カラマーゾフの兄弟

カラマーゾフの兄弟

ドストエフスキーの小説「カラマーゾフの兄弟」のコミカライズ作品。19世紀のロシアを舞台に、カラマーゾフ一家の愛憎劇をスリリングに描いた問題作。哲学的なセリフの応酬と緻密な心理描写、人間の欲望と葛藤がリアルに描かれ、サスペンスとしても楽しめる作品。「webスピカ」2009年1月号から2011年5月号にかけて掲載された。

正式名称
カラマーゾフの兄弟
ふりがな
からまーぞふのきょうだい
原作者
ドストエフスキー
作者
ジャンル
サスペンス
レーベル
バーズコミックス(ソニー・マガジンズ)
巻数
全2巻完結
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概要・あらすじ

19世紀ロシアの、教会の多い町。この町で「カラマーゾフの兄弟」といえば知らぬ者はいないほど、有名な一家だった。そんな町に、修道士見習いの三男、アレクセイが帰郷する。久しぶりに戻った実家では、父親のヒョードル・バーヴィロヴィチ・カラマーゾフと、長男のドミー・トリィが女性と財産を巡って醜い抗争劇を繰り広げていた。

次男のイワンは、父と兄の争いに冷淡で、関心を持とうとしない。アレクセイが求める、どこの家庭にもある家族の温もりと愛情は、この家にはなかった。ある日、ドミーは想い人のグルーシェンカをヒョードルが匿っていると妄想し、激しく暴行を加えて実の父親を病院送りにしてしまう。精神的に追い詰められている兄を救おうと、アレクセイはドミーの許嫁であるカテリーナの家へ向かう。

そこでは、意外な女性が彼の訪問を待ち受けていた。

登場人物・キャラクター

アレクセイ

カラマーゾフ家の三男で、後妻の子。思慮深くて純情、心優しい19歳の美少年。礼儀正しく、誰に対しても愛情と誠意を持って振る舞い、その天使のように優しい性格は母親譲りと思われる。一人でも多くの人の苦悩を救いたいという思いから、修道士になることを決意し、ゾシマ長老の修道院に弟子入りした。母親と死別後、4歳で生まれ故郷を離れて兄弟たちとは離れ離れで暮らしていたが、学校卒業前に帰郷し父親や兄たちと再会を果たす。 そこで目の当たりにした父と兄の醜悪な争いに心を痛めるも、2人を和解させることが血のつながった人間としての使命だと考え、精力的に行動する。

ヒョードル・バーヴィロヴィチ・カラマーゾフ (ひょーどるばーゔぃろゔぃちからまーぞふ)

カラマーゾフ家の当主。好色で数多くの女性と浮名を流し、お金にも汚い。2人の女性との結婚歴を持つ。最初の妻は裕福な貴族の娘で、持参金目当ての策略結婚だった。2人目の妻は従順で美しく、おしとやかな美女。彼女は女癖の悪い夫に苦悩し、不遇のまま病死する。人間不信で、実の息子たちも自分の財産を狙っていると勘繰り、不信感を露わにする。 財産問題、女性問題を巡って長男のドミー・トリィと激しく対立。性欲と物質欲を追い求める快楽主義者であり、神を信じる者を蔑む無宗教主義者でもある。

ドミー・トリィ (どみーとりぃ)

ヒョードル・バーヴィロヴィチ・カラマーゾフの長男で、先妻の子。27歳。3歳の時に母親と生き別れてからは、荒れた少年時代を送る。中学校を中退した後、陸軍学校に進学。卒業するも士官後に問題を起こして降格処分を受ける。軍を退役してからは毎日のように遊び歩き、借金まみれの生活を送っている。何かと問題のある行動ばかり起こして、父親に負けず劣らずの悪評を振りまく。 父親のヒョードルと一人の女性を巡って醜い争いを展開し、財産継承問題でも対立する。父親譲りの好色漢として悪評高いが、涙を見せた女性には手を出せないなど情に弱い部分もある。

イワン

ヒョードル・バーヴィロヴィチ・カラマーゾフの次男で、後妻の子。23歳。幼い頃より聡明で、学問に対して天才的な才能を発揮。兄弟の中で最も優秀な存在として将来を嘱望される。ろくでなしの父親からの支援を断り、大学生活ではアルバイトをして学費を稼ぐなど、苦労した経歴も持つ。大学時代、新聞に発表した記事が話題を呼び、専門書の批評なども頼まれるようになる。 父親や兄と違い、酒も女もやらず、大人しく静かに生活しているように見えるが、ドミー・トリィの許嫁であるカテリーナに想いを寄せている。父親を軽蔑するが、兄弟の中では最もヒョードルに愛されている。クールでニヒルな無神論者。

スメルジャコフ

カラマーゾフ家に仕える23歳の料理人。無口で物静かだが、すさんだ目つきで周囲を寄せつけない独特の雰囲気を持っている。料理に特別な才能を持ち、ヒョードル・バーヴィロヴィチ・カラマーゾフが彼の作るものしか口にしないほど、その腕前は確か。幼い頃にグレゴーリィに引き取られ、カラマーゾフ家の中で育てられたが、その出生については謎に包まれている。

グリゴーリィ

カラマーゾフ家の使用人。神の存在を信じる敬虔なクリスチャン。カラマーゾフ家に従順に仕え、兄弟たちの面倒見もいい。みなし子だったスメルジャコフを引き取り、養育するなど心優しく愛情豊かな性格である。しかし教育熱心と愛情が高じて暴力を振るうなど、意外な二面性を持つ。

ゾシマ長老

修道院の長老でアレクセイの師。律儀で愚直なアレクセイの成長を温かい眼差しで見つめる。多くの町民に信頼され、毎日のように彼のもとには懺悔とお祈りをする人たちが集まる。カラマーゾフ家の骨肉の争いを収めようと老骨に鞭を打って尽力するが、病に倒れてしまう。

カテリーナ

ドミー・トリィの婚約者。ドミーが軍役時代、お世話になった上官の娘。上品でプライドが高く、多くの男性の憧れの的。遊び人のようで意外と純朴な父親の部下に惹かれ、一方的に結婚を申し込む。好きな男性に対しては一途だが、計算高く理性的で、情に溺れるようなあさましい姿は決して見せない。

グルーシェンカ

「男を滅ぼす女」という物騒な形容詞を持つ22歳の美女。ドミー・トリィが一方的に想いを寄せる相手で、ヒョードル・バーヴィロヴィチ・カラマーゾフからも好意を持たれているなど、魔性的な魅力を持つ。高利貸しや詐欺で稼ぐ犯罪師の一面も。アレクセイにも興味を持ち、彼の僧服を脱がして男の性をたぎらせたい、という不埒な願望を抱く。

リーザ

アレクセイの幼なじみで、14歳の下半身に障害を持つ車いすの美少女。アレクセイに想いを寄せている。そんな不幸な境遇に身を置きながら、常に明るく笑顔を絶やさない。また、優しくアドバイスを送る神父を前に、笑い転げて周囲を困惑させるなど、天真爛漫な性格も魅力の一つ。

ミハイル・ラキーチン (みはいるらきーちん)

教会の庇護を受けて生活する謎の神学者。アレクセイとは親友の間柄で、グルーシェンカとも繋がりを持つ。なぜかカラマーゾフ家の因縁に興味を持ち、アレクセイとグルーシェンカを引き合わせようとする。見た目が軽く、言動も軽薄で、その姿は神学者とは程遠い。

クレジット

原作

ドストエフスキー

書誌情報

カラマーゾフの兄弟 全2巻 ソニー・マガジンズ〈バーズコミックス〉 完結

第1巻 「カラマーゾフの兄弟」より

(2010年3月24日発行、 978-4344819146)

第2巻

(2011年7月23日発行、 978-4344822702)

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