国家資格の女のナイショの夜

国家資格の女のナイショの夜

どこか冴えない男性主人公と、国家資格を取得して聡明に働いている女性との恋愛関係を描いたオムニバス作品。医学療法士や税理士など、表向きは周囲とうまくコミュニケーションを取りながら、まじめに働いている女性たちの秘めたる「裏の顔」が、エロティックな描写を交えて描かれている。「週刊漫画TIMES」に掲載された作品。

正式名称
国家資格の女のナイショの夜
ふりがな
こっかしかくのおんなのないしょのよる
原作者
滝沢 寛之
作者
ジャンル
恋愛
関連商品
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あらすじ

ある雨の日、前川は転倒して手を骨折してしまう。リハビリのために市民病院に通院することになった前川は、大学時代に交際していた菊村美智代の面影を残す若い医学療法士の女性と知り合う。前川は会話の中でその女性の名前が菊村美奈子だと知り、出身地などの情報から美智代の娘だと確信する。前川は既婚者ではあるものの、美奈子への思いが止まらなくなり、アプローチを開始する。その中で、前川は美奈子と彼女の元恋人とのあいだで、トラブルが起きていることを知る。とにかく美奈子と親しくなりたい前川は、そのトラブルを利用して彼女の心の隙間に入り込み、二人は急接近していく。(エピソード「忘れえぬ人」)

登場人物・キャラクター

前川 (まえかわ)

エピソード「忘れえぬ人」に登場する。会社員の男性で既婚者。大学時代に一目ぼれした菊村美智代と付き合っていたが、結果として彼女に弄ばれるものの、忘れることができずに引きずっている。そのため現在は、美智代の面影を感じる女性と結婚している。雨の日に転倒して手を骨折してしまい、リハビリのために訪れた市民病院で、美智代の一人娘で医学療法士として働いていた菊村美奈子と偶然出会う。大学時代からの美智代への思いを晴らすかのように、美奈子に猛アプローチを開始する。

須崎 隆 (すざき たかし)

エピソード「一歩踏み込んで」に登場する。製菓会社に勤める独身男性で、年齢は36歳。ここ10年ほど彼女がおらず、気になる女性ができても何も行動を起こせずに終わることが多い。街で偶然見かけた美容室のアシスタント・小牧優佳に一目ぼれし、以降指名客として頻繁に通っている。本当であれば今すぐにでも告白したいものの、「客とその担当美容師」という関係を壊すのが怖く、一歩踏み出せないでいる。

渡部 太一 (わたべ たいち)

エピソード「遠く輝く」に登場する。一般企業に勤務している既婚男性で、年齢は32歳。高齢になった叔父が「成年後見制度」を利用するにあたり、各種書面を作成することをきっかけに、高校時代にあこがれの存在だった野口多佳子と再会する。以降、お互いに既婚者ではあるものの、多佳子にアプローチする。ふだんは穏やかで優しい性格ながら、ここぞという時には芯の強さを発揮し、いつもより大胆な行動を取ることが多い。

長谷川 (はせがわ)

エピソード「査定する女」に登場する。会社員の既婚男性で、妻の長谷川郁子と子供一人の三人で暮らしている。親から相続して現在住んでいる自宅と土地を売却し、マンションに移り住む計画を立て、査定のために郁子の高校時代からの親友で、宅地建物取引主任者の宮部康代を招く。一度結婚式で顔を合わせているものの、若々しく仕事も完璧にこなす魅力的な康代を見て、一度だけでも体の関係を持ってみたいと欲望を募らせていく。

大竹 (おおたけ)

エピソード「秘めた思いを」に登場する。一般企業に勤める独身男性で、年齢は39歳。経理部の係長を務めており、部下たちの信頼は厚い。社会保険労務士の資格を持っていることから、同じ資格取得を目指す部下の野々宮晶子からは特に慕われており、行動を共にすることが多い。最初は12歳も年齢が下の晶子に対してあくまで「部下」という感情しか抱いていなかったものの、次第に一人の女性として意識するようになっていく。

武宮 俊 (たけみや しゅん)

エピソード「神様見てる」に登場する。地方の建設会社に勤務している既婚者の男性。会社が倒産寸前で、かつての幹部や同僚たちは既に退職しているが、世話になったからと最後まで一人残り、残務処理をしている。その最中に税理士の喜多川春香と出会い、会社に住み着いていた野良猫を通じて会話を交わすようになり、いつの間にかお互いを意識するようになる。幼い頃からお人好しで、貧乏くじを引くことも多いが、武宮俊自身はまったく気にしていない。

守田 (もりた)

エピソード「ひと夏の恋」に登場する。保険会社に勤務しており、FP技能士の二級免許を取得している独身男性。年齢は27歳。仕事では杉下里奈とタッグを組んでおり、いっしょに行動している。二人で過ごす時間が長いにもかかわらず、まったく心を開こうとしない里奈に対し、何か理由があるのではないかと気になっている。明るく朗らかな性格で、顧客からも好感を持たれている。

菊村 美奈子 (きくむら みなこ)

エピソード「忘れえぬ人」に登場する。市民病院のリハビリルームで医学療法士として働いている若い独身女性。前川が雨の日に転んで手を骨折して、そのリハビリのために通院したことで知り合いになる。その後、前川からの猛アプローチを受け、次第に心を通わせていく。明るく朗らかな性格で、リハビリルームの利用者からも人気がある。母親の菊村美智代が、大学時代に前川の心を弄んだ過去は知らない。結婚を考えていたが、元彼に浮気されたために思い悩んでいる。

菊村 美智代 (きくむら みちよ)

エピソード「忘れえぬ人」に登場する。菊村美奈子の母親で、美奈子の父は故人のため、シングルマザーとして女手一つで美奈子を育てあげた。大学時代に前川から一目ぼれされ、猛アプローチを受けた末に交際を始める。しかし、それはすべて同じサークルに所属し、好意を抱いていた美奈子の父を嫉妬させるためで、前川にはなんの感情も抱いておらず利用していただけという、強かな一面を持つ。大学時代は清純そうな容姿に白い肌と豊満なバストの持ち主で、決して目立つ存在ではないものの、モテるタイプだった。

美奈子の父 (みなこのちち)

エピソード「忘れえぬ人」に登場する。菊村美智代の夫で故人。美智代とのあいだに一人娘の菊村美奈子を授かった。前川と同じ大学に所属していたため、彼とは顔見知りの関係だった。大学時代に美智代から好意を抱かれていたものの相手にしていなかったが、彼女が前川と親しくしている場面をたびたび目撃し、嫉妬心から交際をスタートさせ、大学卒業後に地元で結婚した。一連の結婚までの流れがすべて美智代の計算だったことを知らないまま、この世を去った。

小牧 優佳 (こまき ゆうか)

エピソード「一歩踏み込んで」に登場する。美容室でアシスタントとして働いている独身女性で、年齢は28歳。店の前を掃除していた際に、須崎隆から一目ぼれされ、以降彼が指名客として通うようになる。須崎から恋心を抱かれていることは知らない。かわいらしい顔立ちで、人に気配りができる優しい性格の持ち主。夢は「スタイリスト」になることで、そのための昇級試験を控えており、いつもよりもナーバスな状態となっている。

詩織 (しおり)

エピソード「一歩踏み込んで」に登場する。須崎隆と同じ製菓会社に勤めていた後輩の女性。結婚を機に退職し、現在は第一子を妊娠中。同じ会社に在籍していた際は須崎とプライベートでも親しくしており、ひそかに好意を抱いていた。しかし、須崎が何も行動を起こさないことからあきらめ、別の男性と結婚した経緯を持つ。街で偶然須崎と再会し、小牧優佳との関係を進展させるべきだと背中を押す。

野口 多佳子 (のぐち たかこ)

エピソード「遠く輝く」に登場する。渡部太一と同じ高校に通っていた同級生の女性で、現在は結婚している。年齢は32歳。司法書士を生業にしており、高齢になった渡部の叔父が「成年後見制度」を利用するにあたり、各種書面を作成することをきっかけに渡部と再会する。清楚な美人で、学生時代から成績はトップクラスだった。周りからは完璧な美人だと思われていたが、野口多佳子自身はまじめすぎる自分にコンプレックスを抱いていた。同業者である夫が外に愛人をつくっていることに気づいているが、自分が面白みのない人間だから浮気されるのだと悩んでいる。旧姓は「沢井」。

富田 浩 (とみた ひろし)

エピソード「遠く輝く」に登場する。渡部太一と同じ一般企業に勤務している独身男性で、年齢は28歳。先輩の渡部とは仕事以外にプライベートでも親しくしている。同期入社の小泉麻美に長らく好意を抱いているものの、彼女が見た目も中身も完璧すぎることから、自分なんかが相手にされるわけがないと、なかなか思いが伝えられずにいる。

小泉 麻美 (こいずみ あさみ)

エピソード「遠く輝く」に登場する。渡部太一と同じ一般企業に勤務している独身女性で、年齢は32歳。渡部の後輩にあたる。一流大学を卒業し、トップで入社した頭の回転の速い女性で、同期たちからも一目置かれている。容姿端麗で、見た目も中身も完璧すぎることから却って男性から敬遠されがちで、現在恋人はいない。同期の富田浩からもひそかに好意を寄せられているが、まったく気づいていない。

宮部 康代 (みやべ やすよ)

エピソード「査定する女」に登場する。不動産会社で宅地建物取引主任者として働いている既婚女性。長谷川が住む現在の自宅と土地を売却するにあたり、査定のために訪れたことをきっかけに彼と出会う。以降、長谷川から熱いまなざしを向けられており、宮部康代本人も拒否せず受け入れている。容姿端麗なキャリアウーマンで、周囲からは完璧な存在に見えているが、夫とのあいだになかなか子供ができないことを悩んでいる。長谷川郁子とは高校時代からの親友で、現在も親しくしている。

長谷川 郁子 (はせがわ いくこ)

エピソード「査定する女」に登場する。長谷川の妻で、一児の母。親から相続した自宅と土地を売却してマンションに移り住む計画を立て、高校時代からの知り合いで宅地建物取引主任者として働いている宮部康代に査定を依頼し、奇しくも長谷川と康代の出会いのきっかけをつくってしまう。夫の長谷川が康代に心惹かれていることには、気づいていない。

野々宮 晶子 (ののみや あきこ)

エピソード「秘めた思いを」に登場する。長谷川と同じ一般企業の経理部に所属している独身女性で、年齢は27歳。ただ働くだけでなく将来役に立つスキルを身につけたいと思い、入社以来、社会保険労務士の資格取得を目指している。長谷川が社会保険労務士の資格を取得していると知り、学べることはないかと行動を共にしている。明るい性格の美人で、ひそかに野々宮晶子にあこがれている男性社員も多い。

喜多川 春香 (きたがわ はるか)

エピソード「神様見てる」に登場する。税理士を生業にしている既婚者の女性。残務処理をするために訪れた倒産寸前の地方の建設会社で、武宮俊と出会う。一見冷たい雰囲気の美人だが、笑うとかわいらしい表情を見せる。最初は武宮に対しても不愛想だったが、会社に住み着いていた野良猫を介して親しくなり、彼との距離を縮めていく。夫はたびたびの不倫で女性関係のトラブルを起こしており、夫婦としての関係は冷え切っている。

杉下 里奈 (すぎした りな)

エピソード「ひと夏の恋」に登場する。保険会社に勤務しており、FP技能士の一級免許を取得している独身女性。年齢は29歳。仕事では後輩の守田とタッグを組んでおり、いっしょに行動している。平日のほとんどを守田と過ごしているが、過去の恋愛でのトラウマによって、守田をはじめとした男性に対して心を開こうとしない。職場ではクールな女性を演じているが、本来は素直でかわいらしい性格の持ち主。

クレジット

原作

滝沢 寛之

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