水に棲む鬼

水に棲む鬼

名家で起こった事件を、住み込みのお手伝いさんが解決していく。女性の不審死の真相を追うという推理部分を軸としつつも、叙情的なシーンも多く挿入されており、幻想的な作品に仕上がっている。「MysteryⅠ」1990年vol.8に掲載された作品。

正式名称
水に棲む鬼
ふりがな
みずにすむおに
作者
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

名家である萩原家で、住み込みの家政婦として働くことになった樋口奈津子は、当主の妻であった萩原水緒子が屋敷で不審死をしていたことを知る。さらに、水緒子の容姿が自分と瓜二つ、といっても良いほどに似ていたことも聞かされる。水緒子の不審死に関心を持った奈津子は、事件の真相究明に向けて水面下で動き出し、意外な真相を知ることとなる。

登場人物・キャラクター

樋口 奈津子 (ひぐち なつこ)

名家の萩原家に家政婦として住み込みで働くことになった女性。腰まである黒髪を後ろで1つにまとめて三つ編みにしている。萩原貴也の亡くなった妻である萩原水緒子に容姿が似ており、死者が生き返ったようだと、気味悪がられることも多い。しかし、内向的な水緒子とは対称的に、活発に動き回ることを愛する外交的な性格をしているため、実際に交友を重ねると、水緒子と似ているという印象はかなり薄れる。 好奇心旺盛で、観察眼もかなり鋭い。水緒子が不審死をしたことにも関心を持っていて、事件の真相を知りたいと考えている。

萩原 貴也 (はぎわら たかや)

樋口奈津子の雇主の男性。名家の萩原家の一人娘である萩原水緒子と結婚し、婿養子となることで、萩原家の当主となった。その後は傾きかけていた萩原家の会社を立て直し、経営不振を打開した。しかし現在は、婿養子の彼に萩原家や会社を任せていても良いのか、という声も一族からあがっている。妻の水緒子を愛していたが、彼女からは肉体関係を拒まれ続けていた。

萩原 水緒子 (はぎわら みおこ)

萩原貴也の妻で故人。樋口奈津子とそっくりの容姿をしている。黒髪を腰のあたりまで伸ばしていて、いつもダウンスタイルにしている。和服が好きで、洋服を身に着けることはほとんどない。内向的な性格をしていることに加えて、病弱でもあったために、滅多に外には出ることはなかった。それにも関わらず、庭の池で溺死しているのを発見された。 事故死として処理されているが、他殺や自殺の可能性も指摘されている。夫である貴也を拒みつづけていたにも関わらず、死後解剖をしたところ、妊娠をしていた。

春樹 (はるき)

萩原水緒子のいとこにあたる男性。故人の水緒子にそっくりであることから気持ち悪がられて敬遠されている樋口奈津子に対しても、分け隔てなく接する優しさを持つ。萩原家の事情を知らない奈津子に、派閥関係などを伝えて、気をつけるべき相手などを教えてあげている。萩原貴也のことを経営者としても人間としても評価しており、婿養子であろうが、彼が当主を続けるべきだと応援している。

有馬 (ありま)

萩原家で蔵書整理や社内史の編纂などをこなす初老の男性。大学の研究室で働いていたところを萩原水緒子の父親に引き抜かれて、萩原家で働くようになった。陰気な性格をしていて、何を考えているのか分からないところがある。萩原貴也が萩原家の当主となることに反対していて、派閥を組んで陰で暗躍している。故人である水緒子に対して強い執着心を持っていて、樋口奈津子に水緒子とそっくりな服装をさせようとすることもある。

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