あらすじ
15世紀、フランス王国とイングランド王国は王位継承権を巡り、のちに百年戦争と呼ばれる苛烈な戦いを繰り広げていた。ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルは、7年前のアザンクールの戦いでの歴史的大敗以降、劣勢が続くフランス王国を救い、さらに戦争を終結するために錬金術を使って人を超えた存在「ユリス」になろうと考える。モンモランシは準備を整えて、片田舎のドンレミ村にある巨石遺跡に向かうが、ユリスになるための必要なアイテムであるエリクシルを練成している最中に、アクシデントが発生してユリスになれない体となってしまう。事情を聞いたドンレミ村に住むジャンヌ・ダルクは、自分がモンモランシの代わりにユリスとなって戦争終結に導くことを申し出て、直後に村を襲ってきたブルゴーニュ軍をユリスの力で圧倒する。ユリスの力を手に入れたジャンヌを救世主としてフランス王国に認めてもらうため、モンモランシは姫太子のシャルロットがいるシノンを目指してジャンヌと共に出発する。
関連作品
小説
本作『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと百年戦争のひみつ』は、春日みかげの小説『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』を原作としている。原作小説版はダッシュエックス文庫から刊行されている。シリアスな場面が多く、コミックスで描かれた以降のストーリーも展開されている。イラストはメロントマリが担当した。
登場人物・キャラクター
ジル・ド・モンモランシ=ラヴァル
流浪の錬金術師の男性。黒魔術を使ったことで異端者として指名手配されている。その正体は、有力貴族の娘と政略結婚して花嫁の不審死による遺産相続を繰り返し、フランス王家以上の財産を得たクラン家の跡取り。「花嫁殺しの青髭」「ジル・ド・レ」とも呼ばれている。学生時代には騎士養成学校に通っており、アルチュール・ド・リッシュモンやシャルロットとは、どんなときでも友人で仲間である誓いを立てた間柄。イングランド王国との戦争で劣勢に陥っているフランス王国を助けて、戦争を終結させるために錬金術の腕を上げて人を超えた存在「ユリス」になろうとするが、アクシデントによって失敗。ユリスになるために必要なエリクシルを体内で無限に製造できるが、ユリスにはなれない体となってしまう。また、エリクシルを他人に渡すには、接吻(ベーゼ)しなくてはならない体質となる。自分の代わりにユリスとなったジャンヌ・ダルクを救世主として、人々から認知されて力を発揮してもらうためにさまざまな策を講じる。
ジャンヌ・ダルク
フランス王国の片田舎にあるドンレミ村に住む女性。年齢は18歳。フランス王国軍元帥のアルチュール・ド・リッシュモンにあこがれ、村のはずれにある森に住む妖精のフェイ族と日々鍛錬している。元気で明るい性格の持ち主。胸が小さいことを気にしており、巨乳の女性と出会うと胸を凝視してしまう。ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルと出会い、村を襲撃してきたブルゴーニュ軍を撃退するために、人を超えた存在「ユリス」となる。しかし、音速並みの速さで動ける特殊能力「加速」や、驚異的な身体能力によってほかの村人から恐怖の対象とされてしまう。ユリスの力を国に認めてもらって救世主となるために、モンモランシの指示でさまざまな活動を行う。
アスタロト
ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルと行動を共にする妖精族の女王。モンモランシを下僕扱いしているが、モンモランシに無自覚ながら好意を寄せている。モンモランシが錬金術で作る角砂糖が大好物。
ラ・イル
フランス王国軍傭兵団の隊長を務める女性で、面倒見がよく男勝りな性格をしている。戦闘では短銃を使用する。ブルゴーニュ軍からドンレミ村を救ったことで、ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルやジャンヌ・ダルクと知り合い、ジャンヌが人を超えた存在「ユリス」となったあともふだんどおりに接している。姫太子のシャルロットがいるシノンへ向かうジャンヌを心配して、部下と共に同行する。
アルチュール・ド・リッシュモン
フランス王国軍の元帥を務める女性。7年前のアザンクールの戦いでイングランド王国に人質として捕われ、自力で脱出してフランス王国に帰還。今の亡命政府から追放処分を受けているため、仮面をつけて「リッチモンド仮面」として活動している。学生時代には騎士養成学校に通っており、ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルやシャルロットとは、どんなときでも友人で仲間である誓いを立てた間柄。学校も首席で卒業するほど優秀で、アーサー王の生まれ変わりとも評されていた。
シャルロット
フランス王国の姫太子。学生時代には騎士養成学校に通っていてジル・ド・モンモランシ=ラヴァルやアルチュール・ド・リッシュモンとはどんなときでも友人で仲間である誓いを立てた間柄。亡命政府のトップだが、実権はほとんど宰相のラ・トレムイユににぎられているため、状況を打破できる存在を待ち続けている。ジャンヌ・ダルクと出会ったことで、以前のやる気と威厳を兼ね備えた姿に戻る。
ラ・トレムイユ
フランス王国の亡命政府で、宰相を務める男性。敵対するイングランド王国と独自に交渉するなど、亡命政府の実権をほとんどにぎっている。ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルの従兄弟。価値観の異なるモンモランシやアルチュール・ド・リッシュモンのことを敵対視しており、ジャンヌ・ダルクに対抗してバタールを救世主に担ぎ上げる。
その他キーワード
ユリス
賢者の石によって強力な力を得た人を超えた存在。賢者の石とエリクシルを体内に取り込むことで、不死に近い強靭な肉体と特殊能力を得られる。ユリスになっているときは、本人にとって最強の自分が具現化するために見た目は人によって異なる。本来なら一度エリクシルを飲めば何十年と補給しなくてもいいが、ジャンヌ・ダルクはなぜかエリクシルが不足してしまうため、定期的にジル・ド・モンモランシ=ラヴァルと接吻(ベーゼ)して補給しなくてはならない。
クレジット
- 原作
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春日 みかげ
- キャラクター原案
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メロントマリ
- シナリオ協力
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平田 黒丸