概要・あらすじ
食品会社で課長を務める島田英志は家庭を大切にしていたが、半年前から同じ会社の照井ミサと不倫関係にあった。しかし、友人である大平悠子の夫に女性問題が浮上したことを受け、英志はミサと距離をとろうと心に決める。だがそんな矢先、ミサから英志との子供ができたと告げられ、さらにミサとホテルから出てくるところを悠子に目撃されてしまう。
危険を感じた英志はミサに関係の解消を告げるものの、次第に自分の本当の気持ちを偽れなくなっていく。
登場人物・キャラクター
島田 英志 (しまだ えいじ)
食品会社「フーズ食品」で課長として働く35歳の男性。島田朱美の夫で、島田さとる、島田まどかの父親。妻のことは大切に思っているが、半年間不倫関係を続けている照井ミサに心を奪われていく。優柔不断で自己保身に走りやすい性格。結論を先送りするうちに、嘘に嘘を重ねてしまう。
島田 朱美 (しまだ あけみ)
島田英志の妻で35歳。島田さとる、島田まどかの母親。英志とは食品会社「フーズ食品」の同期入社だったが、結婚を機に退職している。英志の浮気に疑心暗鬼になるが、成瀬シンの陶芸教室で働くようになり、陶芸に目覚めていく。成瀬には旧姓の「五十嵐」をもじって「ガラ」と呼ばれている。
島田 さとる (しまだ さとる)
島田英志と島田朱美の息子で、双生児の兄。映像作家志望の中学1年生で、文化祭ではビデオクリップの構成・演出を手掛ける。いい大学はいいサラリーマンになるための肩書にすぎないという考え方を持ち、アメリカの高校への進学を希望している。
島田 まどか (しまだ まどか)
島田英志と島田朱美の娘で、双生児の妹。兄の島田さとるとは違って堅実なしっかり者。口先だけ達者な父親やさとるのことを、「これだから男は」と情けなく思う大人びた中学生。子供が好きで、大平夫婦のベビーシッター役を引き受けている。
照井 ミサ (てるい みさ)
食品会社「フーズ食品」に勤める役員秘書で、26歳の女性。社内でナンバーワンといわれる美貌とスタイルの持ち主。島田英志の不倫相手で、少々エキセントリックかつ強引なところがある。結婚願望はないものの、英志との間にできた子供は絶対に産むつもりでいる。
大平 悠子 (おおひら ゆうこ)
食品会社「フーズ食品」の元社員で、島田英志や島田朱美と同期だった女性。島田夫妻とは家族ぐるみで仲良くしている。しっかり者でテキパキしており、現在はフラワーコーディネーターとして独立し、活動している。英志と照井ミサのホテルでの密会を目撃してしまう。
大平 (おおひら)
太平悠子の夫で30歳。理系のコンピューターオタクで口数が少なく、ゲームが得意。しっかり者の悠子に息がつまり、テレクラで出会ったもえという若い女性と同棲を始めた。ウソをつき通せない男には浮気をする資格はないという持論の持ち主。
成瀬 シン (なるせ しん)
陶芸作家の男性で、島田朱美が美大生だった時の同級生。世俗からかけ離れていて、無邪気でつかみどころがない性格。バツイチだが朱美のことをずっと気にかけており、個展の案内を出したことから再会する。
藤井 (ふじい)
食品会社「フーズ食品」の役員で、照井ミサが秘書をしている初老男性。ミサのバストをのぞき込んだりするスケベなところがあるが、ミサのお腹の子の父親が島田英志だと見抜いていたりと、鋭い観察眼を持つ。英志とミサの不倫に関しては、極力本人や周囲が傷つかないよう配慮する懐の深い人物。
レイコ
照井ミサの女友達で、眼鏡をかけたロングヘアのぽっちゃりした女性。食品会社「フーズ食品」の近くのマンションに住んでいたが、海外に行くことになったためミサに管理がてら部屋を貸している。ミサの良き理解者で、彼女がなぜ島田英志に近づいたかも知っている。
英之 (ひでゆき)
照井ミサの昔の恋人で故人。文武両道のスポーツマンで、誰からも愛されていた男性。東大法学部を卒業し、外交官試験をパスした超エリートだが、ミサとの婚約前に暴走族にはねられて命を落とした。
吉岡 (よしおか)
成瀬シンの信楽の穴窯を手伝っている若い男性で、長髪を後ろで束ねている。成瀬の作る器に女性の身体の曲線と同様のエロティックさを感じており、彼が再婚すればもっといい作品を作れるようになると考えている。優しい性格で、かつて離婚によって傷ついた成瀬のことを案じている。
桜井 (さくらい)
成瀬シンの陶芸教室に通う若い女性で、成瀬に好意を寄せている。島田朱美が成瀬の穴窯がある信楽に出かけている時に、島田宅に陶芸教室の件で電話をかけるなど少々間が悪いところはあるが、桜井自身にはまったく悪気はない。
民族店オーナー (みんぞくてんおーなー)
民族店のオーナーを務める太った中年女性。成瀬シンに執心し、陶芸教室にまで押しかけている。成瀬の作品を店に置いているが、成瀬が捨てるつもりだった失敗作をこっそり持ち出しては高値で売っていた強欲な性格。
もえ
テレクラで知り合った大平と一緒に暮らす18歳の女性。ボーっとしており、ゲームばかりしている変わった人物。家を出た大平を訪ねた島田英志は、今時の若い女性とはまったく異なるもえを見て、家庭を捨てるほどの価値がある女性なのかを考え込む。
顧問 (こもん)
食品会社「フーズ食品」の最高顧問を務める老人。照井ミサが結婚していないのに妊娠していることを理由にクビを言い渡す古いタイプの男性。逆に自分は妾を囲っていることをミサに指摘され、血圧が上昇してしまう。
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