すべてを失った女性のリベンジドラマ
本作は、偶然のきっかけで美容系女子高生ブロガーとして注目を浴びることになった梢子が、クラスメイトからの嫉妬や逆恨みによって壮絶な目に遭い、すべてを失ったあとの復讐劇を描いたサスペンス要素の強いリベンジドラマ。暴行を受けた画像が拡散され、一生消えないデジタルタトゥーを背負うことになった梢子は、怨念と執念を抱きながら復讐を誓う。そんな彼女の心理描写や、復讐のためにあらゆる手段を使って成り上がり、協力者を得ていく過程が見どころとなっている。梢子の復讐は、直接手を下すのではなく、相手の社会的地位を貶(おとし)めたり、相手を破産に追い込む形で行われる。変装や偽名を駆使した巧妙な策略によって復讐が行なわれるため、爽快感と同時に緊張感のある展開を楽しむことができる。
炎上、喪失、そして復讐の炎
高校生になった梢子は、平凡な見た目と人見知りな性格のため、友達を作るのに苦労していた。そんなある日、原宿で遊んでいた梢子はスリの被害に遭うが、仁に助けられる。そして彼にスカウトされ、ファッション誌やブログでメイクモデルとして活躍し、周囲の注目を集めるようになる。しかし、梢子の成功を妬むクラスメイトの海崎藍里とその取り巻きの策略によって、彼女は暴行を受け、その様子を撮影した写真や動画、さらには中傷するデマがインターネット上に拡散される。ショックで引きこもっていた梢子を励ましてくれた両親は、悪質な野次馬の放火によって命を落とし、彼女は実家も両親も失ってしまう。数々の悲劇に見舞われた10年後、祖母に引き取られていた梢子は、何事もなかったかのようにテレビに映し出された藍里たちを見て、復讐の炎を燃やすのだった。
運命の再会と復讐劇の幕開け
復讐を決意した梢子は、有名な美容系動画配信者として活動を始め、まずは悪事の首謀者である藍里に復讐を果たす。そんな中、実業家となった仁と偶然再会した梢子は、彼に復讐の協力を求める。梢子のことを心配する仁は、復讐をやめるように諭すものの、心に一生消えない傷を背負った彼女を止めることはできなかった。梢子は仁たちの協力を得て、暴行の実行犯である大桃武への復讐を企てる。人並みの幸福をあきらめ、人生のすべてを復讐に捧げた梢子の執念がもたらす影響や、彼女を案じる周囲の人々の切ない思いも、本作の大きな見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
灰原 硝子 (はいばら しょうこ)
人見知りの女子高校生。平凡な日常を送る中で高校デビューにあこがれ、仁のスカウトをきっかけにメイクモデルとして活動を始め、美容系JKブロガーとして注目を集める。しかし、硝子の活躍を妬むクラスメイトの藍里と、その取り巻きによって暴行を受け、撮影された画像や動画が拡散されて炎上し、一生消えない心の傷を負うことになる。さらに、自宅の住所が晒され、放火によって家と両親を失ってしまう。両親を亡くしたあとは祖母の世話になっていたが、反省の色をまったく見せていない藍里たちの姿がテレビに映し出され、復讐を決意する。炎上事件から10年後、美容系配信者として成功を収めた硝子は、仁の協力を得て復讐計画を実行に移す。
徳道 仁 (とくみち じん)
美容師の男性。美容系動画の配信者としてカリスマ的な人気を誇る。スリの被害に遭った硝子を助け、メイクモデルとしてスカウトし、彼女のメイクやファッションをプロデュースした。しかし、当時高校生だった梢子を動画に出演させたことで、彼女が炎上するきっかけを作ってしまったことに対して、深い負い目を感じていた。10年後、仁は実業家となり、キャバクラやホストクラブ、飲食店など多岐にわたる事業のオーナーを務めているが、あまり表舞台には姿を現さない。成長した梢子と再会し、復讐を止めようと試みるが、彼女の強烈な恨みに圧倒され、罪悪感から復讐計画に協力することになってしまう。
書誌情報
消せない「私」~炎上しつづけるデジタルタトゥー~ 4巻 ぶんか社〈ぶんか社コミックス〉
第1巻
(2023-12-15発行、978-4821157501)
第2巻
(2023-12-15発行、978-4821157518)
第3巻
(2024-01-17発行、978-4821157525)
第4巻
(2024-03-15発行、978-4821157532)







