身体の入れ替わりから始まる復讐劇
本作は、黒瀬良太郎が五人のいじめグループから苛烈ないじめを受け、屋上から突き落とされて教師の白鳥聖と身体が入れ替わったことから物語が始まる。黒瀬は白鳥と身体が入れ替わったことを秘密にし、教師として活動する傍ら、いじめグループの五人を心理的に追い込み、破滅へといざなう。一方、いじめグループは反省する様子をいっさい見せず、死の間際までその考えを改めることはなかった。この社会問題ともいえる、いじめに関する身勝手な考え方の問題定義が行なわれる。黒瀬のいじめに対しての復讐劇なのだが、担任の白鳥と身体が入れ替わるというファンタジー要素もあり、ほかの復讐劇とは一線を画している。
教師の立場を手に入れた少年
黒瀬良太郎の復讐劇は、教師の白鳥聖の立場を最大限に利用して秘密裏に行なわれる。復讐への執念から白鳥になり切る努力を重ねたことで、白鳥が黒瀬自身であることを誰にも悟られないまま、いじめグループの遊井学や切木竜也を破滅に追いやるなど、復讐は着実に成果を上げていく。だが、白鳥を慕う同僚教師の吉倉ネネの不用意な行動や、白鳥の旧友である刑事の群青ひかるが学校に現れたことから次第に身体の入れ替わりを疑われるようになる。黒瀬はその疑いを逸(そ)らしつつも、復讐を果たすための心理戦を強いられる。
いじめを裏であやつる真の悪者
黒瀬良太郎は衝突事故により、白鳥聖の身体と教師の立場を手に入れ、いじめグループの五人に次々と復讐を果たす。だが、中心人物の不動エイジ以外への復讐を遂げた矢先に、真の黒幕が姿を現す。黒瀬と白鳥の身体が入れ替わったことで判明したイジメの理由や実態、黒瀬の復讐を知るその人物は、「強者こそが社会を歪ませる」という偏った思想に取り憑(つ)かれた白鳥だった。そのため、真の強者として危険視していた黒瀬と柊カレンを、いじめをコントロールする形で排除しようとしていたのである。本性を現した白鳥は、不動や美谷ひなを支配下に置くと、黒瀬と柊を排除するために再度暗躍し始める。
登場人物・キャラクター
黒瀬 良太郎 (くろせ りょうたろう)
とある高校生に通う男子。成績優秀で正義感が強く、将来は教師になることを夢見ている。清廉潔白で熱血漢の担任教師、白鳥聖にあこがれを抱いている。日常的に不動エイジの率いるグループにいじめを受けており、いじめはどんどんエスカレートし、ついにはいじめの発覚を恐れたグループから、屋上から突き落とされてしまう。その際、真下にいた白鳥と衝突して意識不明となり、なぜか身体が白鳥と入れ替わることとなる。その後もまったく反省の色が見えない、いじめグループに白鳥の身体と立場を利用して復讐計画を実行に移す。心優しい性格ながら復讐では手段を選ばず、ためらいもないが理由はともあれ、人を死に至らしめた自分自身も決して救われることはないと考えており、復讐を果たした暁には破滅しても構わないと思っている。
白鳥 聖 (しらとり こうき)
黒瀬良太郎のクラス担任を務める男性教師。体育を担当している。すべての生徒に対して分け隔てなく接するため、男女問わず人気を集めており、黒瀬からも信頼されている。そんな中、屋上から転落した黒瀬の真下にいたことから衝突し、その拍子で黒瀬と身体が入れ替わってしまう。自分と身体が入れ替わった黒瀬(身体と精神は白鳥)はすぐに意識を取り戻すが、白鳥(身体と精神は黒瀬)は昏睡状態が続き、のちに病院で目を覚ますものの、記憶喪失に陥っている。
クレジット
- 原作
書誌情報
復讐の教科書 13巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2020-07-09発行、 978-4065206188)
第2巻
(2020-09-09発行、 978-4065205839)
第3巻
(2020-11-09発行、 978-4065218938)
第4巻
(2021-01-08発行、 978-4065221945)
第5巻
(2021-03-09発行、 978-4065226483)
第6巻
(2021-05-07発行、 978-4065231531)
第7巻
(2021-07-09発行、 978-4065240342)
第8巻
(2021-09-09発行、 978-4065248478)
第9巻
(2021-11-09発行、 978-4065259948)
第10巻
(2022-02-09発行、 978-4065269114)
第11巻
(2022-04-08発行、 978-4065275245)
第12巻
(2022-06-09発行、 978-4065281734)
第13巻
(2022-08-08発行、 978-4065286746)