ヒロインたちの全員が勇者狙い
勇者トトと共にパーティーを組むことになった三人のヒロインたち。彼女たちは誰もが目を奪われるほどの美しい容姿を持ちながら、それぞれに裏の顔が隠されていた。一人前の魔法使いを目指すシエル・ゼブルは、実は魔王の娘であり、「一人立ちの儀」の試練としてトトの命を狙っている。僧侶としてパーティーを支えるアネモネは、高額の報酬でトトの暗殺を請け負ったすご腕の殺し屋。そして、陽気な踊り子として仲間に加わったゴア・ミナガワは、屈強な男性を調教してペットにすることを至上の楽しみとするサディストであり、トトを次のターゲットとして狙っている。実は、この三人のヒロインたちは互いの真の目的を知りながらも、牽制し合い、表向きは一つのパーティーとして共に冒険を進めている。
トトとヒロインたちの関係性の変化
当初、ヒロインたちにとってトトは、それぞれの目的を達成するための「ターゲット」に過ぎなかった。しかし、不器用ながらも誠実で心優しいトトと共に冒険をするうちに、彼女たちの心には少しずつ変化が芽生え始める。特に、シエル・ゼブルとアネモネはトトに恋愛感情を抱くようになるが、かたくなにそれを認めようとせず、第三者に好意を指摘されると、すぐに顔を真っ赤にして激しく否定するなど、かわいらしい一面を見せる。また、互いをライバルとしてつねに牽制し合い、言い争いが絶えなかったヒロイン同士の関係も、次第に互いを心配し合う友情へと変わっていく。
「関係構築」と「共生の模索」
旅を続ける中で、トトたちは人間の冒険者・フレースニルと、彼が信頼する従者であるデュラハンのコシュタと出会う。種族の違いを超えて深い絆で結ばれているフレースニルとコシュタの姿を目の当たりにし、トトたちは人間と魔物が共生できるのかどうかを考えるようになる。このように、「暗殺者とターゲット」や「人間と魔物」がどのように関係を築き、共生の道を模索していくのかが、物語の核心を成す大きなテーマとなっている。
登場人物・キャラクター
トト
魔王打倒を目指す勇者の男性。筋肉質な体型で顔には痛々しい傷痕がある。その強さは圧倒的で、ドラゴンを一撃で吹き飛ばしたり、声だけでスライムを粉砕したりするほど、強力な魔法も自在にあやつることができる。しかし、その屈強な外見とは裏腹に、性格は極度の人見知りで特に女性を苦手としており、女性が絡むとすぐに気絶してしまうほどの免疫のなさを露呈する。そのため、仲間を集めてパーティーを組むことができず、長らく「はじまりの町」から出られずにいた。一方で、彼の並外れた強さは広く知られており、魔王軍からも危険視されている。自分とパーティーを組んでくれたシエル・ゼブルたちには深い感謝の気持ちと仲間意識を抱いており、シエルの分身が殺害される場面を目撃してからは、仲間を心配するあまり、同じ部屋で寝ようとする優しい一面も見せるようになる。
シエル・ゼブル
トトのパーティーメンバーで、魔王の娘。白髪のショートボブで、右目を前髪で隠している。見た目は幼い少女だが年齢不詳で、自身のかわいらしい外見には絶対的な自信を持っている。表向きは一人前の魔法使いを目指して旅をしているとしてトトに近づき、パーティーに加わった。しかし、彼女の真の目的は、「一人立ちの儀」の課題として「現在最も有力な勇者を自分の力で殺害すること」を命じられたため、トトの命を狙うことにあった。同年代の魔族から「出来損ない」「コネで魔王候補になった」と陰口を叩かれた経験があり、その影響で他者と深くかかわることを避けてきた。しかし、トトたちとパーティーを組むようになってからは、冒険を通じて徐々に心を開くようになる。
アネモネ
トトのパーティーメンバーで、殺し屋の女性。長い黒髪をポニーテールにしている。表向きは迷い苦しむ民を救う旅をしている僧侶としてトトに近づき、パーティーに加わった。しかし、彼女の真の目的は、トトを暗殺することであり、多額の報酬と引き換えに受けたその依頼を遂行するため、僧侶のコスプレをして彼の命を狙っている。金と酒を愛し、かなりのヘビースモーカーでもある。ニコチンが切れると不機嫌になり、しばしばトトを気絶させて強引にタバコ休憩をつくっている。口が悪く、言動も粗暴でがさつだが、子ども好きでシエル・ゼブルのことを妹のように気にかけている。奴隷商人を根絶やしにし、孤児院を設立して恵まれない子供たちを救うという大きな夢を抱いており、トトを暗殺した報酬をその資金に充てるつもりでいる。
ゴア・ミナガワ
トトのパーティーメンバーで、サディストの女性。サディストとマゾヒストが集う社交場「愉悦の館」の主であり、「支配人」と呼ばれている。ウエーブのかかった美しい金髪のロングヘアで、つねに露出度の高い衣装を身にまとっている。楽しさを求めて旅をする踊り子としてトトに近づき、パーティーに加わった。しかし、彼女の真の目的は、屈強な男を心身共に調教し、ゴア・ミナガワ自身の忠実なペットにすることで、次のターゲットとしてトトを狙っている。ゴアは、対象者に自身への狂気的な愛を強制的に抱かせるという特異(スキル)を持っているが、このスキルがなければ、本心からは誰にも愛されないのではないかという恐怖心を抱えていた。しかし、トトたちとパーティーを組むようになってからは、メンバーが「状態異常防止」を使っていることもあり、偽りのない友情や絆を感じ始め、彼女の心境にも少しずつ変化が訪れている。
クレジット
- 原作
-
のりしろちゃん
書誌情報
気絶勇者と暗殺姫 13巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2023-04-07発行、978-4253280860)
第2巻
(2023-06-08発行、978-4253280877)
第3巻
(2023-08-08発行、978-4253280884)
第4巻
(2023-11-08発行、978-4253280891)
第5巻
(2024-01-05発行、978-4253280907)
第6巻
(2024-03-07発行、978-4253282161)
第7巻
(2024-06-07発行、978-4253282178)
第8巻
(2024-08-07発行、978-4253282185)
第9巻
(2024-11-08発行、978-4253282192)
第10巻
(2025-02-07発行、978-4253282208)
第11巻
(2025-04-08発行、978-4253282215)
第12巻
(2025-07-08発行、978-4253282222)
第13巻
(2025-09-08発行、978-4253001656)







