四人の男女が泥濘にはまっていく不倫ストーリー
スーパーの店員、捻木深愛と店長の那須川夏生は不倫関係にあった。しかし、夏生の妻ふみこのウツが悪化し、家族の時間が必要になったため、夏生は深愛に別れを切り出す。夏生との不倫関係を取り戻したいと考えた深愛は、ふみこを助けるために、カウンセラーを装い近づくことに成功する。何も知らずに深愛に恋をするのが、夏生の一人息子の那須川ハルキ。ある事情から不登校になっていたハルキは、スーパーで深愛に優しくされて以来、彼女が好きになる。また、幼なじみの尾崎ちふゆは、そんなハルキを異常な執念で追いかけ続け、深愛に不信感を抱く。いつの間にか夏生の家族と食卓を囲むまでになっていく深愛を軸に、夏生、ハルキ、ちふゆの思いが交錯する複雑な恋愛模様を描く。
何の取り柄もないと思い込む深愛
深愛は父に毎日殴られながら育った。父の死後は母と二人暮らしになるが、母も「深愛は料理も満足にできず器量も悪い」と日々人格否定を繰り返す毒親である。その結果、深愛は自己肯定感が低くなり、自分を認めてくれる夏生に依存する。また、父の口癖だった「何の取り柄もないんだから、せめて人の役に立ちなさい」「人に優しくしなさい」という言葉に縛られており、好かれたいから人に親切にする。ひとりでいた不登校のハルキに声をかけたのも、そんな理由からだった。
暴走するちふゆの愛情
ハルキとちふゆは、親同士が仲がよく小中高も一緒という幼なじみである。ある日、家族のように思っていたちふゆから告白されたハルキは、気持ち悪くなり、交際を断る。以後、ちふゆの思いは狂気じみた愛情に変わり、ハルキがちふゆをレイプしたというデマに繫がっていく。夏生の家に出入りする深愛を見かけたちふゆは、二人の関係に気づく。そのことをハルキに告げるが、彼は不倫の事実を知りながら、深愛に好意を寄せていた。嫉妬に狂ったちふゆは、カッターを手に深愛に迫る。
登場人物・キャラクター
捻木 深愛 (ねじき みあ)
スーパーすずらんの店員の若い女性。黒髪のロングヘアーが特徴で、店長の那須川夏生と不倫関係にある。毒親に育てられたことから自己肯定感が低く、人に嫌われないように振る舞う。夏生から別れを告げられるが「彼と幸せになりたい」という思いを持ち続ける。夏生の妻がウツであることを知り、彼女と接触して助けようとする。夏生の息子、那須川ハルキとも友人関係にあり、いつの間にか那須川家に入り込む。
那須川 夏生 (なすかわ なつお)
捻木深愛が勤めるスーパーすずらんの店長の中年男性。眼鏡と無精ひげが特徴で、深愛と不倫関係にある。妻のふみこ、息子のハルキとの三人暮らし。人当たりがよく優しい性格をしている。妻のウツがひどくなり、家事をしたり妻の面倒をみたりする時間が必要になり、深愛に別れ話を切り出す。
那須川 ハルキ (なすかわ はるき)
那須川夏生の息子である男子高校生。陸上部に所属する人気者だったが、幼なじみでクラスメイトの尾崎ちふゆをレイプしたというデマが拡散し、不登校になる。スーパーすずらんの待ち合い所で時間を潰していたところ、捻木深愛に声をかけられ彼女に恋をする。その後、深愛が父と関係をもっていることを知りショックを受ける。
尾崎 ちふゆ (おざき ちふゆ)
那須川ハルキの幼なじみでクラスメイトの女子高生。ハルキのことが好きで告白するが振られてしまう。以降、ハルキのストーカーになり、狂気じみた愛情を見せるようになる。ハルキが好きな人が、那須川夏生と不倫関係にある捻木深愛だということを知り、深愛に憎悪を向ける。
書誌情報
泥濘の食卓 6巻 新潮社〈バンチコミックス〉
第1巻
(2022-06-09発行、 978-4107724991)
第2巻
(2023-10-06発行、 978-4107726490)
第3巻
(2023-10-06発行、 978-4107726506)
第4巻
(2023-10-06発行、 978-4107726513)
第5巻
(2023-10-06発行、 978-4107726520)
第6巻
(2024-06-07発行、 978-4107727190)