死がふたりを分かつまで

死がふたりを分かつまで

DOUBLE-Sの代表作で、「ヒーロークロスライン」と一部世界観を共有している。原作は『スプリガン』などを手がけたたかしげ宙で、同じくたかしげ宙が原作を務める『ALCBANE』とのクロスオーバー作品となっている。舞台となるのは年々犯罪が激化する現代日本で、一部の人々は犯罪者に対抗するため秘密裏に自警団「エレメンツ・ネットワーク」を結成し、悪と戦っていた。エレメンツ・ネットワークの一員である盲目の青年・土方護は、ある日、一人の少女、遠山遥に助けを求められ、その出会いをきっかけにして世界を巻き込んだ壮大な戦いが始まる。綿密に練られたサイバーパンクな世界観と派手なバトルアクションが見どころで、運命に翻弄されつつも前に進み続ける少女の軌跡を描いたSFバトルアクション。スクウェア・エニックス「ヤングガンガン」2005年12号から2015年23号にかけて連載の作品。

正式名称
死がふたりを分かつまで
ふりがな
しがふたりをわかつまで
漫画
ジャンル
アクション
 
異能力・超能力
レーベル
ヤングガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
全26巻完結
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悪と戦う秘密のネットワーク

本作は凶悪な犯罪がはびこる東京を舞台にしている。巧妙化する犯罪は警察でも手をこまねいており、暴力団やテロリストの被害に多くの人々が苦しめられていた。しかし弱者もただ泣き寝入りすることなく、有志を募って犯罪者に対抗するための互助ネットワークを形成。そのネットワークはいつしか科学者や軍人まで参加するようになり、犯罪者に対抗するための自警団「エレメンツ・ネットワーク」を結成する。また、エレメンツ・ネットワークは組織で活動しているが、その実態は相互扶助のネットワークであるため厳密な意味での実体はなく、ネットワークの参加者も匿名性によって守られているため、お互いの顔も知らない。しかし、犯罪者と実際に戦う実動隊はネットワークの矢面に立つことが多く、主人公の土方護もそんな実動隊の一人としてネットワークに参加していた。

盲目の青年と未来視の少女の出会い

盲目ながらスゴ腕の剣士である土方護は、「エレメンツ・ネットワーク」から提供された新装備の実験を行っていた。しかしその最中、一人の少女、遠山遥が護に助けを求めてくる。唐突な出来事に一瞬動揺する護だったが、遥が暴力団員に捕われていることを知り、あっさりと彼らを撃退。一見ふつうの少女に見える遥は、自分には予知能力があり、その能力を狙った組織に追われていることを護に語る。遥は未来を予知する能力は限定的ながら、護が自分を救ってくれる存在だと能力で確信し、「死がふたりを分かつまで」という契約を交わす。エレメンツ・ネットワークの尽力もあって、遥の身柄を拘束しようとしているのが、彼女の予知能力を次世代のコンピューターに組みこもうとしているエクソリッド社であることを突き止め、彼らの野望を阻止する。しかし騒動の中、遥の情報が裏社会に流出。彼女の身柄は世界中から狙われることとなり、護たちは正式に彼女を迎え入れ、世界の闇との戦いに身を投じていく。

クロスオーバーする世界観

本作はSFヒーロー漫画が世界観を共有する企画「ヒーロークロスライン」の参加作品で、ほかの参加作品と一部世界観を共有している。原作は『スプリガン』で有名なたかしげ宙が務め、彼が手がける『ALCBANE』や七月鏡一原作の『JESUS 砂塵航路』ともクロスオーバーしており、両作品のキャラクターが共演している。主人公の土方護が所属する自警団「エレメンツ・ネットワーク」は、ヒーロークロスラインの別作品にも登場する。また衣谷遊による読み切り漫画『エレメンツ・ネットワーク』は、本作をメインに据えて他作品がクロスオーバーする作品で、本作の後日談的な位置づけとなっている。

登場人物・キャラクター

土方 護 (ひじかた まもる)

盲目の青年。サングラスに黒い髪を無造作に伸ばし、ワイルドな風貌をしている。秘密自警団組織「エレメンツ・ネットワーク」の実動隊に所属しており、井川良太郎がサポート役を務めている。組織内ではコードネーム「ブレード」の名で呼ばれている。エレメンツ・ネットワークに所属しているが、土方護自身は雇われの身で、その過去は謎に包まれている。ふだんかけているサングラスは組織から支給された特別製で、超音波を発してその反響したデータを視覚解析し、網膜に投影する機能を持つ。超音波による反響は乱戦や雨などの環境によっては大きく効果が減衰するが、井川がデータを調整することでそれらの欠点はカバーできる。また超音波による探索は、使い方によっては360度索敵して死角を埋めたり、超音波さえ届けば障害物を無視して相手を視ることもできる。つねに携行している仕込み杖「断罪」も特別製で、単分子理論を応用して低摩擦コーティングされた刃は、理論上何でも斬れるほど鋭利な切れ味を誇る。剣術に関しては達人の域で、護の高速抜刀術と断罪の組み合わせにより、鉄すら難なく切り裂けるほど相性抜群。この仕込み杖という形状は、銃を携帯できない日本という国に合わせたものである。

遠山 遥 (とおやま はるか)

中学1年生の少女。年齢は12歳。淡い金色の髪をツーサイドアップにしている。平凡な家庭に生まれ育ったが、ある日、予知能力に目覚める。その能力によって未来を予知することができるが、すべての未来を完全に予知できる訳ではなく、遠山遥自身および近しい人物の運命しか予知することはできない。その能力をエクソリッド社に知られることとなり、子飼いの暴力団によって両親は殺され、自らも捕らわれてしまう。このように「悪い未来」を予知しても避けられるとは限らず、活路を見出そうとして、より悪い結果になることもある。暴力団に捕らわれて移送されている際も、自らの未来が暗く閉ざされていることを実感していたが、その中で唯一遥を助けてくれる存在を予知する。そして無我夢中で土方護を呼び止め、彼に護衛を依頼した。依頼料は遥自身のすべてで、依頼期間は「死がふたりを分かつまで」と言ったため、護を一瞬ギョっとさせたが、のちに遥は護が「未来の旦那様」だからこの言葉を使ったと話している。そんな中、エレメンツ・ネットワークの尽力もあってエクソリッド社の悪事は暴かれるが、すでに時遅く遥のデータは裏社会に流出し、世界中からその身を狙われることとなる。しかし遥自身は最初からそのことを予知しており、自らの未来を切り開くため護らと行動を共にすることを決意する。

クレジット

原案

たかしげ 宙

書誌情報

死がふたりを分かつまで 全26巻 スクウェア・エニックス〈ヤングガンガンコミックス〉

第1巻

(2005-12-24発行、 978-4757515949)

第26巻

(2016-02-25発行、 978-4757548923)

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