流れ星五十三次

流れ星五十三次

東海道五十三次の宿場を1話1カ所で旅していく、漫画で描いた股旅物。起点と終点を入れて55カ所あるため、少し調整されていて全52話となっている。江戸から京都に護り袋を届ける渡世人の鴉の旅を描いた。護り袋を狙う相手との戦いは、剣劇だけでなく騙し騙される推理的要素も多く盛り込まれている。

正式名称
流れ星五十三次
ふりがな
ながれぼしごじゅうさんつぎ
作者
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

瀕死の男から護り袋を京都に届けてくれと託された鴉は、江戸を出た。道中では鴉の持つ護り袋を狙って、さまざまな相手が出没。苦難の旅の末に京都に着くと、受取人から護り袋はとある武士が婚約者に宛てた白紙の恋文だと明かされた。実は武士は密書を運ぶための囮役で、護り袋はダミー。

役目の後で結婚のはずだったという。鴉は武士の「志」を届けて姿を消す。

登場人物・キャラクター

流れ星の鴉 (ながれぼしのからす)

額に流れ星のような形の刀傷がある渡世人。父は剣術の腕はあったが浪人で、家庭内暴力が激しかった。そのため、母に連れられて家を出たが、その母は行商人と姿を消してしまったという。剣は父から叩きこまれ、かなりの使い手。竜と呼ぶ者もいるが、本名は定かでない。江戸で瀕死の男から預けられた護り袋を京都に届けるために旅立つ。 護り袋の中身には興味があるが、届けるまでは中を見ないと筋を通す。一方、次々に護り袋を狙う相手が現れ、旅は厳しいものとなった。川崎宿で出合った鳥追いお銀も護り袋をめぐる争奪戦の相手だが、男女の仲になって、途中までつかず離れずの関係が続く。京都に着くと、ゆきという女性が護り袋の到着を待っていた。 だが、その中身は無意味に思えるもの。深夜、託した男の「志」を果たして姿を消す。

鳥追いお銀 (とりおいおぎん)

門付けをする非人の女太夫。「鳥追」の姿をしている謎の女。凄腕の巾着切り(スリ)で、鴉と川崎宿で出会い、しばしば行動を共にするようになる。鬼縄から護り袋を奪う話を持ちかけられ、鴉の懐を狙っているがなかなか成功しない。あくまでも巾着切りの技ですりとろうと考えている。 鴉を慕うようになって、協力して護り袋を守ったりもした。吉田宿ではぐれ、土山宿で再会したとき勤皇の志士の短筒から鴉をかばって落命する。

狂須 幻之進 (くるす げんのしん)

盲目の総髪の剣士。雨音が苦手でいらついてしまうため、雨の日は外に出られない。胡蝶と鬼縄とともに、鴉を追って旅をしてきた。護り袋の中に世の中を動かす重要な秘密があり、盲目ながら世の中を動かしてみたいと考えて護り袋を狙う。藤枝宿で鴉と直接対峙した。白須賀宿での鴉との再戦では胡蝶のことで気持ちが乱れており、鴉に敗れる。 その後、護り袋を狙う意味に疑問を感じ、もはや自分の生きる意味はないと切腹して果てたらしい。胡蝶を愛していたが不具者同士のため、目の見えない自分を認めるようで抱くことができなかったという。

胡蝶 (こちょう)

言葉が不自由な少女。杖を持っているが剣が仕込まれている。身も軽く忍者を思わせる。狂須幻之進の目としても働いている。狂須を慕うあまり、その手助けをしようと度々、鴉を単独で襲う。その無謀な行動に閉口した鴉に掛川宿で強姦され、その後も何度か抱かれる。狂須を慕う気持ちに変わりはないが、鴉を殺す気持ちは薄れている。 狂須の切腹を受けて庄野宿で鴉を襲い、わざと斬られて絶命する。

鬼縄 (おになわ)

人相の悪い男。江戸では知られたゴロツキの岡っ引き。鳥追いお銀に護り袋を狙うように指示をし、狂須幻之進の案内をしながら鴉を追ってきた。庄野宿で胡蝶の手にかかって死ぬ。

清水の次郎長 (しみずのじろちょう)

海道一の大親分。鴉の三島宿でのなじみの女を囲ったために因縁ができてしまった。女をめぐるやりとりで鴉を認め、清水で立ち寄るように言って別れることにした。その際、鴉に回状が廻っていて、捕まえると金五百両の賞金も出ていると報せる。

登紀 (とき)

鴉が身請けした女性。鴉と所帯を持てると喜んでいたが、ヤクザ者だからと拒まれる。鴉が護り袋を託される現場に居合わせ、その夜、何者かに殺される。その犯人を追った鴉は、犯人がさらに何者かに殺されるところを目撃した岡っ引きから下手人と勘違いされてしまう。

さえ

藪蚊の権八宅で働く下女。権八の後添いになる予定だったが、鴉に言い寄り駆け落ちを持ちかける。ところが、鴉が権八一家の金を奪って自分との駆け落ちを持ちかけてきたと、権八に伝える。だが、実は清吉という三下との駆け落ちを目論んでいて、権八一家の金を持って逃げる算段だった。 権八一家の用心棒の侍に気付かれ、捕まってしまった。権八一家を倒した鴉に、清吉ともども切り殺される。

藪蚊の権八 (やぶかのごんぱち)

右頬に大きな傷がある甲州路で名が売れだした侠客。大きな祭があるため、助っ人として鴉を招いた。そのほかに用心棒の侍も置いていた。さえの駆け落ち騒動で鴉と争い、切り捨てられる。

ゆき

京都で護り袋の到着を待っていた女性。護り袋を縫って、婚約者だった武士に渡した。その武士は江戸から京都の仲間に届ける密書の囮役を死ぬまでやり通し、鴉にダミーの護り袋を託した。武士とはこの護り袋の受け渡しが終わった後、夫婦になるはずだった。

その他キーワード

護り袋 (まもりぶくろ)

江戸で瀕死の男が京都に届けてくれと、鴉に託したもの。鴉は中を見なかったが、次々に護り袋を狙う者が現れ、中身についてはまちまちなことを言っていた。財宝の地図という者や、幕府を揺るがす密書だという者も。また、交換でもらえる大金を目当てにする者も少なくなかった。 だが、実は男は密書を運ぶための囮役の武士で、護り袋もダミー。中に入っていたのは婚約者のゆきを思う白紙の恋文だった。

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