あらすじ
受付嬢の古賀円、行政書士の千鳥佐和子、OLの福間千代の三人の女性は親友同士で、頻繁に女子会を開いては夜な夜な恋バナを語り合っていた。容姿端麗なのに、出会ったり付き合うのはなぜかダメ男ばかりの円たちの周りには、どんなにいい雰囲気になっても結局は残念な結果に終わってしまう恋愛エピソードがあふれていた。今夜も円の家に集まり、彼女たちがかかわってきた個性的なダメ男とのエピソードを語り合う、恒例の「ダメ男報告会」が始まる。女子校育ちの元ヤンキーで耳年増の円は、積極的なアプローチにときめいて好きになった取引先の男性・山田とのダメ恋エピソードを語り出す。次に佐和子が語るのは、昔付き合っていた売れないバンドマン・桐谷とのダメ恋で、彼は女性に頼ってばかりのいわゆる「ヒモ男」なうえに、何度も浮気を繰り返す浮気性でもあった。一方、幼少期から少女漫画を読んで育った千代が語るのは、ようやく出会えた理想の彼氏・八代智司と付き合い始めた頃の話だった。王子様のような男性との出会いを夢見る千代は、いい雰囲気になって智司の家に行ったにもかかわらず、彼のある行動に冷めてそのまま逃げ帰ってしまう。ダメな恋愛ばかりな日々を嘆きながらも新しい恋を望んでいる円は、仲のいい同僚・川内万季の彼氏から鈴木を紹介されるが、最初はあまり乗り気ではなかった鈴木は円に男性経験がないと知った途端に態度を豹変させる。その後は極力鈴木にかかわらないようにしてきた円だったが、すっかりロックオンされた彼女はいつの間にか、鈴木と付き合っているというありえない噂を流されていた。それについて万季から問われた円は、すぐに誤解を解いたうえで鈴木に迷惑だと抗議するが、彼は円と付き合っていると思い込んで勝手な妄想を周囲に吹聴する、問題だらけの人物だった。その後も相手の気持ちを考えずに、円との一方的な妄想を次々と繰り返すようになった鈴木の迷惑行為に耐えられなくなった円は、彼から受けた侮辱と屈辱を返すためにある行動に出る。
メディア化
テレビドラマ
2018年10月から12月にかけて、本作『深夜のダメ恋図鑑』の実写ドラマ版『深夜のダメ恋図鑑』がテレビ朝日ほかで放送された。監督はふくだももこと山本大輔が務めている。キャストは、古賀円を馬場ふみかが、千鳥佐和子を佐野ひなこが演じている。
登場人物・キャラクター
古賀 円 (こが まどか)
工業部品メーカーの経営本部秘書課に所属する受付嬢の女性。九州出身で、年齢は24歳。黒髪ロングヘアの清楚な美人でスタイル抜群ながら、女子高校育ちの元ヤンで、毒舌家。男性にモテるにもかかわらず、実際は男性とまともに付き合ったことがない。その結果、男性経験はないものの知識ばかりが身について耳年増と化している。過激な言動や行動に加え、男運が悪いため恋愛しても残念な結果に終わることが多いが、恋愛したいという素直で純粋な気持ちはつねに持っている。英会話教室に通っており、職業柄英語が堪能。これまで思いを寄せたり、一時的に交際していた男性はいたが、いずれも親密になる前に別れており、問題のある男性しか寄ってこない現状に苛立ちを覚えている。正義感が強く優しい性格で社会人としても有能ながら、料理の腕は壊滅的。家族は両親のほかに兄の篤志がいる。高校時代は不良だったが、大学受験がせまった頃に危機感を抱き、必死に勉強して大学に合格した。大学入学後は外見や振る舞いこそ上品になったものの、怒った時はかつての不良っぽい口調が強くなり、下品で過激な言動も増える。特に気の置けない友人との会話や、ダメ男に対しては言いたいことをはっきり言うタイプ。インカレサークルの映画研究に通っていた大学時代に引き続き、社会人になってからもダメ男ばかり引き寄せてしまい、時には既婚男性にまで気に入られて不倫に巻き込まれそうになったこともある。怒ると嘲笑を浮かべながら淡々とダメ出しをしたり、相手を睨みつけながら不良言葉で相手を完膚なきまでに叩きのめすこともある。侮辱には侮辱で、屈辱には屈辱で返すことを信条としており、鈴木の妄想話の被害に遭った際は、彼に屈辱を返す形で報復していた。現在は極力暴力に頼らないようにしているが、腕っぷしの強さはかなりのもの。
千鳥 佐和子 (ちどり さわこ)
行政書士を務める女性で、古賀円と福間千代の親友。年齢は25歳。愛称は「佐和ちゃん」。彼氏がほとんど途切れたことはないが、相手は問題のある男性ばかりで男運がまったくない。才色兼備で生真面目なしっかり者ながら、よくも悪くも相手の言葉や態度を真に受けてしまうことが多い。ふだんは似たような性格の円よりもクールで、険しい表情を見せることが多い。家事や料理も得意で肝が据わっており、部屋に虫が出ても素早く対処している。付き合った相手にはとことん尽くして甘やかすタイプで、自宅で同棲中の彼氏・国分諒のことも当初は甘やかして接していた。諒のことは「根は正直でいい奴」と評して良好な関係を築いていたが、同棲中にもかかわらず食費や家賃をいっさい入れない諒の身勝手さに耐えられなくなり、些細なことを巡ってギスギスするようになる。さらには諒が料理の味見をさせるために同僚を連れて来たうえに、彼が味噌汁の出汁について長年カンちがいしていたことに呆れ、怒りのあまり自宅から追い出した。その後、同僚を連れて謝罪にやって来た諒に土下座されるも、諒の土下座になんの価値もないと言い放ったが、なんだかんだで交際を続けている。本気で怒った時は相手を怒鳴りつけるか、低めのトーンで相手を委縮させつつ淡々とダメ出しをする。
福間 千代 (ふくま ちよ)
会社員の女性で、古賀円と千鳥佐和子の親友。福岡県出身で、年齢は25歳。幼少期から少女漫画を読んで育ち、現在も王子様のような男性との出会いにあこがれている。円や佐和子よりもゆるふわ系で、女の子らしい性格をしている。少女漫画のような恋愛を求める夢見がちなところがあるが、理想と現実の違いを知るたびに悩んでいる。付き合って間のない八代智司とは度々いい雰囲気になるものの、彼のちょっとした欠点やミスを見るたびに、ショックを受けて逃げ出したり、気持ちが冷めて躊躇してしまったりと、なかなか智司との恋仲を進展させられずにいる。しかしその理由が、「自宅に行ったら甲斐甲斐しく布団を敷いていた」「デートの時の私服がダサかった」といったどうでもいいような内容のため、円や佐和子からは理想が高過ぎるとよくツッコミを入れられている。それでも二人と比べれば一番誠実な男性と恋愛しており、智司との交際は順調に続いている。
八代 智司 (やつしろ さとし)
総合商社に勤める男性で、福間千代の彼氏。生真面目な性格で、見た目も性格もよく女性にモテる。しかし、ファッションセンスや言動がダサく、その自覚もまったくない。千代と付き合い始めたばかりの頃のデートのあと、彼女を自宅に連れ帰るが、甲斐甲斐しく床に布団を敷いている姿にショックを受けた千代には逃げられてしまう。その後もデート中に度々いい雰囲気になるものの、風呂に体毛が浮いているなど細かい点で彼女がいちいちショックを受けているため、なかなかキス以上の恋仲に進めずにいる。のちに千代が少女漫画を趣味にしていることを知り、友人に相談しながら彼女の望む王子様になろうと日々奮闘するが、うまくいかずに空回りしがちで、イギリス王室に入るための方法に悩んでいたこともある。家族は関東在住の両親のほかにきょうだいがいる。
国分 諒 (こくぶ りょう)
不動産会社の営業を務める男性で、千鳥佐和子の彼氏。年齢は27歳。幼少期から両親に甘やかされて育ったため、悪気はないもののあらゆる面が残念な世間知らずのダメ男。もともと佐和子の自宅をよく訪れていたが、職場に近いという理由で同棲することになるが、家事や料理はすべて彼女に任せているにもかかわらず食費や家賃をいっさい入れていない。また、靴下をその辺に脱ぎ捨てるなど自分の身の回りのことすらできていない。自分の意志や信念を持たず周囲に流されやすいうえに、自分を棚に上げた暴言も多いため、徐々に佐和子の怒りと不満を買っている。それでも佐和子からは「根は素直でいい奴」と評され同棲を続けていたが、彼女の料理の味見をさせるために同僚を家に連れて来たことで、彼女を完全に怒らせてしまう。さらには味音痴で料理の基本知識すらなく、味噌汁の出汁について長年カンちがしていたことがわかり、佐和子を呆れさせた。怒った佐和子に家を追い出されるが、その後同僚を連れて国分諒に土下座して謝罪するも、冷たい一言で切り捨てられてしまう。つねにトラブルを起こして問題になるものの、佐和子との交際はなんだかんだで続いている。家族は両親のみの一人っ子で、昔から母親がすべて世話を焼いていたため、ダメ男になってしまった要因の一つになっている。
川内 万季 (せんだい まき)
古賀円の同僚で、彼女と共に受付嬢をしている。年齢は27歳。円よりも年上だが仲のいい友人で、彼氏持ち。明るくサバサバした性格をしている。彼女の過去や性格を知ったうえで、彼女のことを気に入っている。彼氏を通して円に鈴木を紹介したが、鈴木が問題のある男性とは知らなかったとはいえ、かかわらせてしまったことに罪悪感を覚えて円に謝罪した。
鈴木 (すずき)
川内万季の彼氏の同僚の男性。万季を通して古賀円と知り合い、当初はまったく乗り気ではなく円にも興味なさげな態度を取っていたが、これまで彼氏がいたことがないと知った途端、彼女に強い興味を示す。この時点で円からは嫌悪感を抱かれていたが、その後も円と電車で会うたびに話しかけるなど付きまとうようになる。実はストーカー並みに厄介な妄想癖があり、円と付き合っているとの妄想話を周囲に話しており、彼女を困惑させた。円から迷惑だと直接抗議されるも、その後も妄想の吹聴はエスカレートしていくが、屈辱に耐えられなくなった円から、同僚たちの前で詰問されて精神的ダメージを受け、それ以降は彼女に付きまとわなくなった。
古賀 ユキオ (こが ゆきお)
古賀円の従兄で、ユキの兄。独身で年齢は40歳。20代の円をババア呼ばわりしたり、法事の時にユキや円に対して見下す発言をしたり、「ババアのATMになる気はない」などと身の程知らずな発言をしたため、彼女たちの不満と怒りを買う。しかし、ATMの正式名称を正確に答えられなかったため円に暴言を浴びせられ、反論できずにショックを受けて部屋に引きこもってしまう。口では上から目線の物言いをしているが、本心では結婚願望を抱いている。
ユキ
古賀円の従姉で、古賀ユキオの妹。円とは昔から仲がよく、法事で久々に再会した。まじめで誠実な男性と結婚し、海外で結婚式を挙げた。兄のユキオとは違って良識のあるしっかり者で、ユキオが失礼なことを言うたびに周囲に謝罪して回っている。
二日市 収 (ふつかいち おさむ)
古賀円の職場の取引先の会社に勤める男性。年齢は32歳。円とは受付でたまに顔を合わせていた。重度の電車オタクで、御茶ノ水駅の発車ベルをスマートフォンの着メロにしており、それをきっかけに彼女と意気投合した。円からもまじめで誠実そうな好印象を持たれていた。何度かデートを重ねて彼女に思いを寄せるようになり、円には正式に交際を申し込んだ。悪気はないものの、日常会話はもちろん恋愛に関する事柄まで電車に例えてしまう悪癖があり、告白の言葉すらも電車絡みだったため、結局円にはフラれてしまう。
マミ
古賀円の大学時代の後輩の女性で、嫌味な性格をしている。一方的に円をライバル視しており、ほかの女性も見下している。佐藤との結婚式の際、円をはじめとした未婚女性をいきなり名指ししてブーケトスを始めるなど、無礼な行為を行なったため反感を買い、呆れた円とは疎遠になっている。結婚後は佐藤の浮気が原因で、離婚の危機を迎えている。
佐藤 (さとう)
古賀円の大学時代の同級生で、マミと結婚した男性。円とは酒を飲みながらさまざまなことを語り合う仲であるため、彼女に男性経験がないことも知っている。結婚式でマミが円に失礼な発言をした際に、円のフォローに回ろうとし、彼女を褒めるつもりで処女であることをバラしたため、火に油を注ぐ結果となってしまう。後日、円に直接会って改めて謝罪をするが、アポなしに加えてオタクの中年男性を紹介しようとしたため、完全に彼女の怒りを買って路地裏で殴られてしまう。マミとの結婚後は風俗に通っていることがバレてしまい、離婚の危機を迎えている。
書誌情報
深夜のダメ恋図鑑 10巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
(2015-04-10発行、 978-4091373427)
第2巻
(2016-08-10発行、 978-4091385468)
第3巻
(2017-09-08発行、 978-4091395696)
第4巻
(2018-07-10発行、 978-4098701605)
第5巻
(2018-11-09発行、 978-4098702442)
第6巻
(2019-11-08発行、 978-4098705658)
第7巻
(2020-06-10発行、 978-4098710188)
第8巻
(2021-04-09発行、 978-4098713424)
第9巻
(2022-02-10発行、 978-4098715992)
第10巻
(2022-12-09発行、 978-4098718146)