吉祥寺通り魔事件
本作の主人公は、梶という23歳の青年。警察官だった梶は、吉祥寺で包丁を持った通り魔に遭遇するが、恐怖から何もできずに腹部を刺される。その後犯人は次々と人を刺し、八人が死亡19人が重体という大惨事となった。この「吉祥寺通り魔事件」で世間は梶を叩き、梶もまた被害者を守れなかったことを後悔していた。退院後、警察を辞職した梶は、警察庁のキャリアである父と兄に促され、ロサンゼルスで日本食店を営む叔父の世話になることに。こうして厄介払いのような形でロスにやってきた梶は、未だに人を救えなかった悔恨に苛まれながら暮らしていた。
エンパイア・スクワッドとは
生きる意味を見失っていた梶は、スラムで偶然出会った謎の日本人男性、波照間により、最強のボディガードチーム「エンパイア・スクワッド」の存在を知る。「自分も誰かを守れるようになりたい」という梶は、エンパイア・スクワッドへの入隊を希望し、波照間のアシスタントという立場での参加を許された。エンパイア・スクワッドのボスは、巨大グループ企業の創業者の孫娘で、人権運動家のスーパー女子高生、アンジー。彼女を頂点に、テコンドーの達人のメキシコ人、システマの遣い手のロシア人、銃職人でスナイパーのイタリア人など、多様で凄腕の六人の男女から構成されている。
世界各地で展開されるミッション
「いつでもどこでも、人種国籍を問わず、誰でも守る」というのがエンパイア・スクワッドのモットーであり、その言葉通りチームの活動は世界各地に及ぶ。ロスではエルサルバドルのギャングと戦い、パリでは、裏社会の人身売買を追う女性ジャーナリストの警護の任務についた。また、中東のシリアではハーグの化学兵器禁止機関の依頼を受け、毒ガス攻撃の生存者のシリア国外脱出を遂行する。アメリカで増え続ける不法移民問題をはじめ、欧州の人身売買市場を牛耳るアルバニア・マフィア、シリア内戦における化学兵器の使用といった、国際的な社会問題を題材にしている点が、本作の大きな特徴である。
登場人物・キャラクター
梶 恭司 (かじ きょうじ)
23歳の青年。父と兄は警察庁のキャリア。警察官になるが、吉祥寺の通り魔事件で無差別殺人を止められずに辞職。その後、父の計らいでロサンゼルスに住む叔父を訪ねる。自分のせいで多くの命が失われたことを悔やんでおり、強くなりたいという思いから、ボディガードチーム「エンパイア・スクワッド」に参加。チームのスニーキング(隠密行動)担当の波照間に鍛えられ、成長していく。
波照間 猛 (はてるま たける)
梶がロサンゼルスのスラムで出会った謎の日本人青年。「エンパイア・スクワッド」というボディガードチームのメンバーで、スニーキング(隠密行動)を担当している。高い戦闘能力と運動能力で、チームの仲間からも一目置かれる存在。梶の並外れたエンパシー(共感)能力を認めており、梶のハンドラー(調教師)を買って出る。







