概念ドロボウ

概念ドロボウ

人間の持つ欲望や愛情など、目に見えない概念(ガイネン)を他人から盗むドロボウと、それを追う探偵と刑事を描いたミステリー作品。講談社「アフタヌーン」2018年8月号から2019年9月号まで連載。

正式名称
概念ドロボウ
ふりがな
がいねんどろぼう
作者
ジャンル
推理・ミステリー
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
既刊3巻
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概要・あらすじ

ごくふつうの一般人が突然失踪し、しばらく経ってから自宅で首吊り自殺を遂げるという事件が連続して起こる。中央署捜査一課に配属されたばかりの新米刑事の有馬ハルは、先輩の刑事達と捜査にあたる。自殺した人物が、家族のいる自宅の居間の中で突然首吊り死体となって現れた事や、壁一面に書かれた遺書が自殺直後に突然出現したという現場の状況から、刑事達はドロボウの関係する事件と判断。

ドロボウとは、人間の持つ欲望や愛情など、目には見えない概念(ガイネン)を、他人から盗む能力を持つ人物の事であり、数々の不可解な事件の原因となっていた。有馬は、先輩刑事の指示を受け、ドロボウ絡みの事件に詳しく、自身もドロボウの能力を持つ私立探偵の如月ウロに捜査協力を依頼するため、彼の探偵事務所を訪れるのだった。

登場人物・キャラクター

如月 ウロ (きさらぎ うろ)

私立探偵を営む23歳の男性。捜査能力は天才的と評されているが、神経質で偏屈な性格の持ち主。ファッションにこだわりがあり、他人の身だしなみにも厳しい。難解なパズルを解く事が趣味で、まるでパズルで遊ぶかのように事件の捜査にあたっている。なにか嫌な事があった際には、陶器の壺や置物を壊し、それを「自作の高難度パズル」と称して組み立て直してストレスを解消する癖がある。 事務所には、自分で組み立て直したと思われる、ヒビだらけの壺や置物が多数置かれている。警察からは主にドロボウ関係の事件で捜査協力を依頼されている。その一方で、他人から「欲」を盗む能力を持つドロボウでもある。「欲」を奪われた人間は、完全に無欲な状態になり、そのまま放っておけば食事すら取ろうとせずに、いずれ餓死するらしい。 ドロボウとしての能力はかなり高いらしく、自分のガイネンを盗もうとして皮膚に接触してきたドロボウから、逆にガイネンを盗めるほど。普段は手袋をして過ごしており、他人からもむやみに皮膚に触られないようにしている。警察には捜査協力をしているが、他人と一緒に行動するのを嫌っているらしく、2時間以上捜査に同行した刑事はかつていなかったらしい。 しかし、有馬ハルに対してはどこかが気に入ったらしく、「失踪首吊り事件」で知り合って以降、依頼があった際には共に事件を捜査するようになる。

有馬 ハル (ありま はる)

中央署捜査一課に所属する新米の刑事。22歳の女性。「本物の刑事(デカ)になる」事が目標で、正義感は強いが、どこか抜けた部分もある天然な性格。「失踪首吊り事件」の捜査を機に、如月ウロと知り合う。出会ったばかりの頃は、ウロの偏屈な性格に面倒臭さを感じていたが、一緒に捜査を進めるうちに彼の捜査能力の高さに驚き、ウロからいろいろな事を学びたいと思うようになる。 刑事としてはまだまだ未熟で、うかつな行動をとってピンチに陥る事も多い。

山崎 (やまざき)

中央署捜査一課に所属する刑事。有馬ハルの先輩に当たる人物。痩せ型の男性で、長髪に無精髭が特徴。「失踪首吊り事件」の捜査の際、「特別任務」という名目で有馬を如月ウロの探偵事務所に向かわせた。その際は単なる連絡役のつもりだったようだが、その後有馬がウロと行動を共にするようになって驚いている。ドロボウ関係の事件が起こると、ウロに捜査協力を要請しているが、ウロからは名前を覚えられていない。

献血センターに勤める男 (けんけつせんたーにつとめるおとこ)

他人から「存在感」を盗む能力を持つドロボウ。本名は不明。自分の邪魔者を排除するために、能力を使っていた。「存在感」を盗まれた人間は、透明人間のようになってしまい、他人や自動ドアなどの機械からも認識されなくなる。また、姿や声だけでなく、身につけているものや、書いた文字なども他人から見えなくなり、物を動かしても動かした瞬間は認識されず「いつの間にか動いていた」と思われるようになる。 そのため、「存在感」を盗まれると、生きている間は他者とのコミュニケーションが一切できなくなってしまう。「存在感」を盗まれた後に、自分の状況に絶望して自殺を遂げる被害者が相次ぎ、「失踪首吊り事件」として問題になっていた。

篝火 尊 (かがりび たける)

結婚相談所「運命の矢」の代表を務める男。他人から「理想」を盗む能力を持つドロボウであり、その能力を使って異常に高い成婚率を達成していた。人間にとって「理想は消耗品」であり、高い理想を貫き続けたものだけが王になれるという考えを持っている。そのため、他人から盗んででも「理想」の高さを維持しようとしている。「理想」を奪われた人間は、あらゆる事に妥協して過ごすようになってしまう。 身だしなみが汚くなったり、仕事上でミスを重ねるだけでなく、食事が腐っていても気にしなくなってしまう。「運命の矢」経由で結婚した夫婦がともにホームレスになり、食事に妥協を重ねて土を食べ続けた結果死亡するという事件のきっかけとなった人物であり、如月ウロ達の捜査を受ける事になった。

その他キーワード

ドロボウ

人間の持つ欲望や愛情など、目に見えない概念(ガイネン)を他人から盗む能力を持つ人物の事。ガイネンを他人から盗むには、相手の皮膚に直接接触する必要がある。また、ドロボウ一人につき、盗めるガイネンの種類は一種類のみなど、能力を使う上でいくつかのルールがあるらしい。盗まれたガイネンは、黒い液体のような状態になり、瓶やペットボトルなどの容器に入れられるようになる。 容器から外にこぼれると、ガイネンは元の持ち主に戻る。また、ガイネンを飲み込むと、そのガイネンを自分のものにできるらしい。

書誌情報

概念ドロボウ 3巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2018-10-23発行、 978-4065131213)

第2巻

(2019-04-23発行、 978-4065151877)

第3巻

(2019-09-20発行、 978-4065169445)

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