異世界で特殊な監獄に就職
内定が取り消された清水空磨は突然異世界に飛ばされ、魔物に襲われてしまう。偶然通りかかった獄卒の少女、パンヤに助けられ、彼女から異世界の事情を教えてもらう。さらにパンヤは空磨の就職の世話までしてくれ、彼女に言われるがままに就職先までついて行く。しかし、彼女に連れて来られたのは女囚ばかりを収容した監獄「海獄城」で、空磨の仕事とはヒマを持て余した女囚の遊び相手だった。ここで初めてパンヤに騙(だま)されたことに気づくも時すでに遅く、空磨は女囚に弄ばれてそのまま海に捨てられてしまう。海に沈んでいく空磨は死を覚悟するが、そこに1匹のイカが現れ、己の望みを叶(かな)えてくれるなら空磨を助けると語りかけてくる。
海の覇者、クラーケンの恩返し
空磨を助けてくれたイカの正体は、狩りに来た軍艦すら全滅させるほどの絶大な力を誇る海の覇者、クラーケンで、「カラマ」と名乗る。カラマは幼い頃に人間に捕まるも、心優しい少女のゼイナ=セベクに助けられ、その受けた恩を返すためゼイナを救出しようとしていた。ゼイナが罪を犯し海獄城に収容されたと聞いたカラマは、彼女を助けるべく機会をうかがっていたのだ。しかし、海では最強のカラマも陸ではその力を発揮できず、海獄城の周辺で動けずにいた。そこに城から投げ落とされた空磨が現れ、彼を保護して人柄を確かめたあと、自らの能力と願いを空磨に託すことを決意。事情を聞いた空磨は命の恩人であるカラマの願いを叶えるため、二人は融合して一つの存在となるのだった。
イカの能力を駆使してゼイナ姫を守る
無事にカラマと融合した空磨は、クラーケンの絶大な力を手に入れる。そのまま女囚のガミィとパンヤにお礼参りに出向いた空磨は、命乞いをするパンヤに正式に自分が獄卒になれるよう命じる。これによって正式にゼイナ=セベクがいる第九獄に配属された空磨だったが、彼女は処刑寸前の状況だった。ゼイナから事情を聞いた空磨は、彼女の無罪を証明しようとするも、ゼイナを取り巻く陰謀は王位継承権争いにまで発展していた。次々に現れる刺客を退けながら、空磨は彼女を守るため奔走することになる。
登場人物・キャラクター
清水 空磨 (しみず くうま)
日本人の青年。とある会社に内定が決まっていたが、突然の感染症の流行で内定を取り消されてしまう。生真面目で誠実な性格で、受けた恩はきっちり返すのを信条としている。就職浪人中に突然異世界に迷い込み、いきなり魔物に襲われて命の危機に瀕(ひん)する。偶然通りかかった少女のパンヤに助けられ、彼女から自分のように異世界にやってきた「異邦人」の事情と異世界について学ぶ。右も左もわからない異世界生活に頭を抱えるが、見かねたパンヤが仕事を斡旋(あっせん)してくれたため、その申し出を受け入れる。しかしパンヤに騙されており、女囚ばかりを収容する監獄「海獄城」に連れて行かれ、ヒマを持て余した女囚のガミィにおもちゃのように扱われる。弄ばれた挙句そのまま海に捨てられるが、クラーケンの「カラマ」に助けられ、クラーケンと融合して絶大な力を得る。そんな命の恩人であるカラマの願いで、投獄されているゼイナ=セベクを救出すべく、パンヤを脅して正式に獄卒となる。クラーケンの力を使う際にはイカを模した全身鎧(よろい)姿となり、イカの触手と特殊能力を駆使して戦う。変身時は絶大な力を発揮するが、変身していない時は人並みの腕力で、不意打ちに弱い。
ゼイナ=セベク
「海獄城」に囚われている金髪碧眼の美女。セベク女王国の現王女の姪に当たる。父親は「剣聖」と謳(うた)われた剣の達人で、貴族たちの剣術指南役を務めていたが、何者かに毒殺される。その後、弁明の機会もなく父親殺しの罪で投獄され、懲役100年の刑が下される。清水空磨が海獄城にやってきた日にゼイナ=セベクの自身服役が始まり、その日から呪いの印を刻まれた。その後、空磨がゼイナと接触した際には呪いにより、脱獄すれば即死亡という状況に陥っていた。数日後には実質処刑と同様の魔獣との決闘が控えていたが、父親譲りの剣を駆使して魔獣を撃破した。空磨を信頼できる存在と認め、彼の手を借りつつも自らの剣で運命を切り開こうと考えている。実は王位継承権を持ち、隣国が軍備増強していることもあり、剣聖の娘であるゼイナを次の女王に推す者も少なくない。そのため、ゼイナ自身が知らないさまざまな権謀術数がうず巻いており、彼女はさまざまな勢力から命を狙われている。
クレジット
- 原作
書誌情報
獄卒クラーケン 4巻 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉
第1巻
(2023-04-25発行、 978-4757585379)
第2巻
(2023-09-25発行、 978-4757588141)
第3巻
(2024-03-25発行、 978-4757591257)
第4巻
(2024-10-25発行、 978-4757594876)