概要・あらすじ
ヤマト国では、ソガ大王の下、自分が神の子孫であるとする歴史書『古事記』を編纂させていた。また、自分の巨大な墓を建造中で、完成の後には2千人の人柱を立てる予定であった。その建造に反対する王子ヤマト・オグナは九州の蛮族クマソの川上タケルを討伐する使命を与えられて九州へ向かった。
そこで不死鳥火の鳥の存在を知り、人柱とされる2千人に火の鳥の不死の血を飲ませたいと考える。川上タケルを殺害しヤマト国へ戻ったヤマト・オグナは、墓の建造を任せられるが、完成してみるとそれは公園と遊園地であった。王の怒りを買い、人柱の一人として生き埋めにされるヤマト・オグナは、人柱にされる者たちに火の鳥の生き血がしみこんだ布をなめさせ、彼を追ってきた川上タケルの妹カジカとともに生き埋めにされる。
彼らは、生き血の力が続く間、土の下から歌声を響かせ続けるのだった。
登場人物・キャラクター
ヤマト・オグナ (やまとおぐな)
ソガ大王第五王子。ソガ大王が編纂している歴史を嘘っぱちだとするクマソの酋長川上タケルの討伐に向かう。父が作っている巨大な墓に人柱とされる2千人に火の鳥の不死の血を飲ませたいと考える。川上タケルの妹カジカと恋に落ち、自分の使命との間で悩む。火の鳥を手なずけようと毎晩、笛を吹いて聞かせる。 川上タケルを殺すが、いまわの際にその「タケル」という名を譲られる。
カジカ
川上タケルの妹。武勇を誉れにして、書き物ばかりしている兄に文句を言う。ヤマト・オグナと恋に落ちるが、彼に最愛の兄を殺され、髪を切って単身復讐のためにヤマト国へ向かう。ヤマト・オグナと再会し、復讐を果たそうとするが刃を振り下ろすことができない。
川上 タケル (かわかみ たける)
火の国の蛮族クマソの酋長。ソガ大王が編纂しているでたらめな歴史に対抗して、正しい歴史、ただしい日本の姿を書き残そうとする。
火の鳥 (ひのとり)
『火の鳥 ヤマト編』に登場する不死鳥。クマソの国の守り神とされる。その生き血を飲んだものはけっして死なない体になると言われている。ヤマト・オグナの笛を楽しみ、酋長を殺され復讐に燃えるクマソに囲まれたヤマト・オグナを助ける。
おじい
川上タケルが「生き字引」とよぶ古老。『火の鳥 黎明編』に登場したグズリの息子の後の姿で、かつて、崖をよじ登って閉じ込められた空間から抜け出し、クマソを再興させたタケルである。崖のぼりの途中、力尽きようとするときに火の鳥に励まされて助けられたことから、火の鳥をクマソの守り神とするようになる。
ソガ大王 (そがだいおう)
ヤマト国の国王。自国の歴史を作ろうと自分が神の子孫であるとする『古事記』を編纂させている。ギャグマンガ的な風貌をしている。自らの巨大な墓を建造しており、完成の後には2千人の人柱を立てる予定である。建造を兄から引き継いだヤマト・オグナは、それを公園と遊園地にしてしまったため、王は衝撃を受けまもなく死んでしまう。
イマリ
カジカに求婚しているクマソの男。競(わざ)くらべで、ヤマト・オグナを殺そうとして、逆に負けて死んでしまう。
手ナズチ
ヤマト・オグナがヤマト国から従えてきた二人の従者のうち一人。でこぼこコンビののっぽの方。クマソの投石器で殺される。
足ナズチ
ヤマト・オグナがヤマト国から従えてきた二人の従者のうち一人。でこぼこコンビのずんぐりの方。クマソの投石器で殺される。
場所
ヤマト国 (やまとこく)
『火の鳥 ヤマト編』に登場する国。ソガ大王が治める国。王が神の子孫であるとする歴史書『古事記』を編纂し、王の巨大な墓には2千人の人柱を立てた。
クマソ国 (くまそこく)
『火の鳥 ヤマト編』に登場する国。南九州一帯に住む蛮族クマソの国。酋長は川上タケル。武勇を誇る。
石舞台古墳 (いしぶたいこふん)
『火の鳥 ヤマト編』に登場する実在の古墳。奈良県明日香村にある古墳。この古墳がなぜむき出しで、できそこないような墓であるのか、というところからこの『火の鳥 ヤマト編』が始まる。
その他キーワード
投石器 (とうせきき)
『火の鳥 ヤマト編』に登場する兵器。大きなかごにいれた石を、たわめた木の反発でとばすクマソの兵器。
埴輪 (はにわ)
『火の鳥 ヤマト編』に登場する土人形。父に逆らって死を宣告されたヤマト・オグナは、宝物殿に立てこもり、素焼きの土人形を見つける。人間の殉死者を生き埋めにする代わりに、この土人形を埋めることを思いつき、埴輪と名付けて、兄王子に提案する。
関連
火の鳥 (ひのとり)
火の鳥と呼ばれる超生命体が見守る古代から超未来にわたる人類の叙事詩。 関連ページ:火の鳥