美人上司とベテラン刑事が挑むマーダーミステリー
内腿を切られた全裸女性の遺体が発見されたことから始まる、マーダーミステリー。捜査にあたるのは、遠木県警本部捜査一課に着任したばかりの美人上司・宇賀田怜悧と定年間近のベテラン刑事・三坂重遠。怜悧は、高校3年生の時、強姦殺人犯を現行犯で捕まえたことがあり、そのとき三坂に「警察に向いている」と言われたことがきっかけで刑事になった。浅からぬ因縁を持つ三坂と怜悧のバディは、捜査に邁進するが、新事実が浮かび上がるにつれて謎は深まり、過去の猟奇事件との関連が明らかになる。そして物語中盤に犯人が判明したあとは、犯行の詳細や動機を含んだ人間ドラマが展開する。
全裸女性の死体と12人分の血液が入ったバケツ
山道で全裸女性の死体が発見されたことから物語は始まる。被害女性は行方不明だった古田美輪子23歳。両手首、両手足に拘束された痕があり、死因は内腿の大動脈切断による出血性ショック死だった。遺体発見から40数時間後、三坂は「駐車場に置いた」という謎の電話を受ける。駐車場に行ってみると、そこにはバケツがあり、中身は12人分の致死量の血液と切断された左腕だった。駐車場の監視カメラに写っていたのは、バケツを運ぶ片腕の男で、馬場淳という人物であることが判明。自宅に美輪子の持ち物があったことから、警察は殺害の容疑者として馬場を追う。
12人の名前が書かれた謎のリスト
馬場は高速のパーキングエリアで、わざと見つかるように車を乗り捨てる。車内からは12人の名前が書かれたリストが発見され、その多くが行方不明になった女性だと判明する。ただし、リストの最後に書かれた「萩本芳雄」だけが男性名であり、女性の内腿を切って女性を殺害したとされる、犯人・吉野コウの出所後の名前だった。馬場が残したリストにはどういう意味があるのか。そして、吉野は冤罪だと主張する雑誌記者も現れ、事件はますます謎めいていく。
登場人物・キャラクター
三坂 重遠 (みさか しげとお)
遠木県警本部捜査一課宇賀田班所属の、定年間近のベテラン刑事。十分な実績を持つが現場主義のため、昇進試験を受けずに巡査部長の地位にとどまっている。幼少時に弟が殺された事件に責任を感じており、現在も自責の念に苛まれている。女性上司・宇賀田怜悧が高校生の頃に出会っており、怜悧が刑事になるきっかけをつくった。怜悧からは「ミーちゃん」と呼ばれている。
宇賀田 怜悧 (うがた れいり)
遠木県警本部捜査一課宇賀田班班長(主任)。階級は警部補。三坂重遠の上司。ショートカットが特徴の37歳の美女で、夫と娘がいる。県警本部一課内の警部と巡査部長がW不倫の末に退職したため、人手不足を解消するべく火鷹署から単身赴任で異動してきた。やり手と評判で明るい性格をしている。高校生の時、強姦殺人犯を捕まえたことがきっかけで警察官になった。三坂のことを「ミーちゃん」と呼ぶ。
馬場 淳 (ばば あつし)
山道で発見された古田美輪子を殺害した容疑者とされる31歳の男性。左腕を欠損している。12人分の致死量の血液と自分の左腕を入れたバケツを警察署の駐車場に置いたり、犠牲者リストと思われる紙を残したりするなど、謎の行動をとる。宇賀田怜悧が6年前に担当した殺人事件の容疑者。結局犯人ではなかったが、犯罪者扱いされたことで職を失うなど、警察に恨みを持つ。
書誌情報
DYS CASCADE 6巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2022-09-15発行、 978-4065290057)
第2巻
(2022-12-15発行、 978-4065300671)
第3巻
(2023-03-16発行、 978-4065310335)
第4巻
(2023-06-15発行、 978-4065319734)
第5巻
(2023-09-14発行、 978-4065329955)
第6巻
(2024-01-17発行、 978-4065339978)