概要・あらすじ
きまじめな女子高校生・霧里七華は幼なじみの凪原稔二に言われた言葉をきっかけに階段から転落し、そのショックで体は高校生だけど精神は無邪気な6歳児に戻ってしまった。七華は彼女の秘密を知った稔二やクラスメイトの雨宮ゆり子たちと共に、さまざまな事件やアクシデントにぶつかりつつも人として成長していく。
登場人物・キャラクター
霧里 七華 (きりさと ななか)
高校2年生で成績優秀な女の子。クールで物事をハッキリ言う性格なため友達がおらずクラスで孤立していたが、幼なじみの凪原稔二のことは気にかけて、何かと口出しをしていた。ある日、七華の態度にキレた稔二に「もう二度とツラ見せんな!!」と言われたことがショックで階段を転落。そのときのショックで精神だけが素直だった6歳に幼児退行してしまう。 以降、6歳児ななかが主人格となってしまった。心は6歳児だが、元々優等生だったためか、学習能力は高い。そして頭痛が起きると、眠っていた七華の人格が甦る。ななかの人格のときは頭に髪飾りをつけており、七華のときは髪飾りがないというのが見分けのつけ方。 一度は七華の方がななかの人格を消そうとしたが、ハイジャックに遭った際にななかが復活してしまう。ハイジャック後には第3の人格、七華にとって理想の稔二であるヒロが現れるようになった。ヒロは殻にこもりがちな七華の人格に成長をうながす存在であり、やがて消えてしまう。その後七華の人格が人として成長するにつれ、現実逃避から生まれたななかの人格は希薄となってゆく。 やがてななかの人格が消えると七華は長い眠りに就き、目覚めたときはななかと七華の心は一つになっていた。
凪原 稔二 (なぎはら ねんじ)
主人公である霧里七華の幼なじみ。短気で喧嘩っ早い性格から怒髪の稔二とも呼ばれている不良少年。父親が8歳のときに亡くなり、母親が再婚したあたりから本格的にグレだし、近隣から怒髪の稔二と称される凶悪なケンカ屋になっていた。だが、七華が事故で精神が6歳児になってからは、彼女を守るためにケンカもほぼ封印。 人として日々成長するようになる。再婚相手の義父とも今は和解している。雨宮ゆり子や霰玉九里子に好かれているが、稔二本人は七華/ななかを守るという意識が先走っており、恋愛方面ではかなりの朴念仁となっていた。そのことが原因で七華と雨宮とで壮絶な修羅場になったこともあったが、やがて稔二の想いは雨宮へと傾いてゆく。 実はカナヅチ。
雨宮 ゆり子 (あめみや ゆりこ)
主人公の霧里七華と同じクラスの女子高生。成績優秀で友達も多い。かつてはピアニストを目指して幼少時からレッスンを受けていたが一度は挫折。それでも合唱コンクールの伴奏ができるくらいの腕前はある。当初は霧里七華のことが嫌いでなにかと辛くあたっていたが、彼女の純真さに触れるうちに心が和らぐ。 そして、七華が6歳児のななかに幼児退行していることを知ると、凪原稔二とともにその秘密がバレないように共に行動するようになる。実は小さいときにいじめっ子から助けてもらったのをきっかけに、稔二に対して密かに恋心を抱いていた。その頃に入手した稔二の名札は彼女の宝物になっている。稔二に恋するヒロインたちの中では、一番のナイスバディで久里子からは「デカちち女」と呼ばれている。 ななかと和解したあとピアノのレッスンを再開し、一時はウィーンへ海外留学していたが現地で挫折して帰国。ななかは妹のような存在だが七華は稔二を巡る恋のライバル。ななかの人格が消えかけたとき、自宅で二人きりになった稔二を引き止めて一夜を明かす。 具体的な描写はないが、その後に再会したとき互いに赤面しており男女の仲が進んだことをうかがわせていた。
霧里 耐三 (きりさと たいぞう)
霧里七華の父親で、妻を早くに亡くしていたため、娘を片親で育てていた。早熟で親離れが早かった七華が、幼児退行で精神が6歳ななかになってしまったときは戸惑いつつも、娘が自分に甘えてくれることを喜んでいた。そしてななかの面倒を見て欲しいと、七華の幼なじみである凪原稔二に託す。 職業は小説家。妻は七華が小さいときに亡くして、以来ずっと親子二人だったが、後に担当編集者の朝霞五十鈴とお見合いを経て再婚した。
霰玉 九里子 (あらたま くりこ)
ツインテールな髪型の幼稚園児。不良に絡まれそうになったところを凪原稔二に助けてもらう。稔二が慕っている兄の五十六にそっくりだったことから一目惚れし、猛烈にアタックをするようになる。稔二を見つけると、ぴょーんと飛んで抱きついてくる。性格はおませさんで同級生はガキだと相手にしてない様子。 ななかのことをメガネ子と呼んでライバル視している。稔二のことも好きではあるが、兄の方がもっと好き。
嵐山 甚八 (あらしやま じんぱち)
いわゆる番長で凪原稔二とは幼なじみで宿命のライバルもしくはケンカ友達だが、勝負は嵐山の方が負けている。普段は長髪のオールバックだが、稔二とのケンカに負けたときに一度、ツンツンした怒髪ヘアにされてしまう。その際、メガネを無くしたななかに稔二と間違われてつかの間のデート気分を味わった。 その後、髪型は丸坊主になった。嵐山五月という妹がいるが、彼女には頭が上がらない。実家は嵐山道場という柔道がメインの武道の道場だが、教え子は近所の初心者に小中学生がメイン。その後、おりんちゃんことスケ番少女の夕立厘子と出会い、紆余曲折の末に恋人同士になる。いかつい見た目とは裏腹にかわいこちゃんに目がない結構な軟派だが、稔二の優しさ、優柔不断さが五月を含む彼に好意を抱く女性たちを傷つけていると知ったときは、本気を出して稔二とタイマンを繰り広げた。
嵐山 五月 (あらしやま さつき)
嵐山甚八の妹で、長い黒髪をした小柄な美少女。家では巫女のような着物と袴姿、外ではセーラー服に黒タイツという姿をしており、いつも木刀を携えている。兄の甚八のことはお兄さまと呼んでいるが、ななかにホの字になった兄を「嘆かわしい」と見下している節がある。武道の腕前は一級品で、「成敗」と叫んで敵を木刀でなぎ倒すだけの力がある。 当初は兄をふぬけにしたななかを自慢の木刀で成敗しようとしたが、折れた木刀から自分を守ってくれたななかに惚れ込んで「お義姉様」と呼ぶようになった。一方、凪原稔二には小さい頃から軽くあしらわれ続けており、目の敵にしているが心のどこかで好意を抱いていた。しかし、実家が本家に戻るため街を離れることになった際、それまで伸ばしていた黒髪をばっさりと切り、稔二への想いも断ち切った。
吉田 (よしだ)
まじかるドミ子やゴールドバイカーに詳しい、オタクな同級生。ドミ子やバイカーについて、稔二たちによくアドバイスをしている。運動神経は悪く、体育祭もサボってばかりだったがななかとの二人三脚に選ばれたときはまじかるドミ子のテーマ曲に合わせて息をぴったり合わせて見事一位に輝いた。
風祭 千恵 (かざまつり ちえ)
ななかや凪原稔二、雨宮ゆり子たちの同級生。髪型は太めのツインテール。元々は雨宮の取り巻きだったが、彼女がななかの保護者的な立場になってからは、風祭がななかに意地悪をするようになる。文化祭ではななかに演劇の監督と脚本を押しつけるが、ななかの人格が七華と入れ替わってからは、七華が積極的に相手とコミニュケーションを取ろうとしていたため、衝突しつつも相手を次第に認めるようになる。 後に七華第3の人格であるヒロのことを真剣に好きになってしまう。
朝霞 五十鈴 (あさか いすず)
霧里七華の父である耐三の担当編集者。家事も得意なスレンダーかつおとなしめでメガネをかけた美人。相手が耐三とは知らずにお見合いをして、その流れで結婚するかと思われたが、亡き母が忘れられないななか並びに七華に一度は反対される。その後、傷心の七華が道に飛び出して車に轢かれ、ケガをしたことで縁談を断ろうとするが、目を覚ました七華と話し合い、後に耐三と結婚して霧里五十鈴となった。 ななかの方は五十鈴をなかなか新しい母親と認められずにいたが、七華の方は五十鈴を認め、だだをこねるななかをなだめた。この件も七華の成長とななかの消滅をうながす一因となっている。
氷室 那由 (ひむろ なゆ)
霧里七華の隣のクラスであるB組の女子生徒。いかにもお嬢様然とした美人だが、「オヒョーヒョヒョ」という悪役そのものな笑い声が特徴的。性格は高飛車で墓穴掘り。趣味の占いで選ばれた凪原稔二を恋人にしようとモーションをかけるがあっさり断られ、ななかを稔二の彼女だと信じ込んで意地悪しようとする。 以前から「祭り」と称して気に入らない相手をいじめては転校に追い込むなど、かなりの問題児。しかし、家が大会社の社長なので周りも強く出られない。もっとも、仕掛けた企みは全てななかの無邪気さの前に粉砕される。ゴールドバイカーの大ファンで、ヒロインのオーディションにも参加したがその独特のキャラクターが買われて女戦闘員としてのレギュラーの座を射止める。 高潮(たかしお)と津波(つなみ)という取り巻きを従えているが、どさくさに紛れて彼女たちに物をぶつけられることもある。単行本では『那由さまのユウウツ』というおまけ4コマ漫画が外伝のように展開され、ゴールドバイカー役の竜巻ジョウといつの間にかいい仲になっていた。
夕立 厘子 (ゆうだち りんこ)
ななかや稔二たちと同じ高校に通う2年生で「スケ番の伝統と文化を守る」ため、スケ番風のいでたちをしている。顔にはサングラスをかけ、髪の毛は真上に逆立たせ、バンダナでそれを固定している。まじかるドミ子の影響でアフロヘアなスケ番のいでたちになったななかを同志と認めた。そのななかからは「おりんちゃん」と呼ばれている。 彼女がスケ番になったのは、幼稚園のときにガラの悪いおっさんから助けてくれた美人のスケ番との出会いがきっかけ。そのスケ番とは高校生になってから再会した。実はその素顔はスケ番からほど遠い、可憐な美少女。嵐山甚八のことを「理想の番長」だと信じ込んでいたこともあったが、その甚八を木刀で一喝する五月を「理想のスケ番」と思い込んで「姐さん」と追いかけてしまう。
御神渡 京 (おみわたり けい)
まじかるドミ子に出てきたドミ子のあこがれの先輩ヒロによく似た、イケメンの男子転校生。さそり座のB型。スーパーモデルとしても活躍中。その一方、女性に手を出すのが早く、ななかにも手を出そうとする。しかし、覚醒した七華に平手打ちを食らい、怯えるかのようにすぐ転校してしまった。
雪ノ沢 せつな (ゆきのさわ せつな)
ななかや凪原稔二、雨宮ゆり子たちの同級生。転校生で17歳の七華のことは知らないため、6歳児のななかと自然な感じでつきあえている。催眠術が得意で、そんなものかからないと豪語していた風祭千恵をあっさりと眠らせることもできた。素直なななかは当然のように催眠術にかかり、まじかるドミ子のカンフーマスターになりきってしまった。 その後もななかの親友として何度か登場している。
医者 (いしゃ)
名前は明かされていない。階段から落ちた霧里七華の主治医を務める第三病院の医者で、彼女が幼児退行を起こしていると凪原稔二と霧里耐三に告げる。一見、冷酷に見えるが幼児退行したななかの症例を学会で発表したら平穏な生活は送れないと判断し、秘密を守ってくれるなど患者とその家族の思いを受け入れる優しさもある。 七華/ななかの精神が変化をきたしたときに何度か登場し、色々とアドバイスをしてきた。
場所
ポップンランド
作中では人気の遊園地で、凪原稔二はななかや霰玉九里子らとここでデートしたことがある。また、ななかの人格が一度消えたのもポップンランドの観覧車の中であるなど、ななかの人格の変化に深い関わり合いのある場所である。
その他キーワード
まじかるドミ子 (まじかるどみこ)
『ななか6/17』の作中に登場する魔法少女アニメ。霧里七華が6歳の頃に大好きだった作品。3~10歳までの女児がメインターゲットだが、いわゆる大きなお友達にも好評だった。4クール全52話が放送された。当初は2クール全26話の予定が、関連商品の売り上げが良くて延長になったという話もある。現在も再放送されており、6歳のななかは夢中になって視聴している。 さらに新シリーズ『まじかるドミ子 フォルテシモ』も制作された。ヒロインの本名は宍戸美子(ししど みこ)。9歳の女の子で魔法の国から来たピコ太(ぴこた、本名はピコット)と出会い、まじかるドミ子に変身するようになった。能力は「まじかるドミかる~」という呪文で大人になること。 ケミ子というライバル、ユウキという幼なじみ、ヒロというあこがれの美男子も登場する。当時のおもちゃは変身アイテムの「ドミかるステッキ」、通信機の「ドミかるコール」などがある。旧シリーズの声優は『まじかるドミ子 フォルテシモ』でドミ子を演じる月影奈乃(つきかげ なの)の母親。そして奈乃はファンが求めているのは自分ではなくドミ子であることが辛くなっていたが、七華に「ドミ子はあなたの一部」と諭されて元気を取り戻した。 単なる劇中劇ではなく、ななかと七華の心の成長に深く関わっている作品。
ゴールドバイカー
『ななか6/17』の作中に登場する特撮ヒーロー番組。今も新シリーズが制作されている。凪原稔二も子供の頃は大好きでよく見ていたが、今は卒業している。現在のシリーズは俳優の竜巻ジョウ(たつまきじょう)が演じている。