消えた初恋

片思い中の女の子である橋下美緒から消しゴムを借りた高校生男子の青木想太は、消しゴムに「井田浩介」の名前が書かれていることを発見。青木は失恋した上に、その消しゴムを井田に見られ、「青木は俺に気がある」と井田に思い違いをさせてしまう。一生懸命で人がよく、少しおバカな高校生たちの初恋と三角関係を描いたラブコメディ。登場人物がみんな天然で、カンちがい、行きちがいがテンポよくコミカルに描かれ、冒頭から読み返したくなる仕掛けも組み込まれている。集英社「別冊マーガレット」2019年7月号から連載の作品。「このマンガがすごい!2021」オンナ編9位、第11回「ananマンガ大賞」準大賞、第67回「小学館漫画賞」一般向け部門受賞。2021年10月実写ドラマ化。

正式名称
消えた初恋
ふりがな
きえたはつこい
原作者
ひねくれ渡
作画
ジャンル
ラブコメ
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
既刊9巻
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あらすじ

青木の失恋

高校生の青木想太は、同じクラスの橋下美緒に片思いをしていた。そんなある日、青木は橋下から借りた消しゴムに、「井田浩介」の名前が彫られていることに気づく。これは両思いになるためのおまじない的な行為なのだと気づいた青木は、橋下が井田浩介に恋心を抱いていることを悟り、そのまま失恋する。さらに青木は運悪く、橋下の消しゴムを落としてしまう。その消しゴムを井田が拾ったことで、井田は青木から好意を抱かれているとカンちがいしてしまう。早く誤解を弁明したい青木だったが、橋下から井田を好きなことは内緒にして欲しいと懇願されたこともあり否定できずにいた。それでも井田のカンちがいを正そうとする青木だったが、事あるごとになぜか井田との関係が深まっていく。

青木と井田の文化祭

青木想太たちが通う高校では文化祭が催されることになり、出し物は童話『シンデレラ』の演劇に決まる。青木、井田浩介橋下美緒はトラブルを乗り越え、大道具の制作など裏方役を務めていたが、文化祭当日に主役を演じるはずだった二人が欠席してしまう。そこで急遽(きゅうきょ)シンデレラ役を青木、王子役を井田が演じることになり、舞台は大いに盛り上がって終了する。これまでの出来事を通して、青木は井田に対して友情以上の感情を抱き始めていることに気づき、どうすればいいのか自分でもわからなくなっていく。さらに文化祭の打ち上げで、青木と井田の関係をクラスメイトたちから茶化されたことで、青木は過剰に反応してしまう。

相多のカンちがいと橋下の恋

文化祭も終わり、青木想太は以前より橋下美緒と友情を深めていた。そんな中、橋下が井田浩介を好きというのは青木のカンちがいで、実は相多颯人に片思いをしていることが発覚する。そして青木は、井田のことが気になっていることを橋下に打ち明け、二人はお互いの恋を応援し合う間柄になる。その後、青木や井田、橋下、相多は勉強会を開くなどして関係を深めていく。そんなある日、相多は青木と井田の関係に友情以上のものを感じ取り、おかしいと青木の目の前で否定する。さらに相多は、青木が井田にせまられて迷惑しているとカンちがいをし、井田に対して青木にちょっかいを出すなと釘(くぎ)をさす。しかし青木は、相多に自らの恋心を知られたくない気持ちもあり、井田に対しても心にもない言葉を口にしてしまう。こうして青木と井田のあいだには距離が生じ、会話もなくなっていく。その事情を知った橋下は、相多に対して感情をあらわにするのだった。

青木と井田の合コン

青木想太井田浩介は和解したものの、青木は井田に恋心は抱いていないとウソをついたままでいた。そんなある日、青木は相多颯人から他校に通う女子との合コンに誘われる。そしてなぜか男性メンバーの中には井田の姿もあり、微妙な雰囲気の合コンがスタートする。そんな中、参加していた年上好きの竹内ココロは、井田の佇(たたず)まいがおじいちゃんっぽいと気に入り、猛アプローチを開始する。

波乱のスキー合宿

青木想太が通う高校では、伝統行事のスキー合宿が催されることになる。その直前、相多颯人は別クラスの女子に告白され、あっという間に彼女ができる。それを知った橋下美緒は、突然の展開に失恋を受け入れられずにいた。そしてスキー合宿当日、まずは実力別にクラス分けが行われ、青木と橋下は最もランクの低いDクラスとなる。そして青木と橋下は、インストラクターからスパルタ指導を受けることになり、二人は自分たちなりに努力するものの、圧倒的にスキーのセンスがないためうまくいかない。苦しい思い出ばかりが増えていく青木と橋下に、井田浩介と相多は夜空を見に行かないかと誘い出す。こうして青木と井田は久しぶりに二人きりとなり、青木は井田に告白する。しかしその直後、青木と井田は段差から落ちて井田は頭から出血し、意識はあるものの動けなくなってしまう。

恋人同士になった二人と橋下の失恋

青木想太の告白を井田浩介は受け入れ、二人は晴れて恋人同士となる。現実感のない出来事に青木はパニックになりながらも、これまで以上に井田との距離を縮めていく。その一方で、スキー合宿の夜に相多颯人橋下美緒から告白をされるものの、断っていた。それ以降、橋下に避けられるようになってしまった相多は、当然のことだと思いながらも、寂しさを覚えていた。この状況を青木に報告したいと思う相多だったが、青木は井田との交際で頭がいっぱいのため、なかなか切り出せずにいた。橋下は失恋をしたことはもちろん、自身が大切にしていた相多との思い出を忘れ去られていたことにショックを受ける。そして橋下は自分に存在感がなく地味なのがいけないのだと考え、アフロヘアにイメージチェンジしようと思い立つ。

初めてのクリスマス

クリスマスが近づく中、井田浩介は部活動のメンバーに青木想太と交際していることを思わず口にしてしまう。周りから冷やかされた青木は井田に激怒し、絶交を宣言する。そしてクリスマス当日、青木はデコレーションケーキを販売するアルバイトをしていた。その姿を目撃した橋下美緒相多颯人は、すぐに井田に連絡を取り、二人は仲直りをする。そして、豊田駿が機転を利かせ、青木と交際しているというのは井田なりのギャグだと説明し、周囲には冗談が下手な井田に振り回されたというオチで騒動は収まる。そんな中、橋下は改めて相多に好きだと告白し、あきらめたくないと伝える。そして橋下は、相多に少しでも女子として意識して欲しいと、自分なりのアプローチを開始する。

井田の気持ち

新年を迎え、青木想太井田浩介は初詣に出掛ける。すると神社で井田の部活動のメンバーや、竹内ココロにも遭遇し、青木は二人きりのデートだったのにと落胆する。そんな中、青木は井田の自宅に遊びに行くが、井田は自由気ままに振る舞うため、青木は自分だけが井田を意識しているのではないかと不安を抱く。

初めての反応に傷つく青木

もうすぐ3年生に進級することもあり、青木想太は成績が悪いことに悩んでいた。特に理系科目が壊滅的なため、青木は個別指導塾に通うことになる。そこの講師を務める岡野は、自分の高校時代を見ているかのようだと青木を一目で気に入り、青木も岡野のことをまるで兄のような存在だと感じるようになる。青木は恋の悩みも岡野に相談するようになり、岡野は相手が当然同年代の女子だろうと思いつつ、アドバイスを送っていた。そんなある日、岡野は青木が井田浩介と手をつないでいる場面を目撃してしまう。予想外の展開に動揺した岡野は、青木に対して自分の恋愛対象は女性であると余計なことを口にし、さらにいっしょに行くはずだった食事もキャンセルして、強引に距離を置こうとする。青木は岡野の豹変ぶりに仕方がないと思いつつも、信頼していた相手からの激しい拒絶に、やはりショックを隠せずにいた。

橋下のバレンタインデー

橋下美緒青木想太の恋を応援していたが、自分自身もまだまだ頑張らなくてはいけないと思うようになっていた。そして、もうすぐバレンタインデーを迎えるため、今年こそ相多颯人にチョコレートを渡すことを決意する。そんな中、橋下が教室で手作り菓子の本を眺めていると、偶然その場に現れた相多は、これがいいとレシピのリクエストをする。橋下は気合を入れて菓子を作り、バレンタインデー当日を迎える。だがそこで橋下は、クラスメイトの女子に手作り菓子を勧められ、手作りは無理だと拒否する相多の姿を目撃する。

井田の誕生日

もうすぐ井田浩介の誕生日ながら、青木想太は金欠のため、近所の寿司(すし)屋で短期アルバイトを開始する。だが、青木は井田を驚かせようと、誕生日プレゼントを買うためにアルバイトをしていることを井田に伝えずにいた。そんな中、青木は同じ学校に通うアルバイト仲間の西園寺から仕事を習うことになり、二人の距離は縮まっていく。すると井田は、親密な様子の青木と西園寺を見て珍しく嫉妬してしまう。

橋下と相多の交際がスタート

バレンタインデーに手作り菓子を渡した橋下美緒は、ホワイトデーに相多颯人からお返しをもらう。そして相多は、橋下に付き合おうと告げ、晴れて二人は両思いとなる。しかし、相多はこれまでの軽いノリとは違い、まじめな彼女との関係性に悩んでいた。一方、橋下は相多が自分のことを好きだというよりも、根負けして付き合っていることに気づいていた。それでも恋人らしく振る舞っていた橋下に対して、相多は不用意な言葉を口にして彼女を怒らせ、そのまま別れを告げられてしまう。すぐに連絡が来るだろうと高を括(くく)っていた相多だったが、橋下からはなんのアクションもなく春を迎える。

青木の進路と初めての旅行

青木想太たちは3年生に進級し、本格的に進路を考える時期を迎える。成績優秀な橋下美緒は難関大学の薬学部を目指し、井田浩介は教員免許取得のために進路を決める。そんな中、一人進路が決まらない青木だったが、幼い頃に製菓関係の仕事に就きたかったことを思い出す。農学部で食品について学ぶことを決めた青木は、京都にある大学のオープンキャンパスに参加する。その大学は偶然にも井田の志望校の一つでもあり、二人は初めていっしょに宿泊を経験することになる。井田に頼りがいのあるところを見せようとホテルの部屋を予約した青木だったが、誤ってダブルベットの部屋を取ってしまうのだった。

橋下と相多の夏祭り

青木想太たちが住む街では、毎年恒例の夏祭りが催されることになる。いつもは学業優先の橋下美緒も、この日だけは相多颯人と過ごすためにスケジュールを調整していた。しかし運悪く、夏祭りが始まる前に大雨が降り、急遽夏祭りは中止になってしまう。橋下と相多が雨宿りをしていると、橋下の父親が車で迎えに来るとの連絡が入る。迎えにやって来た橋下の父親はまるでプロレスラーのような屈強な身体つきで、明らかに相多を歓迎していない言動を繰り返す。

青木の井田のすれ違い

青木想太井田浩介は夏休みを満喫しつつ、受験生らしく勉強にも励んでいた。青木は自分なりに努力しているつもりだったが、以前井田とオープンキャンパスに参加した大学の模試結果が合格率20%以下の「E判定」を受け、落ち込んでいた。それを知った井田は、青木が自分に合わせるあまり無理をしているのではないかと不安を抱く。

母親との関係

青木想太の通う高校では文化祭が行われることになり、高校最後の思い出になることもあり、クラスは大いに盛り上がっていた。そして出し物は、昨年と同じく童話『シンデレラ』の演劇を行うことになり、昨年よりも舞台のクオリティを上げようとみんな気合が入っていた。そして文化祭当日、青木は自分の母親と井田浩介が話している姿を目撃する。青木の母親は井田のことを好青年だとすっかり気に入っていたが、井田の母親は井田に青木とはもう遊ばないようにと忠告していた。

メディア化

実写ドラマ

2021年10月実写ドラマ化。青木想太を道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、井田浩介を目黒蓮(Snow Man)のW主演でオシドラサタデー枠テレビ朝日系にて放送。

登場人物・キャラクター

青木 想太 (あおき そうた)

とある高校に通う、ごくふつうの2年生の男子。同じクラスの橋下美緒に長らく片思いをしていたが、ひょんなことから彼女が井田浩介に好意を抱いていることを知ってしまう。橋下への気持ちを隠すためにウソを重ねた結果、井田に対して好意を抱いていると井田本人にカンちがいをされてしまう。最初は井田のカンちがいを弁明しようと奮闘していたものの、次第に彼に対して本当に恋愛感情を抱くようになる。自分より相手のことを思いやる優しい性格で、考えていることがすぐに顔に出てしまう。相多颯人とは親友同士で、なんでも話せる間柄。

橋下 美緒 (はしもと みお)

青木想太が通う高校の2年生の女子。青木と同じクラスに在籍している。青木から長らく片思いをされているが、橋下美緒自身はまったく気づいていない。消しゴムに好きな人の名前を彫ると両思いになれるおまじないを実行している最中、うっかり青木に消しゴムを貸してしまう。消しゴムが使いかけだったため、青木からは井田浩介が好きだと思われているが、実際には相多颯人に片思いしている。奇しくも青木が井田を好きになるきっかけを作った人物でもあり、青木のことを心から応援している。特に目立ったところのない地味な容姿ながら、素朴でかわいらしい雰囲気を漂わせている。穏やかな性格ながら、芯はしっかりしている。また、まじめすぎるゆえに思い込みが激しく、一人で暴走することがよくある。

井田 浩介 (いだ こうすけ)

青木想太が通う高校の2年7組に在籍している男子。黒髪の短髪で男らしい顔をしている。青木が落とした消しゴムを拾った際に、「井田浩介」の名前とハートマークが彫られていたことから、青木は自分のことが好きなのだとカンちがいして、初めて告白されたのが男だと苦悩する。本来の恋愛対象は女性ではあるものの、自分に好意を持ってくれている青木を邪険にしてはいけないと、誠実に向き合う生真面目な性格の持ち主。恋愛に関しては鈍感なところがあり、好きという感情や付き合うといった行為は何をすれば正解なのかがわからずにいる。バレー部に所属しており、身体能力に優れている。また、理数系科目を中心に成績も優秀。「豆太郎」という名の柴犬(しばいぬ)を飼っている。

相多 颯人 (あいだ はやと)

青木想太が通う高校の2年生の男子。青木と同じクラスに在籍している。学校内では青木と行動することが多く、なんでも話せる関係を築いている。明るく能天気なお調子者で、楽観的な性格の持ち主。誰とでもすぐに親しくなれることもあり、女子からもそれなりにモテる。入学当初から橋下美緒から好意を寄せられているが気づいておらず、むしろ彼女は苦手なタイプだと思っている。周囲からは「あっくん」と呼ばれている。

豊田 駿 (とよだ しゅん)

青木想太が通う高校の2年生の男子。バレー部に所属している。井田浩介とは幼い頃から付き合いがある。青木と井田が交際していることをすぐに見破るなど、勘が鋭い。二人のことをひそかに応援しており、さりげなくサポートしている。井田からは青木との関係について、相談されることが多い。

西園寺 (さいおんじ)

青木想太が通う高校の2年生の女子。青木が寿司(すし)屋のアルバイトを始めたことで知り合いになる。仕事はまだまだながらも、失敗してもあきらめないことから、根性があると認められている。大人びた容姿で、喜怒哀楽の感情を表に出すことが少ない。仕事もできることから、アルバイトながらも社員たちに信頼されており、接客チームのリーダー的な役割を担っている。一方で、同じアルバイト仲間からは厳しすぎると距離を置かれている。店長に片思いしている。

竹内 ココロ (たけうち こころ)

青木想太とは別の学校に通う女子高校生。友達に誘われて合コンに参加した際に、青木と井田浩介に出会い、二人と知り合いになる。井田を一目で気に入り、以降彼女になりたいと積極的なアプローチを繰り返している。見た目は金髪に派手な化粧をした、いわゆるギャルだが、その内面は純粋でピュアの心の持ち主。井田のおじいちゃんっぽいところが好きで、年上の男性が好み。

岡野 (おかの)

青木想太が通っている個人指導学習塾の講師を務める男性。年齢が若いこともあり、青木に対しては先生というよりも友達のように接している。青木に恋人がいると聞き、相手は女子だと思い込んだまま、相談事には快くアドバイスを送っていた。しかし、ひょんなことから井田浩介と交際していると知り、青木に対してどう接すればよいのかわからなくなる。青木には話していないが、同じ塾講師をしている女性と交際している。

クレジット

原作

ひねくれ渡

書誌情報

消えた初恋 9巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第9巻

(2022-07-25発行、 978-4088446882)

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