ。龍が極道として活躍していた頃の子分で、誰よりも彼を尊敬していたが、所属していた辰崎組が解散してしまった今は意気消沈し、アパートで一人暮らしをしながらあちこちを放浪する自堕落な生活を送っている。偶然にも街中で龍と再会し、龍を極道の世界に戻そうと何度も説得を試みるが、専業主夫を理由に頑なに拒否される。龍が主夫にこだわる理由を調べるために観察した結果、主夫と極道が表裏一体の関係にあると勘違いし、龍に家事を教わるようになった。しかし、家事の大変さはまったく理解しておらず、基本的には美久と同様にズボラで要領も悪く、時おり龍に教えられてもあまり進歩していない。龍と再会し美久とも知り合ってからは、彼らと三人でキャンプに行くなどよく交流している。わからないことはすぐにスマートフォンで調べる癖があり、今風の若者らしいところもある。幼少期の出来事から、歯医者が苦手。酒には強く、龍や美久、虎二郎と飲みに行った時は酒グセの悪い彼らに振り回されることが多い。

虎二郎 (とらじろう)

龍と並ぶ伝説を持つ超武闘派の元ヤクザの男性。龍と双璧をなす「剛拳の虎」の異名で恐れられている。頭にバンダナを巻き、顔の中央に大きな傷跡がある。かつての抗争で鬼瓦刑務所にいたが、出所する頃には所属する組が龍に潰されていたため、孤独の身となった。極道から足を洗ってからは、フォルクスワーゲン・タイプ2のキッチンカーでクレープをはじめとしたスイーツ移動屋台を営みながら、露天商として生計を立てている。組を潰されたことで龍には恨みを持っているが、目的のためなら龍と協力し合うこともあり、よきライバルのような関係を築いている。店の前で商売している時に龍と再会し、お互いに人気スイーツを作ってSNSにアップし、どちらが多くの反応を得られるかの勝負を繰り広げた。その後も龍とあちこちで遭遇しては、スイーツ作りを中心に対決を繰り広げている。龍に匹敵する料理の腕前を誇り、特にスイーツ作りは今の本業ということもあり、味から盛り付けまで龍に負けない実力を持つ。クレープが売れなくなってきた頃には流行のタピオカドリンクをメニューに取り入れるため、龍と共にタピオカの作り方を学んだが、顔が恐いために肝心の女性客を惹きつけることはできなかった。アウトドアが趣味で、休日はソロキャンプを楽しむこともある。酒に酔うと自虐的な発言を繰り返すなど、やたらネガティブ思考に陥る。

長井 (ながい)

龍が住む堅木町の警察官をしている中年男性。眼鏡をかけている。交番勤務で、基本的に長井の後輩と二人組でパトロールしている。時おり怪しい恰好で街をうろついている龍を引き止めては、職務質問している。勤務態度はまじめだが龍に振り回されがちで、遭遇しては騒ぎや捜査が思わぬ方向に進むことも多い。

長井の後輩 (ながいのこうはい)

龍が住む堅木町で警察官をしている青年。交番勤務で、基本的に先輩の長井と二人組でパトロールしている。怪しい恰好で街をうろついている龍を引き止め、職務質問することも多い。正義感が強く、龍のことを警戒しているが、少々天然で早とちりしては問題を起こしている。

(ぎん)

龍と美久が飼っている愛猫。白い体毛の一部に黒い模様がある若いオス猫で、目がくりくりしてとぼけたような表情を浮かべている。ほかの動物と会話する時は、飼い主の龍の影響で関西弁で話す。イタズラ好きでのほほんとした性格だが、愛らしい見た目に反してケンカは非常に強い。龍や美久が留守の時は家でゴロゴロしたり、外に出かけたりしている。去勢済み。

小宅 (おたく)

ホビーショップでアルバイトをしている青年。小太りな体型で眼鏡をかけ、私服はチェック柄の長袖シャツを愛用している。つねに敬語で話し、聞かれてもいないのに長々と解説をする癖がある。漫画やアニメに詳しいオタクで、クライムキャッチポリキュア☆の大ファン。龍が美久へのプレゼントにポリキュアグッズを買う時に店を訪れた際に、彼と知り合いとなり、オタクグッズに詳しくない龍にさまざまな助言を与えて助けている。時おり龍の行く先々に現れて長々と豆知識などを披露しているが、誰も聞いていない。

美久の父 (みくのちち)

美久の父親。小太りな体型で眼鏡をかけている。生真面目で思慮深い性格をしており、美久が龍のことを紹介しに来た時は堅気に見えない彼に驚き、腰を抜かしていた。龍が極道から足を洗って専業主夫として美久と平和に暮らしていることを知りながらも、元ヤクザだった彼とのコミュニケーションがなかなかうまくいかないことを、ひそかに悩んでいる。龍を理解している姿を見せようと必死で、キャッチボールや鍋パーティーに誘ったりと試行錯誤を繰り返すが、空回りして変な方向に勘違いして終わることが多く、あまりうまくいっていない。何事にも慎重だが、料理や家事の腕は壊滅的で包丁の扱いも危なっかしく、一度料理を始めると暴走列車と化し、美久の母にしか止めることができない。その暴力的なズボラさは美久に受け継がれている。趣味はカラオケで、俳句もたしなんでいる。雀会という句会に龍を誘って参加した際も、得意の俳句で彼にいいところを見せようとしたが、くまさんベアーズに遭遇して詠み合いを繰り広げることになった。

美久の母 (みくのはは)

美久の母親。娘の美久が嫁いでからは、夫の美久の父と二人暮らし。天然な性格は美久に受け継がれているが、彼女とは異なり主婦としての能力は非常に高く、家事や料理を幅広くこなせる。龍との関係に悩む夫とは異なり、龍のことを気に入り家事や料理の話で盛り上がれるため、コミュニケーションもうまく取れている。美久や夫が暴走して料理や家事を失敗しても冷静に対応し、きめ細やかにフォローするほどの主婦力を持ち、龍を驚かせた。

亮太 (りょうた)

龍の近所に住む男子小学生。両親が留守の時は龍に預けられているが、彼のことはたまに見る恐いおじさんと認識している。アフロヘアで、たらこ唇が特徴。子供ながらツッコミのスキルは高め。初めて龍に預けられた時はゲームをして遊ぶことになるが、思っていた遊びとは違うことに困惑する。この時に美久が大切にしているクライムキャッチポリキュア☆のフィギュアを壊してしまう。その後も夏休みに宿題の自由研究を龍に手伝ってもらうなど、時おり彼と遊んでいる。好きなゲームはモリオカート。

酉井 雲雀 (とりい ひばり)

暴力団「酉井組」組長の妻。黒い和服をまとった凛々(りり)しい印象の美女。酉井組の頼れる姐御(あねご)として有名だったが、組長である夫が亡くなったことで組を解散し、極道からは足を洗っている。漢気(おとこぎ)にあふれた気の強い姐御肌で、組員たちからは「姐さん」と呼ばれ、解散後も慕われている。プライドが高いように見えるが、曲がったことを嫌うまっすぐな性格で、自分の失敗は素直に認めてスジを通す。夫の死後に残された組員を放っておけず、組員たちを連れてスーパーのパートタイマーをしている。パート中に龍と偶然遭遇し、極道から足を洗ってなぜか主夫をしている彼の過去に興味を持つ。龍と同様に極道だった頃の癖や考え方が抜けておらず、隠語を多用したりズレた発言をするため、同僚から誤解されることも多い。実はかなりの猫好きで、街中で遭遇した銀に猫語で話しかけて遊ぼうとするなど、お茶目な一面もある。定期的に猫カフェに通っており、龍のパート先の猫カフェでは夫にそっくりな猫に出会う。

組長 (おやじ)

龍がお世話になった老齢の男性。辰崎組の組長で、右ほほに傷跡があり、サングラスをかけている。すでに極道からは引退しており、愛犬のピンキーを愛でる平和な暮らしを送っている。刑務所から戻った頃にピンキーを連れて公園に行き、龍と久しぶりに再会する。引退した現在でも組長らしい威厳に満ちているが、犬を愛でる時は赤ちゃん言葉を話すなど別人のように変貌する。龍に会いに行ったのは、彼を組員としてスカウトする話を伝えるためだったが、専業主夫がすっかり板について平穏に暮らしている彼を見てあきらめた。その後も龍や雅とは交流を続けている。

ピンキー

組長の飼っているジャック・ラッセル・テリアのメス。年齢は2歳。白と茶色の体毛を持つ小柄な犬で、組長からは愛娘のように溺愛されている。龍がプレゼントした手作りのリブ付きトレーナーを着ている。食欲が落ちて痩せ気味になっていたが、シジミと野菜を使った龍の手作り療養食を食べたことで、食欲と元気を取り戻した。

剛田 (ごうだ)

かつて龍に潰された暴力団「平子組」に所属していた元構成員の男性。現在はラッパー「G-Goda」としてソロ活動をしている。左ほほに十字傷がある。黒スーツの上からストリート系のタンクトップを着ているなど、無理のあるファッションをしているが、龍に服装のおかしさを突っ込まれると落ち込んでいた。買い物中の龍と街中で再会し、フリースタイルのラップバトルに挑んだ。これ以降も、街で龍に会うたびにラップバトルを仕掛けている。

蝶野 (ちょうの)

龍が住む堅木町の婦人会会長を務める中年女性。小太りな体型で、丸い眼鏡をかけている。温厚で社交的な性格で、ボランティア活動に積極的に参加していることから、「菩薩の蝶野」の異名を持つ。龍との近所付き合いも良好で、彼の言動に困惑させられているが、主婦仲間として認めている。時おり婦人会の会員を連れて龍と交流したり、いっしょに町のイベントに参加したりしている。レトリバーを飼っている。龍を通して組長とも知り合い、龍の頼みで高性能ミシンを貸してピンキーの誕生日会にも参加した。龍の主夫能力の高さや人柄を見込み、彼を婦人会初の男性会員として迎えるべく、八つの町の婦人会会長が集う「八竜会」の会合に誘う。その後も、龍や彼の周囲の人たちと交流を続けている。

福田 (ふくだ)

八竜会に属する婦人会の会長と理事を務める中年女性。400年以上続く名家、福田家の生まれで、「大地主福田」の異名を持つ。ほかの婦人会会長と同様にベテラン主婦としての経験や優れた実力を誇り、ただならぬオーラを放つ。蝶野が八竜会の会合に連れて来た龍の主夫としての実力を試すために、手始めにお茶くみの腕前を見せるよう求める。北川が龍の婦人会入りを認めなかったが、彼女のもとで修業した龍が主夫として成長した姿と生け花を披露したことで、彼を婦人会の一員として迎える。

北川 (きたがわ)

八竜会に属する婦人会の会長を務める中年女性。蝶野や福田と同様に高い主婦力を持ち、ただならぬオーラを放つ。その場を一気に和ませる花を、瞬時に選んで美しく生ける鮮やかな技術を持ち、「花師北川」の異名を持つ。生け花は四季が生み出す芸術と考える生け花のプロでもあり、教室も開いている。八竜会に参加した龍のお茶くみの腕を未熟と評し、婦人会入りも認めなかったが、彼に教えを請われ自らの生け花教室で修行させる。龍の成長した姿を見届けたあとは、素直に婦人会入りを認めた。

マスター

カフェ「仁義亭」のマスターを務める中年男性。龍の知り合いでもあり、美久のプレゼント資金を稼ごうとする彼をパートタイマーとして雇っている。素朴な雰囲気のカフェに女性客や若者を取り入れたくて龍に新メニューの相談をしたところ、若者に人気のスイーツカフェに視察に行くことになる。結局はスイーツメニューをあきらめ、龍の提案したチキンカツサンドとホットチャイを新メニューとして取り入れることになった。田舎村出身で、20代の頃は自分探しの旅と称してインドに渡っていた。

ボブ

龍のとなりの部屋で、一人暮らしをしている外国人男性。筋肉質な体型の色黒肌で、頭にバンダナを巻いている。日本が大好きで引っ越して来たが、故郷の味が恋しくなり室内でバーベキューをしていたところで煙が漏れてしまい、火事と勘違いして乗り込んで来た龍と知り合う。父親が焼いてくれた肉のようにはうまくいかず、龍に本格派のバーベキューを教わった。

集団・組織

くまさんベアーズ

とある暴力団の男性組員で構成されたバレーボールチーム。小太りな中年男性がキャプテンを務めている。全員堅気ではないが、健康のためにバレーボールを始めてそのままハマってしまい、時おりほかのチームとの練習試合にも参加している。龍が所属するママさんバレーチームと同じ体育館を借りていたことで、龍のチームと練習試合をすることになり、激戦の末に勝利した。その後も時おり龍に遭遇しては、彼とさまざまなチーム対決を繰り広げている。夏は海でのビーチバレーを楽しんでいる。

その他キーワード

クライムキャッチポリキュア☆

美久が視聴している女児向けアニメ。TVアニメを中心にスマートフォン向けゲームやグッズなどメディアミックスも豊富で、デパートでヒーローショーをやっていることがある。子供だけでなく大人にも愛される人気作品で、美久や小宅など幅広いファンが熱中している。メインヒロインは魔法少女のコバルトポリスとスカイポリスで、婦警のようなコスチュームに変身し、人々の悪の心を増長しエネルギーを吸い取る悪者「ゴクドーン」や「レンコーン」と戦っている。決め台詞は「お縄をゲットだよ!」。

書誌情報

極主夫道 14巻 新潮社〈バンチコミックス〉

第1巻

(2018-08-09発行、 978-4107721044)

第6巻

(2020-11-09発行、 978-4107723383)

第7巻

(2021-03-09発行、 978-4107723680)

第8巻

(2021-09-09発行、 978-4107724199)

第10巻

(2022-07-07発行、 978-4107725165)

第11巻

(2023-01-07発行、 978-4107725622)

第12巻

(2023-07-07発行、 978-4107726193)

第13巻

(2023-12-08発行、 978-4107726728)

第14巻

(2024-05-09発行、 978-4107727145)

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