殺し屋は今日もBBAを殺せない。

殺し屋は今日もBBAを殺せない。

『雷雷雷』(ヨシアキ名義)で人気を博した芳明慧の連載作品。1990年代の日本を舞台に、どこにでもいそうな偏屈な老婆、野沢マコトが、次々と現れる殺し屋たちを返り討ちにする姿を描いたバイオレンスギャグアクション。往年のマンガやゲームのパロディが随所に散りばめられている。小学館「裏サンデー」や「マンガワン」などで2020年1月から2021年11月まで連載。

正式名称
殺し屋は今日もBBAを殺せない。
ふりがな
ころしやはきょうもばばあをころせない
作者
ジャンル
アクション
 
ギャグ・コメディ
レーベル
裏少年サンデーコミックス(小学館)
巻数
全5巻完結
関連商品
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90年代の日本を舞台にした老婆ギャグアクション

本作は、スーパーファミコンが全盛を誇り、セガサターンやプレイステーションが黎明期を迎えた1990年代の日本を舞台にしている。偏屈な老婆、マコトが、ヤクザの布施ナオキに雇われた殺し屋たちを、強靱な肉体と卓越した戦闘能力で鮮やかに撃退していく姿をコミカルに描いている。スプーンで銃弾を弾き飛ばしたり、天井を突き破って跳躍するなど、超人的なアクションが見どころとなっている。また、バトルは徒手空拳を主体に、往年の格闘ゲームや人気漫画を彷彿(ほうふつ)とさせるパロディ的な描写が随所に見られる。

無敵の老婆の過去を巡る因縁

強烈な個性を放つ老婆のマコトは、かつて部隊を指揮していた元軍人であり、その後は機動隊の指揮官として活躍した経歴を持つ。しかし、現役を退いた今は、パチンコやカレー、麻雀をこよなく愛する隠遁生活を送っていた。だが、マコトの命を狙うナオキをはじめ、過去の因縁が物語の核心に深く影を落としている。作中ではマコトの過去はほとんど明かされていないが、1990年代の舞台背景や戦後の事件を彷彿とさせるオマージュが随所に散りばめられており、これまで彼女がどんな経験をしてきたのか、読者の想像力を刺激する。

ナオキの執念と日常

ナオキは裏社会組織の幹部であり、屈強な部下を従え、5000万円という破格の懸賞金をかけてマコトの命を狙っている。本作ではナオキの日常生活も描かれており、彼はもう一人の主人公とも言える。知的な風貌の眼鏡姿からは切れ者の印象を受けるが、部下との麻雀で思わぬ惨敗を喫したり、雇った殺し屋に格闘ゲームで叩きのめされたりと、どこか憎めない人物。そんな彼が、なぜマコトという老婆に執着するのかが、物語の重要な鍵となっている。

登場人物・キャラクター

野沢 マコト (のざわ まこと)

見た目はどこにでもいる偏屈な老婆。なぜか殺し屋に狙われるという謎めいた存在である。年齢は77歳。白髪ショートカットで、眼鏡をかけている。一人暮らしで、淡路島産の玉ねぎを使ったカレーを心から愛している。身長は160センチにも満たないが、その身体能力は常人を遥かに超えており、体重100キロの巨漢を片手で持ち上げるほどの怪力を誇り、極悪な殺人犯に殴られても平然としているなど、並外れた頑丈さを持ち合わせている。ヘビースモーカーであり、タバコを吸うことで一時的に戦闘力を高めることができる。マコトの首には5000万円の懸賞金がかけられており、腕利きの殺し屋たちが絶え間なく襲撃してくるが、すべてを返り討ちにしている。若い頃は軍隊で隊長を務め、その後は機動隊に所属していた。カレー好きなのは、軍属時代に部下が戦場で振る舞ったカレーに由来している。

布施 ナオキ (ふせ なおき)

ある組織の幹部を務めるヤクザの男性。殺し屋を雇って、マコトの命を狙っている。個性的な部下たちをまとめ上げる統率力に加えて人望も厚いが、どこか抜けたところや不運な一面も見受けられる。特に麻雀やビデオゲームでは連戦連敗する姿が度々見られる。実は、幼少期にマコトに引き取られ育てられた過去があるものの、成長し独立してからは疎遠になっている。

書誌情報

殺し屋は今日もBBAを殺せない。 全5巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2020-07-17発行、 978-4098502097)

第2巻

(2020-12-18発行、 978-4098503421)

第5巻

(2022-01-19発行、 978-4098508501)

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