池袋レインボー劇場

池袋レインボー劇場

えりちんの代表作の一つ。現代日本の池袋にあるストリップ劇場「レインボー劇場」を舞台に、家出少女のユキはストリッパーの神楽歩夢との出会いを通じて、ストリップの世界に足を踏み入れる。自らの理想や夢、そして「本当の自由」とは何かを見つめ直し、一人の人間として成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。白泉社「ヤングアニマル」2015年16号から2017年3号にかけて連載の作品。

正式名称
池袋レインボー劇場
ふりがな
いけぶくろれいんぼーげきじょう
作者
ジャンル
水商売
 
恋愛
レーベル
ヤングアニマルコミックス(白泉社)
巻数
全3巻完結
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ユキの再生とストリッパーへの道

ユキはもともとバレエを習っており、ダンスを心から愛していた。しかし、母親の死後、祖母にバレエの衣装を捨てられてしまい、それ以来、自己表現をあきらめ、殻に閉じこもるような生活を送っていた。そんな中、18歳の誕生日を迎えたユキは、家を飛び出し東京へと向かう。しかし、頼りにした先輩は女性と同棲しており、そこに住むことはできなかった。池袋の街を彷徨っていると、ユキは「レインボー劇場」の人気ストリッパー、歩夢と出会う。歩夢のショーを観たユキは、その自由な表現や独自の世界観に心を奪われ、自らもストリッパーになることを決意する。

試練の初舞台と歩夢のアドバイス

初舞台でユキは緊張から転倒し、観客にエルボーをかましたうえに、振付も飛ばしてしまう。深く落ち込むユキだったが、歩夢は彼女が舞台に立ち続ける意志を持っていることを見抜き、アドバイスを送る。歩夢は、劇場に足を運ぶ観客が求めているのはストリッパーの裸ではなく、その瞬間に得られるときめきであると語り、それを理解するためには恋をするべきだと伝える。ユキが恋心を抱いた相手は、中学校で美術教師をしている若松聡だった。

秘密を抱えた恋の行方

聡は、結婚を前提に交際していた女性が過去にAV女優として活動していたことを知り、婚約を破棄した過去を持つ。この事実はユキも知っており、聡と会う際には偽の職業を名乗り、「レインボー劇場」に飾られた自分の宣材写真も見せないようにしている。男女関係に対して潔癖な考えを持つ聡と、ストリッパーとして生きるユキの二人の恋愛模様は、物語後半の大きな見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

ユキ

神戸から家出してきた、バレエを愛する少女。年齢は18歳。まっすぐに切り揃えられた前髪とストレートの黒髪が特徴。父親は失踪し、母親は病気で亡くなってしまったため、呉服屋を営む祖母のもとで厳しい躾を受けて育った。母親が生きていた頃はバレエを習っており、それが彼女の唯一の心の支えだった。現在も踊ることが大好き。ある日、ストリッパーの歩夢の舞台に心を揺さぶられ、感動のあまり涙を流した。その後すぐに、処女ながらストリップ劇場「レインボー劇場」の見習い踊り子として、住み込みの従業員となった。美容にはまったく興味がなく、つながったままの眉毛から、芸名は「一本マユ」に決まった。レインボー劇場の40周年記念興業でのデビューを控えている。

神楽 歩夢 (かぐら あゆむ)

元男性の人気ストリッパー。長身に茶髪のストレートヘアをしている。ストリップ劇場「レインボー劇場」の寮に籍を置きつつも、定住せずに全国各地の巡業先の劇場で寝泊まりしている。ストリップという仕事を心から愛しており、そのプロ意識は非常に高い。観客を飽きさせないために多彩な演目を考案し、衣装や振付においてもいっさいの妥協を許さない。ストリップの世界では、10日間働けば1か月は生活できると言われているが、2か月以上も舞台に立ち続ける情熱を持っている。また、面倒見がよくアネゴ肌な一面もあり、家出してきたユキを放っておけず、寮に泊めている。ユキが踊り子を志してからは、おさがりの衣装を譲るなど、何かと彼女に目をかけている。

書誌情報

池袋レインボー劇場 全3巻 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉

第1巻

(2016-06-29発行、978-4592141846)

第2巻

(2016-10-28発行、978-4592141853)

第3巻

(2017-03-29発行、978-4592141860)

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