概要・あらすじ
幼少期から感情表現が苦手で、学校生活における「集団」というものになじめなかった犬神宗は、大学入学を機にさまざまな集団に所属してみようと試みたが、うまくいかずにいた。そんな折、犬神は『ビルマの竪琴』しか演じないという奇特な演劇サークル「北方大学演劇研究会」に勧誘され、入部することになる。これをきっかけに「普通」とは一味違った感性を持つ犬神は、サークルをかき乱しながら自らの感情を表現していく。
登場人物・キャラクター
犬神 宗 (いぬがみ そう)
北方大学演劇研究会(劇研)に所属する大学1年生の男子。ミステリー研究会にも所属している。笑ったり泣いたりすることがほとんどないほどに感情の起伏が少なく、他人の感情がうまく理解できない。そのため、うまく演技できずに苦労している。一方で工作が得意で、一晩で大きな涅槃仏を作ってしまうなど、劇研での道具作りには貢献している。 それが高じて、借家であってもすぐに改築してしまう迷惑な癖がある。お金に対しては非常に強い執着を持ち、どんな場面でもすぐにお金の計算を始める。くまモンの大ファンであり、その姿を見るとかわいさからむせてしまうほど。かなりのおばあちゃん子。
夏目 一葉 (なつめ いちよ)
北方大学演劇研究会(劇研)の部長を務める、大学3年生の女子。映画『ビルマの竪琴』をこよなく愛し、自身が設立した劇研では『ビルマの竪琴』しか上演しない。天真爛漫な性格で、やると決めたことはすぐに実行する。しかしそれらの行為は相手方の迷惑など考えない場合が多く、大抵の場合は何かしら事件を引き起こす。そのためか、学部内では知らない人がいないほどの有名人となっている。 ちなみに、そんな行動に反して意外と成績は悪くない。犬神宗に対して演劇的な可能性を感じ、北方大学演劇研究会初となるオリジナル作品では主役に抜擢した。5人兄弟の末子で4人の屈強な兄を持つ。
蔵前 沙耶 (くらまえ さや)
北方大学のミステリー研究会に所属する大学1年生の女子。普段は前髪で顔を隠しているが、実は北方大学内でもその名を知られるほどの美人で、とにかくモテる。性格は飄々としており常に落ち着いた受け応えを見せるが、自ら「変人が好き」と公言している。そのため、犬神宗に対して並々ならぬ執着を持つ。犬神の感情を動かすことのできる唯一の人物として存在感を放っている。 ひょんなことから北方大学演劇研究会の舞台に出演することになった。
狭山 猛 (さやま たける)
北方大学演劇研究会に所属する3年生の男子。金髪で細身の、いかにも軽そうな大学生といった出で立ちをしており、夏目一葉とは北方大学演劇研究会設立当初からの演劇仲間。出身は東京だが受験期にインフルエンザにかかり、唯一受験することができた北方大学へ入学した。基本的に温厚な性格をしており、突っ込み役に回ることが多い。 のちに夏目との交流を通してドMに目覚める。
椛島 有吾 (かばしま ゆうご)
北方大学演劇研究会に所属する2年生の男子。『ビルマの竪琴』の演目では主演の水島を演じる。黒髪短髪の爽やかな好青年。高校時代はクイズ研究会に所属していた。犬神宗の常識破りな演技力に危機感を覚えたことや、想いを寄せている蔵前沙耶が犬神に対して興味を示していることから、犬神をライバル視している。
本条 (ほんじょう)
北方大学演劇研究会(劇研)に所属する2年生。茶髪のツインテ-ルで快活な性格の女の子。犬神宗に対して、女子会に誘うなど積極的にコンタクトを取る。香川県出身でいつもうどんを食べている。高校まで野球をやっており、劇研に所属しながら草野球チームである魚町ウォーリアーズにも所属している。犬神に演技の粗を指摘され一時ふてくされるが、その後犬神と和解した。
浮間 (うきま)
北方大学演劇研究会に所属する2年生女子。黒髪のショートカットで巨乳。引っ込み思案な性格で、それを変えようとサークルを探していたところを夏目一葉に勧誘され、半ば強制的に入会した。1人でセリフを話す場面が苦手であったが、犬神宗との交流をきっかけに、舞台で自分を表現できるようになる。
蓮見 (はすみ)
東京の劇団に所属していた20代の女性。犬神宗、夏目一葉、狭山猛が演劇のサマースクールに通っていた時に出会った。あっけらかんとした性格の尻軽な女性で、同じ劇団員であっても見境なく手を出すため、犬神や夏目から「ヤリマン」と呼ばれる。そのせいで東京の劇団をクビになり、犬神に勧誘され北方大学演劇研究会初のオリジナル舞台に参加することになった。 演劇に関しては高い技術とプロ意識を持つ。
部長 (ぶちょう)
ミステリー研究会の部長を務める、天然パーマでオタク気質の男子。学内のミステリーを探求している。蔵前沙耶に思いを寄せており、そのことから北方大学演劇研究会の舞台に参加することになる。なお与えられた役は蔵前のストーカー役。蔵前の犬神宗に対する好意的な態度を受けてダメージを受けることが多い。
副部長 (ふくぶちょう)
ミステリー研究会の副部長を務めるサラサラのマッシュヘアー男子で、実は彼女持ち。部長のことを非常に慕っており、蔵前沙耶との恋路をサポートしようとする。
金田一 (きんだいち)
北方大学職員の中年男性。北方大学演劇研究会に対しては時に小言を混ぜつつも、東京の演劇サマースクールを斡旋したりとかなり協力的。かつて自身も同大学で演劇を行っていたことがあり、その頃は若気の至りとも呼べる不可解な演目を頻繁に上演していた。
新藤 (しんどう)
金田一が斡旋した東京の演劇サマースクールの講師。黒髪で眼鏡をかけた中年男性。ユーモアを混ぜつつも誠実さを持って指導にあたるが、犬神宗、夏目一葉の常識外れな行動に苦戦している。かつて金田一、真樹夫とともに演劇を行っていた経験がある。
真樹夫 (まきお)
金田一、新藤の学生時代の演劇仲間。当時は温厚な性格の青年だったが、月日とともに中年のオカマへと変貌していった。現在は個人の演劇場を所有しており、北方大学演劇研究会初のオリジナル舞台の時には会場を貸し出した。
おばあさん
犬神宗の祖母。犬神が唯一甘えることのできる存在であり、彼のメンタルや考え方に大きな影響を与えている。体を鍛えるのが趣味で、最近ではインナーマッスルを重点的に鍛えている。
まさる叔父さん (まさるおじさん)
犬神宗の叔父。いかにもお金持ちといった風体をしていて、事実裕福である。犬神のことを溺愛しており、頼まれるとすぐにお金を渡してしまう。犬神が初主演の舞台の時にはこぢんまりとした会場にそぐわない花束を贈呈した。
集団・組織
北方大学演劇研究会 (きたかただいがくえんげきけんきゅうかい)
夏目一葉が設立した、『ビルマの竪琴』のみを上演していた演劇サークル。部員は6名。ハードな筋トレをこなすなど練習には本格的に取り組んでいる。定期的に上演会を行っているが、夏目と犬神宗がセットを爆発させてしまったことをきっかけに、以後は学内での上演を禁止されてしまう。
ミステリー研究会 (みすてりーけんきゅうかい)
部長や副部長、蔵前沙耶、犬神宗が所属するサークル。基本的には学内の小さなミステリーについて議論をするサークルだが、最近では犬神にスポットを当てた研究が多い。犬神、蔵前の影響から北方大学演劇研究会の舞台にサークルぐるみで出演することになる。