概要・あらすじ
ふだんは地味な女子高校生・燁姫には、銀座4丁目にある画廊のオーナーというもう一つの顔があった。絵画の価値や真贋を見抜く知識・能力に長け、贋作を描かせても超一流の腕を持つ彼女が画廊を経営する目的は、無名の画家だった亡き父がかつて描いた自分自身の肖像画を探すこと。
絵画投資、贋作詐欺など、絵画にまつわる数々の事件や依頼を持ち前の審美眼で解決し、幼い頃に別れた母親や肖像画を見つけるまでを描く。
登場人物・キャラクター
瀬名生 燁姫 (せのお あきひ)
無名の画家だった父、瀬名生忠之が唯一残した肖像画を探している女子高校生。絵画を探すには、画廊を経営することが早道、と祖父の出資を受け、銀座4丁目にある画廊「ギャラリー燁姫」のオーナーを務める。芙蓉学院高等科に通学している。学校では存在が目立たないように丸眼鏡にお下げ髪で通学しており、燁姫が2つの顔を持っていることを知る同級生は非常に少ない。 邸宅に帰れば画廊オーナーの顔に戻る。デザイナーの洋服を愛用している。
周防 鷹士 (すおう たかし)
燁姫の幼なじみで、父が決めた婚約者。名家である周防家の御曹司で、業界で5本の指に入る亜細亜郵船の次期社長。燁姫の肖像画探しを支える。不破一族には婚約者として認められていない。
高柳 蒼・ウィリアム (たかやなぎ そう・ういりあむ)
中学2年生。アメリカ、カリフォルニア生まれ。広告デザイナー、イラストレーターとして活躍する高柳恭一とアメリカ人女性マリアの間に生まれ、母の死後に来日。贋作作りに手を染めていたが、燁姫に絵の才能を見出され、出資を受けるとともに、瀬名生家に住み込み、ギャラリーのアシスタントとなり、芙蓉学院中等科に通学している。 母と自分を捨て、博文堂重役の令嬢と政略結婚した父を憎んでいる。
七瀬 あゆみ (ななせ あゆみ)
中学2年生。親がなく、運河に浮かぶ船内で贋作師と共に生活していた。贋作の摘発時に絵を愛する姿に感銘を受けた燁姫の申し出で瀬名生家に住み込み、芙蓉学院中等科に通学している。ギャラリーで書類整理などのアルバイトをしている。
郷司 栄 (ごうし さかえ)
不破一族が親族会議で決めた燁姫の許婚。26歳。父が経営する郷司物産の御曹司で、17歳でオックスフォード大学を主席卒業。ノア化粧品からスタートし、現在は自身が経営するさかえ通商のオーナー。自分の会社を郷司物産を抜くほどに成長させたやり手の経営者。 鷹士とともに燁姫の婚約者の座を争う。
不破 龍幻 (ふわ りゅうげん)
別名「不破老」。燁姫の祖父で不破グループ総帥。数多くの名誉会長を努め、絵画業界を牛じる人物として、業界で知らぬ者はいない。自分の存在を隠し、画廊に出資している。
瀬名生 忠之 (せなお ただゆき)
燁姫の父。風景画を得意とした画家で、唯一、燁姫をモチーフに描いた人物画を残し、世を去った。主人公は画廊のオーナーをしながら父の描いた作品を買い集め、未だ見つからない人物画以外は自宅の作品室に飾ってある。
緑川 華奈子 (みどりかわ かなこ)
燁姫の母。旧姓瀬名生。初恋を忘れられず、夫と燁姫を残して出奔した。実家の不破邸にある朱雀の庭の裏木戸から家出した後ろ姿が、燁姫のトラウマになっている。
緑川教授 (みどりかわきょうじゅ)
華奈子の夫で、現在はアゼニア大学客員教授。アゼニア国クーデターの際、革命軍のスパイに間違えられ、命を落とす。燁姫がギャラリー経営の際に使う極秘資料「並木通り資料」の情報を入手していた。ギャラリーの主任を務めているが、燁姫は母親の現在の夫と緑川が同一人物であることを知らない。
場所
ギャラリー燁姫 (ぎゃらりーあきひ)
銀座4丁目並木通り沿いにある画廊。設立2年目ながら、日本の5本の指に入る画廊として世界に名を知られており、燁姫の付ける値段が業界の基準(リファレンス)になるとさえいわれている。
その他キーワード
並木通り資料 (なみきどおりしりょう)
別名、並木通りファイル。燁姫がギャラリー経営の際に使う極秘資料で、金文字の表紙、皮張りのファイル。どこの画廊に何があるかなど資料を入手する緑川主任、周防鷹士、七瀬あゆみしか存在を知らない。誰に何を売ったか、その時の価格はいくらだったかなどの顧客情報も記載されている。